【旅、鉄道好き必見!静岡県の秘境駅3選】人気ランキングでも話題の一度は行きたい絶景と静寂の世界
ランキング常連の人気スポットからマニアックな無人駅まで
静岡県内にある秘境駅の魅力と楽しみ方について、静岡県富士宮市出身のライター・望月崇史さんに、SBSアナウンサー松下晴輝が聞きました。
<目次>
1.富士山を望む「JR身延線沼久保駅」
2.昼は紅葉、夜は星空が見事。「大井川鐵道奥大井湖上駅」
3.雪景色が広がる「JR飯田線小和田駅」
4.秘境駅がテーマの全国唯一の駅弁を実食!
5.秘境駅訪問のポイント
松下:そもそも「秘境駅」とはどのような駅か教えていただけますか?
望月:秘境駅とは、周囲に民家が少なく、大自然の中にある駅を指します。鉄道ファンの牛山隆信さんが提唱した考え方です。牛山さんは自身のホームページで秘境駅のランキングを紹介しています。
松下:なるほど、周辺に民家が少なくて、自然の中にある駅ですね。あんまり人が寄り付かないような。
望月:寄り付かないのか、寄り付かなくなってしまったのか。そこはいろいろな経緯があるんでしょうね。
松下:秘境駅を訪れる際には、どのように楽しめばよいのでしょうか?
望月:ズバリ、「何もないことを楽しむ」しかないんです。
松下:哲学みたいな答えが返ってきましたよ。詳しく教えてもらえますか。
望月:列車が出た後、静かなホームに取り残されるんですよね。駅の周辺にあるものや周りの自然、鳥の声に耳を澄ませて、五感を働かせて体で受け止めてください。静かな場所で新鮮な空気を吸うと、リフレッシュできます。
松下:日常の喧騒から離れることが、心のリフレッシュにつながるかもしれませんね。
富士山を望む「JR身延線沼久保駅」
松下:特におすすめの秘境駅を教えてください。
望月:まずは、富士宮市にあるJR身延線の沼久保駅です。身延線の西富士宮―沼久保間は富士山の絶景ポイントとして知られています。30年ほど前、近くに県道のバイパスができたことで、少し秘境感が増しています。
駅の近くに地下道があって、その先にある細い道が元々の県道でした。「沼久保」って名前の通りの窪地に集落があって、多くの人が住んでいました。高校生の頃、毎日この駅から通学していました。地元の人には特別な思い出がある駅です。
松下:利用客だったんですね。
望月:当時、朝7時29分の沼津行き直通に乗っていました。車掌さんが優しくて、手を振ると待っていてくれるんですよ。
松下:すごい。バスみたいな感覚で使っていたんですね。
望月:その次の電車は8時40分頃でした。わざとサボって、待合室で1時間20分ぐらい過ごしたこともあります。秘境駅の中では比較的本数が多いので、秘境駅がどんな雰囲気なのか知りたい方にはおすすめかなと思います。
松下:JR静岡駅から1時間半ぐらいで行けますよね。私が行った様子を以前、アットエスで公開しているので、気になった方は記事を見てください。
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昼は紅葉、夜は星空が見事。「大井川鐵道奥大井湖上駅」
松下:次のおすすめは?
望月:大井川鐵道の奥大井湖上駅です。湖の上に浮かんでいるように見える、SNS映えする風景が素晴らしいです。これからの時期は紅葉が見事なんですが、実は夜に行ってほしいんです。
松下:夜の秘境駅は、暗くて何も見えない気がしますが…。
望月:普段は夜の列車はないのですが、10月19日から週末を中心に「星空列車」が運行されるんです。奥大井湖上駅に1時間あまり停車して、真っ暗な夜空に広がる満天の星を楽しめます。周囲には民家がないので、星だけが見える贅沢な体験ができます。
松下:星しか見えないんですね!?
望月:大井川鐵道の名物広報・山本豊福さんに聞いたら、天気次第で直前に予約がたくさん入るそうです。新月の日は特におすすめで、月明かりがないので、星がより鮮明に見えるそうです。直近では、11月2日(土)が月齢ゼロ、新月です。
松下:秘境駅マスターは月齢までチェックするんですね。
望月:しかも、できるだけ寒い日に来ると良いそうです(笑)11月3日は「晴れの特異日」と聞いたことがあるので、その前後ですから天気はいいんじゃないかな。
雪景色が広がる「JR飯田線小和田駅」
松下:続いてどの駅でしょう?
望月:JR飯田線の小和田駅です。ここは本当に秘境感が強い駅で、車で行けないし、周囲に民家がほとんどありません。昔のオート三輪「ミゼット」が転がっているっていうことで有名です。
松下:秘境駅の中でも特に「秘境」と呼べる場所ですね。
望月:真冬の雪の降る日に、飯田線の一番電車で訪れたことがあります。しんしんと雪が降り積もって、水墨画の世界が広がっていました。
松下:それほど風景が美しいんですね。
望月:列車の本数は少ないですが、急行飯田線秘境駅号を利用すれば、15分ほど停車するので駅周辺を散策できます。今シーズンは11月2日、3日、16日の3日間運行します。急行券は一般発売が少ないので、ツアーを使って乗車するといいかなと思います。
秘境駅がテーマの全国唯一の駅弁を実食!
望月:急行飯田線秘境駅号には、ツアー参加者向けの「秘境駅弁当」があるんですよ。秘境駅をテーマにした全国唯一の駅弁と言っていいと思います。この弁当は豊橋駅でも売っているので、今日はスタジオに持ってきました。
松下:ありがとうございます。9個の小窓形に分割されてるんですね。まずはお稲荷さんいただきましょう。このほんのりとした甘さ!
望月:甘さと酸っぱさが一緒に来るところが、お稲荷さんのいいところですよね。
松下:隣にはかんぴょう巻きもあります。おかずもたくさん入っていますね。
望月:豊橋や飯田線沿線の名物を一つの箱に詰め込んだお弁当ですよね。
松下:後でしっかりといただきたいと思います。ありがとうございます。
秘境駅訪問のポイント
松下:最後に訪れる際の注意点はありますか?
望月:くれぐれも「ご利用は計画的に」ということです。列車の本数が少なく、野生動物が多い区間です。滞在時間が長くならないように計算し、明るい時間帯に訪れることをおすすめします。初心者はツアーを利用すると良いでしょう。
松下:今日は秘境駅の魅力をたっぷりうかがいました。ありがとうございました。
※2024年10月11日にSBSラジオ「IPPO」で放送したものを編集しています。今回お話をうかがったのは……望月崇史さん
1975年生まれ。富士宮市出身。放送作家・駅弁ライター。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは20年、5000個以上。放送の合間にひたすら鉄道に乗り駅弁を食して温泉に入る生活を送る。駅弁記事のweb連載をはじめ、webメディアや雑誌などで鉄道旅をテーマとした記事を執筆。テレビ・ラジオ番組への出演多数。