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福岡ラーメン業界では今“煮干し”が強い。最前線の背脂醤油そばで体感!

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あたふた背脂醤油そば味玉入り

福岡だけでなく、九州全体のラーメンシーンをみても“煮干し系”は間違いなくトレンドの一つです。味噌汁をはじめ“出汁”の食材として古来より日本人に深く刻まれている煮干しはラーメンに取り入れても親しみやすいということを背景に、煮干し系ラーメンは多彩な進化を遂げてきました。例えば鶏清湯(とりちんたん)や白湯(ぱいたん)スープと合わせた“鶏ニボ”、強烈なパンチ、粘度を誇る“どろ系煮干し”、さらに煮干し100%の“淡麗煮干し”や“汁なし”などその種類は多岐に渡り、名脇役であった煮干しを全面に出した専門店が増えてきているのも昨今の潮流です。今回は、そんな煮干しラーメン専門店の中でも特に人気の高い「煮干専門 あたふた」を紹介します。

場所は博多区千代。地下鉄空港線千代県庁口駅と馬出九大病院前駅のちょうど中間ぐらいの場所にあり“煮干専門”と書かれた看板が目印です。2023年10月にオープンしました。
まず、同店の基本メニューである「醤油そば」(980円)は煮干し主体のラーメンではありますが、“ニボっぷり”をそこまで強調したものではないということを最初に言っておきます。あくまで老若男女が日常的に食べられるような優しい煮干醤油ラーメン。実はここに店主の三浦祐葵さんの強いこだわりと、丁寧な手仕事が息づいています。

三浦さん(昭和60年大分市出身)は学生時代にアルバイトでラーメン店に勤務、以後一般企業に就職するも大好きなラーメンへの思いが弾け脱サラし、さまざまなラーメン店で修業。自宅にも専用鍋を持ち込み、ラーメン作りを研究してきました。ゆえに豚骨ラーメン、鶏ガラの清湯、白湯ラーメンほかさまざまなラーメンを作る引き出しを持っています。なぜに煮干し1本に行き着いたのでしょうか。
「煮干しラーメンは本当に奥が深いんです。煮干しといえば、お馴染みのビジュアルのカタクチイワシをまずイメージしますが、その他にもアゴ、サバ、タイ、タコやイカもあるし、最近では深海魚の煮干しもラーメンの素材として注目されています。煮干しはそれら乾物の総称であり、選べる素材の幅が広いというのがおもしろみの第一。そして調理法でも作り手の個性が出ます。弱火でコトコト炊くか、強火で鍋をまわらせるように炊くか、ある程度で鍋から上げるか、あえて残すか、などでも全然違う味わいになるわけです。ラーメンとしての自由度と組み合わせながら、自分ならではの一杯を作れることに魅了されました」と三浦さんは話します。

さまざまな煮干しを試した結果、現在三浦さんが主に使っているのは、瀬戸内海のシロクチと千葉産のセグロ。共にカタクチイワシの一種です。「日本料理の吸い物などでは頭やワタを取ることもありますが、ラーメンとしてある程度の心地よいエグミも出したいのでそのまま使います。ただし脂がのりすぎていると臭みにつながるためバランスをみて厳選しているんです」と三浦さん。煮干しをひと晩かけて水出しして翌日弱火で火入れ。それを丸1日寝かせたものを本スープとして使用します。できたての方がより香るという考えもありますが、三浦さんが重視しているのは、厚みのある煮干しのうまみ。熟成はなくてはならない工程です。

また、もう一つ膝を打ったのが、三浦さんは「極力シンプルな調理法で煮干しの多彩な魅力を引き出す」という考えの元、丼に張る醤油と香味油の“順番”にも気をはらい、メニューにより変えています。補足すると、丼に醤油、香味油、スープの順で張ると表面に豊潤な油の層を作りやすくなります。一方、最初に香味油を張ると醤油が全体にまわりやすくなり醤油感が強まります。その一杯で何を表現したいかにより使い分けているのです。これらさりげないこだわりは、チャーシューがパサつかないよう注文後に塊から都度スライスし、ウォーマーで温めるなどの気遣いにもみてとれます。

「醤油そば」のほか、「背脂醤油そば」(980円、上写真は味玉入り1,100円)も食べましたが、こちらも油の使い方が秀逸ですね。どちらも「博多製麺処」謹製、ラー麦、全粒粉を練り込んだ太めの平麺を合わせていて、茹で前約185gと食べ応えも十分。食券機にもある「限定麺」に関してはこれまで、塩ダレでなく塩そのもので味付けする煮干しラーメンや、肉系白湯と合わせたパンチのある煮干しラーメンなどがお目見えしてきました。「今冬は牡蠣を使った清湯煮干し、折を見て深海魚の煮干しを使ったラーメンにも挑戦したいですね」と三浦さんは新メニュー開発に意欲的です。

煮干しラーメンを食べたことのない方はもちろん、すでにニボ好きの方にもおすすめしたい一軒。新しいラーメンワールドの扉が開くこと請け合いです。

煮干専門 あたふた
福岡市博多区千代4-29-51
11:00〜17:00

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