Yahoo! JAPAN

【倉敷市】USP株式会社 〜 林業と製造業をつなぎ合わせ、安心・安全なものづくりに尽力する人たち

倉敷とことこ

USP株式会社 〜 林業と製造業をつなぎ合わせ、安心・安全なものづくりに尽力する人たち

森林は、地球温暖化を防ぎ災害から私たちを守り心を癒してくれる大切な存在ですが、今その森林が後継者不足整備の遅れによって、十分に機能しなくなっています。

「この状況を見過ごすわけにはいかない」

そのような強い想いを胸に、林業と製造業を融合させ、安心・安全なものづくりに挑む人たちがいます。

USP株式会社代表取締役植田泰弘(うえだ やすひろ)さんは、林業の未来を守るために志を同じくする仲間たちとともに立ち上がりました。

彼らはどのような想いでこの取り組みを始めたのでしょうか。詳しく紹介します。

USP株式会社とは

写真提供:USP株式会社 吉備中央町での仕事のようす

USP株式会社は、代表取締役の植田泰弘さんが倉敷市中畝で20年以上にわたり経営してきた製造業の企業です。

創業当初は樹脂金属切削加工業としてはじまり、2021年に新たな事業として林業事業を立ち上げました。立ち上げと共に起用した20代の若手と、基本となる林業の伐採木材加工をはじめ、製造ロスをなるべく減らすことを考えた廃材の有効活用など幅広く取り組み、持続可能な社会の実現を目指して挑戦し続けている企業です。

現在は製造業で培った技術を活かし、大学や町工場とも連携しながら、原料の調達から製造機器の開発、さらには商品作りから販売に至るまで、一貫した商品開発に取り組んでいます。

林業事業の開始と背景

写真提供:USP株式会社 吉備中央町の森林

林業事業を始めたきっかけは、平成30年7月豪雨でした。

適切な間伐がおこなわれず放置された木々が洪水を引き起こした原因の一つと知った植田さんは、森林整備の重要性を実感します。

その後吉備中央町で未整備の森林が、農地に影響を与えている現状を知り、林業の後継者不足森林整備の遅れ地域の課題であると認識。林業事業の参入の決め手になりました。

事業の特徴とSDGsへの取り組み

植田さんは吉備中央町で農家からの依頼を受け、森林の伐採をしているときにひのきの香りに癒されたと言います。

季節によっては木を切る際に勢いよく水しぶきが上がり、そのたびにひのきの香りが辺りに広がることに気づいたのです。

写真提供:USP株式会社 木を伐採しているようす

そこでひのきの成分を調査したところ、さまざまな効果があることを発見します。そこで多くの人に地元のひのき産業を知ってもらい、日本古来のひのきの良さを伝える方法として、岡山県産ひのきの精油を商品化しようと思い立ちました。

商品化にあたっては無駄なく抽出する方法最適な香りを研究し、これまで培ってきた加工技術を活かして、蒸留装置などの設備を独自に開発しました。

さらに伐採した木材を余すことなく活用し、SDGsの観点からも持続可能資源利用を推進しています。その資源利用の一環から、廃材チップを利用した猫砂や、ペットのひのき消臭ミストなどを販売するペット事業も立ち上げました。

USP株式会社のプロジェクトブランドについて

USP株式会社では、岡山県ひのきを活用するプロジェクトブランドKYONENひのき」を展開しています。

商品は以下のとおりです。

岡山県産のひのきを使ったブランド「KYONENひのき」

これらの商品の魅力をより多くの人々に知ってもらいたいと、倉敷三斎市などのイベントに出店し、積極的にPR活動をおこなっています。

今後はひのき製品にとどまらず、農業の分野にも視野を広げていき、捨てられることの多いミカン、ユズ、レモンの皮を活用した精油アロマ製品の開発・販売にも取り組んでいくそうです。

資源を無駄にせず新たな価値を生み出すことで、さらに事業を発展させていくUSP株式会社のプロジェクトメンバーに話を聞いてきました。

USP株式会社 代表取締役の植田泰弘さん、林業事業部責任者の植田雄太(うえだ ゆうた)さん、ペットフードの開発と販売を担当するMagmell株式会社 代表取締役の高橋陽輝(たかはし ようき)さんへインタビューしました。

USP株式会社の代表とプロジェクトメンバーにインタビュー

左からMagmell株式会社 代表取締役の高橋陽輝さん、USP株式会社 代表取締役の植田泰弘さん、林業事業部責任者の植田雄太さん

製造業から林業へ進出したきっかけ

──製造業から林業に進出したきっかけは何だったのでしょうか?

植田泰弘(敬称略)──

元々林業に興味は持っていて、平成30年7月豪雨が大きな転機になりました。豪雨によって町が水浸しになり、森林整備が十分におこなわれていなかったことが原因の一つだったことを知ります。年老いた木が倒れ、川幅が狭まり、洪水が発生する。こうした問題を目の当たりにし、なんとかしたいと思うようになりました。

写真提供:USP株式会社 吉備中央町の山のようす

──実際に吉備中央町に行かれたそうですね。

植田泰弘──

吉備中央町を訪れた際に、農地の周囲に生い茂る木々が作物の成長を妨げている所をいくつも確認しました。近隣の住民に聞いたところ、木々を伐採する人がおらず、農家のかたがたも困っているとのことで、森林整備の必要性を強く感じたのです。林業の後継者不足も深刻で、この課題に取り組む決意をしました。

林業事業について

写真提供:USP株式会社 木を切機械で伐採しているようす

──林業の事業を始めるにあたって、どのような準備をしましたか?

植田泰弘──

林業を始めるにあたり、まずチェーンソーや重機の資格を取得し、約3年かけて準備を進めました。そして事業を成功させるために、さまざまな業界の知人と協力し、それぞれの得意分野を生かしながら取り組むことにしたのです。こうして2021年に本格的に林業をスタートさせました。

──それで、高橋さんに声をかけたのですね。高橋さんは、どうしてUSP株式会社で仕事をしようと思ったのですか。

高橋(敬称略)──

私は穀物を使ったペットフードを販売する会社を経営していて、植田社長に声をかけられたのです。農業も視野に入れた事業を展開していく話を聞き、循環型の製品を作っていきたい想いがあったので、チームに加わりました。

──林業のなかでとくに力を入れていることは何ですか?

林業事業部責任者の植田雄太さん

植田雄太(敬称略)──

私たちは、木材のすべてを有効活用する「循環型林業」に取り組んでいます。とくにひのきに力を入れていて、ひのきを蒸留してオイルや蒸留水を抽出し、商品化しています。ひのきには消臭、リラックス、除菌といった効能があり、安全な自然素材としてさまざまな用途に活用できるのです。

高橋──

伐採後に出る廃材は、猫砂やチップ、薪、ペレット材に加工し活用しています。林業で出た資源を無駄なく使い、SDGsの観点からも持続可能な事業を目指しています。

廃材を使ったチップ

ひのきのアロマ製品について

──ひのきのアロマ製品にも取り組まれていますね。どのような特徴がありますか?

植田雄太──

ひのきの蒸留水は、リラックス効果抗酸化作用科学的に証明されています。これを基に、ペット用ミスト、虫除け、ハンドクリームやシャンプーなどの開発を進めています。現在化粧品会社との共同開発も進めており、より多くのかたがたに使っていただける幅広い商品を展開する予定です。

また津山市の「えびす乃ゆ」では、ひのきの精油と蒸留水をロウリュウサウナで使用していただいています。今後もひのきの魅力を最大限に生かした製品を開発していきたいと考えています。

写真提供:USP株式会社 津山市の「えびす乃ゆ」でのイベントのようす

林業の未来について

──林業を通じて、どのような未来を描いていますか?

写真提供:USP株式会社 伐採のようす

植田泰弘──

私たちは、1次産業から6次産業までを自社で一貫しておこなうことで、持続可能な事業モデルを築きたいと考えています。すでに吉備中央町に工場を建設し、森林整備を進めている状況です。さらに農業や水産業にも参入し、安全で豊かな暮らしを提供できる事業を目指しています。

また岡山県はひのきの生産量が全国でもトップクラスですが、林業自体は衰退しつつあるのが現状です。私たちは、ひのきの魅力をオイルや蒸留水など新たな形で伝え、林業を活性化させることにも挑戦していきます。

これからの展望について

──最後に、これからの展望をお聞かせください。

写真提供:USP株式会社 社員教育のようす

植田雄太──

林業は「危険」「大変」というイメージが強いですが、技術の発展により、安全で効率的な作業が可能になっています。私たちの会社では、十分な技術を習得すれば木を伐採できる機械も導入しています。こうした技術を活用しながら、若い世代にも林業の魅力を伝えていきたいです。

植田泰弘──

衣食住の基盤となる農林水産業は、人間の生活に欠かせないものです。娯楽も、安全で安定した暮らしがあってこそ成り立ちます。しかし、これからの生活が必ずしも保障されているわけではありません。

日本は「資源がない国」と言われますが、実際には豊かな資源があります。ただ、現状では多くを輸入に依存している状態です。私たちは自分たちの手で事業を築き、家族や仲間の暮らしをより豊かにし、幸せにしていきたいと考えています。

この想いを実現するために事業の柱をさらに大きくし、仲間とともに世の中に貢献していきます。

おわりに

USP株式会社は、「つくる・加工する・販売するすべての工程を担う企業として確立し、雇用を創出しながら持続可能な社会の実現を目指しています。

ここには同じ志を持つ仲間が集まり、それぞれの強みを生かして事業を発展させ、お互いに刺激し合う環境があります。

写真提供:USP株式会社 現場での仕事のようす

自分たちがなんとかしなければ」という想いから始まったこの挑戦は、若い世代の視点を取り入れながら、新しい企業の形として、新たな業界へと次々に広がっていくのでしょう。

USP株式会社がこれからどのような未来を切り開いていくのか、今後のさらなる活躍が楽しみです。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 英検1級の俳優・森迫永依さんに番組出演への思いと英語学習法をインタビュー【基礎英語】

    NHK出版デジタルマガジン
  2. なぜ「町の嫌われ者」が「日本のお家芸」になれたのか?スケートボード五輪金への道のり【新プロジェクトX 挑戦者たち】

    NHK出版デジタルマガジン
  3. ニューヨークの古着屋「STOCK VINTAGE」のとっておきのヴィンテージを見せてもらった。

    Dig-it[ディグ・イット]
  4. 四国遍路のお寺の住職が考える、密教を「他者との共存」に生かす術【学びのきほんが聞いてきた】

    NHK出版デジタルマガジン
  5. ケンカしてる?と思いきや……ワンコのお口に頭が「ジャストフィット」

    おたくま経済新聞
  6. あの「信頼してるよ」は嘘、本当どっち? 本音を見分けるひとつの方法【愛のスナック どろんぱ】

    コクハク
  7. フジ第三者委は1950件超の“証拠のやり取り”復元を成功!「デジタルフォレンジック」費用や要注意事項は?

    コクハク
  8. 日本画の巨匠たちが描く日本の自然美。奈良県立万葉文化館にて特別展「花と緑に魅せられて―佐藤美術館コレクションより―」開催【奈良県明日香村】

    奈良のタウン情報ぱーぷる
  9. 西高屋駅前で27年間生徒の安全を見守った校外指導員 大田澄男さんが勇退 近大附属広島高・中学東広島校が感謝状

    東広島デジタル
  10. 【ライブレポート】虹のコンキスタドール、心のハートマークが火傷しそうに熱く火照り続ける!〈NIG FES 2025〉

    WWSチャンネル