神楽を見に行こう - 第二日曜日は「神楽の日」
東京と花巻の二拠点生活に挑戦中です。
花巻では神楽が盛んで、神社での奉納やお祭りなどさまざまな場所で神楽が舞われています。何気なく見に行って神楽を好きになり、機会があれば足を運び、神楽について学ぶツアーにも参加しました。
もしも気軽に見に行ってみたいというのであれば、大迫(おおはさま)の「神楽の日」が一番のお勧めです。
毎月第二日曜日に開催されるため予定を立てやすく、お昼休憩を挟みながらたっぷりと神楽を楽しむことができます。(行われない月もあるのでお出かけの際は事前にご確認ください)
会場の花巻市大迫交流活性化センター・早池峰ホールはステージ形式で、客席には傾斜があり、ゆっくりと鑑賞できます。また、岳(たけ)神楽、大償(おおつぐない)神楽、八木巻(やきまき)神楽が月替わりで公演するため、何度か訪れてその違いを楽しむのも良いかもしれません。
4月の第二日曜日に、大償神楽を見に行きました。開場の10時を過ぎて到着すると、前方の良い席はすでに埋まりつつありました。神楽が始まるまでの間この地域にまつわるおとぎ話の紙芝居が行われるので、退屈することはありません。
紙芝居のサイズは大きくて、素朴な絵柄。地元の方でしょうか、ゆったりとした語り口がいい感じ。
時間になると、太鼓、手平鉦、笛の奏者が舞台に現れ、客席は静かになりました。この日は10演目が舞われました。
まず、最初に舞われる事が多い「鳥舞」(とりまい)からです。鳥は悪霊や不浄の侵入を祓い浄める霊力があると古来からされているので、舞台の不浄を浄める舞だそうです。
伊弉諾命(いざなぎのみこと)と伊弉冉命(いざなみのみこと)の二神の舞と言われています。
演目によりますが、「鳥兜」と呼ばれる上に雄鶏もしくは雌鶏が付いた物を頭に装着し、「しころ板」を兜の下の方に挟み込むようにして取り付けます。「しころ板」には布で兎、鯉、鶴などが描かれています。(押絵の手法でしょうか)装束も神楽を見る楽しみの一つです。
鳥兜の上についている鶏はつがいになっています。
次の演目は「三番叟」(さんばんそう)です。舎文 (幕裏からの語り)で面白おかしく自身の事を語っているようですが、なかなか全部は聞き取れません。それでも言葉の響きと身軽な動きが滑稽で、にやりとしてしまいます。
片足で跳んだり袖を翻して回転したり・・・かなりの運動量だと思いますが、舞はどんどん激しく盛り上がっていきます。舞人が 踵を落とす動作と楽人が太鼓と手平鉦(てびらがね) が作り出すリズムがピッタリと合って、思わず足で一緒にリズムを刻んでしまいました。
ぐっと低い姿勢になり踵をストンと落とします。
演目の終わりもユニーク。幕をマントのように背中にかけます。
次は四方に矢を射って悪魔払いをする「八幡」(はちまん)です。弓を片手にリズミカルに二人の舞人がフォームを変えながら矢を射ます。
休憩前の最後の演目「折敷舞(おしきまい)」は、これまでの神話や神様達が登場する舞とは、異なるようです。舞人は扇を持って登場しますが、その後はお盆を掌に載せて腕を回転させたり、前転したり・・・。
お盆は掌とくっついているように見えますが、もちろんそうではありません。「神への供物を載せた折敷は神前に供するまで絶対に落としたりはしない」、という気持ちを表した舞だそうです。
お盆が落ちないかはらはらします。
片手から両手に・・・。ハラハラも2倍に。
両方の掌にお盆を載せてのでんぐり返しが成功した時には、拍手が起こりました。
ここで休憩です。お弁当を持参している方もいましたが、入口ではお蕎麦やお弁当など売られています。おにぎりとお団子を購入して同じ建物の中にある会議室でいただきましたが、皆さんおしゃべりが弾み楽しそうでした。
後半は、阿吽の二荒神による激しい舞の「竜天」(りゅうでん)からです。
面を外してのクズシ舞では、お互いの太刀を持って向かい合います。そして、太刀の下をくぐり抜けて背中合わせになり、何度も回転します。舞のクライマックスです。
続く「山の神」も激しい舞です。大償神楽では口を開いた「阿」(あ)の面となっています。(岳神楽の面は口を閉じた「吽」(うん)です)この舞は途中で面を外しますが、神様から人へと、何か不思議な感じがしました。
次は丁々発止の戦いが面白い、「鞍馬」(くらま)です。兵法比べをするのは、唐(もろこし)の天狗の首領善界坊(ぜんかいぼう)と牛若丸です。いただいたプログラムによれば、牛若丸は「差合」「浮舟」「浦波」「飛竜」「臥竜」などの秘儀を尽くして戦っているとのことです。どの技がどの舞の動きなのか、次回見る際には確かめてみたいです。
すくっと長い棒を手にして立つ善界坊。
様々な秘儀を繰り出す牛若丸。
激しい攻防戦の後、負けた首領善界坊は唐に帰ります。
勇ましい舞が続きます。「普将」(ふしょう)は荒神が悪魔邪気を退散させる様と言われているそうですが、角度によって面の表情が違って見え、頭を振ってしころ板を上下させるのが勇ましく見えます。
神楽を見始めて日が浅いので、まだまだ知らない事ばかりです。それでもいくつか好きな場面ができました。「天照五穀」(あまてらすごこく)で天照大神(あまてらすおおみかみ)が袖を広げて顔を隠して登場し静かに舞い始めるところは、その中の一つです。
変わっていく表情にはっとします。
着物の長い袖が美しく翻ります。
最後は4名の舞人が円になり激しく舞います。客席も大いに盛り上がり声がかかりました。
いよいよ最後の演目「権現舞」(ごんげんまい)です。これは神楽の最後に必ず行われる舞で、あらゆる厄災を退散・調伏させ、人々の安泰を祈祷します。カチカチと権現様が歯を打ち鳴らす音を聞くと、本当に厄が落ちた気がします。
2025年の予定はこちらからご覧になれます。(8月から2026年1月までは、会場施設修繕等で公演は無いのでご注意ください)遠方からの方は観光タクシープラン(神楽号)もあります。
神楽は花巻の文化の一部です。ぜひ、出かけてみませんか。
The post神楽を見に行こう - 第二日曜日は「神楽の日」first appeared onまきまき花巻.