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<全国高校野球選手権静岡大会> いつか社会のリーダーになるために 韮山、春の覇者・聖隷に完敗も 身をもって感じた敗戦の悔しさと勝者への敬意

アットエス

7月19、20日に3回戦が行われた全国高校野球選手権静岡大会。県内屈指の進学校、韮山は今春の県大会覇者で優勝候補の聖隷クリストファーに0―8、7回コールドで敗れた。

韮山の鈴内空主将(伊豆修善寺中出)は「強かった。チームとしてのまとまり、打者の捉える能力、徹底した低い打球、次の塁を常に狙う姿勢。個々のレベルが高い上、チームで戦ってきた。甲子園に出るのはこういうチームなんだなと思った」と、勝者に賛辞を惜しまなかった。

「韮高で野球がやりたい」

静岡県の公立校の入学試験には、学校独自の基準で選抜する「学校裁量枠」がある。多くの学校が中学までの部活動などの実績を評価し、選抜できる裁量枠を持つが、韮山と浜松北の2校だけは野球に関わる裁量枠を持たない。2校の野球部員は他の生徒と同じ選抜試験を通って進学している。「みんな韮高で野球をやりたいと思って集まってきたメンバー。自分も文武両道にひかれて入った」と鈴内主将。

リーダーになるために

共有するのは「将来、社会のリーダーになる」という志。
武井淳監督は「野球を通じて人間力を高め、将来はリーダーになっていってほしい。生徒主体で考えてやることが将来につながると思っています」と話す。

午後4時10分まで授業がある日は、夜7時半には完全下校の決まりがあるため、練習時間は約2時間しかない。鈴内主将は「積み重ねを大切に、1日1日に必ず意図を持って取り組んできた。監督も自分たちの意思を尊重してくれるので、自分たちがこうしようと思ったことに対してアドバイスしてくれます」と言う。

東京六大学監督に2人のOB

韮山OBには多彩な分野で活躍するリーダーが多い。
東京六大学野球リーグでは現在、2人の韮山OBが監督を務めている。慶大を日本一に導き、現在は大学日本代表の監督も任されている堀井哲也氏(函南町出身)と、立大の木村泰雄監督(長泉町出身)。2人は韮山野球部の同級生だ。

年末年始には両氏が母校を訪れ、指導、講話を受ける機会もあったという。鈴内主将は「(六大学で)すごい選手をたくさん見ている中でも、基礎が大事だと教えていただいた」。武井監督は「この子たちがやっていることを尊重しながら、少しでも自信を持って臨めるようなアドバイスをいただいた」と感謝する。

意図を持った練習

強豪校にどうしたら勝てるのか、選手自身が練習に意図を持って取り組んできたからこそ、勝っても負けても、得られるものは大きい。

「負けるのは悔しいけれど、野球はチームスポーツだから、後輩には韮高で野球をやりたいと思って集まってきた仲間と野球を楽しんでほしいし、互いに意見をぶつけ合って〝チーム〟になっていってほしい」と鈴内主将。
高校野球に全力を注いだ2年半に悔いはない。
(編集局ニュースセンター・結城啓子)

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