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アーティストたちとの協働で魅せる「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が12月21日~2025年3月30日、清澄白河『東京都現代美術館』で開催

さんたつ

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音楽家・アーティスト、坂本龍一(1952-2023)の大型インスタレーション作品を包括的に紹介する日本初の大規模個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が、12月21日(土)~2025年3月30日(日)、東京都江東区の『東京都現代美術館』で開催される。

『東京都現代美術館』のために遺した展覧会構想を実現

Photo by Neo Sora(C)2017 Kab Inc.

50 年以上に渡って多彩な表現活動を通して時代の先端を切りひらいてきた坂本龍一。90年代からはマルチメディアを駆使したライブパフォーマンスを展開、2000年代以降はさまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを実践してきた。

生前坂本が『東京都現代美術館』のために遺した展覧会構想を軸に構成された本展。音と時間をテーマに、未発表の新作とこれまでの代表作からなる没入型・体感型サウンド・インスタレーション作品 10 点あまりをダイナミックに展開する。

さまざまなアーティストとの協働を通して、音を展示空間に立体的に設置する試みを思考、実践した坂本龍一。その先駆的かつ実験的な創作活動の軌跡をたどり、坂本龍一という類いまれなアーティストの新しい一面と出合うことができるはずだ。

坂本龍一 with 高谷史郎《IS YOUR TIME》2017/2023年 「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景 『成都木木美術館』(人民公園館) 2023年 画像提供=『成都木木美術館』。

音と時間を可視化させた数々のインスタレーション

坂本龍一+高谷史郎《LIFE–fluid, invisible, inaudible...》2007/2023 年「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景 『成都木木美術館』(人民公園館) 2023年 画像提供=『成都木木美術館』。

高谷史郎氏とのコラボレーション作品が5点展示

高谷史郎氏とのコラボレーションによる作品も見どころ。2011 年の東日本大震災の津波で被災した宮城県農業高等学校のピアノに出会った坂本が、それを「自然によって調律されたピアノ」と捉え、作品化した《IS YOUR TIME》。大自然の営みによって1つのモノに還ったピアノが、世界各地の地震データを使って地球を鳴動する装置として生まれ変わる。

また、水や霧を重要な要素として繰り返し登場させてきたふたりの作品から代表作とともに、本展にあわせて制作された《async–immersion tokyo》《TIME TIME》にも注目したい。

坂本龍一+高谷史郎《async–immersion 2023》2023年 「AMBIENT KYOTO 2023」展示風景、京都新聞ビル地下1階、2023年 撮影=Satoshi Nagare。

N.Yで誕生したZakkubalan とのコラボレーション作品も

坂本が多くの時間を過ごしたニューヨークのスタジオや庭。それらの断片的な映像が、それぞれの場所の環境音とアルバム楽曲の音素材をミックスしたサウンドとともに1つのインスタレーションとして構成されているのが、Zakkubalan とのコラボレーション作品だ。

24台のiPhoneとiPadが壁に配された空間に足を踏み入れた鑑賞者は、世界に開かれたたくさんの“小さな光る窓”を通して坂本の内面をのぞき込むような感覚にとらわれる。

坂本龍一+Zakkubalan《async–volume》2017年 「Ryuichi Sakamoto | SOUND AND TIME」展示風景 『成都木木美術館』(人民公園館) 2023年 画像提供=『成都木木美術館』。

不可視な電磁波を可視化する真鍋大度とのコラボレーション作品

真鍋大度とのコラボレーションでは、携帯電話、WiFi、ラジオなどで使用されている電磁波という人間が知覚できない「流れ(ストリーム)」を一種の生態系と捉えた作品《センシング・ストリームズ- 2024 不可視、不可聴(MOTversion)》を展示。屋外に16mに渡って延びる帯状のLED ディスプレイを用い、常に変貌を遂げる東京という大都市の目に見えないインフラの姿を、映像と音で描き出してみせる。

坂本龍一+真鍋大度《Sensing Streams 2021–invisible, inaudible》2021年 「seeing sound, hearing time」展示風景 『木木美術館』(銭糧胡同館)、北京、2021年 画像提供=M WOODS photography team。

霧の彫刻家・中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーション

1970 年に大阪万博のペプシ館を水を使った人工の霧で覆った「霧の彫刻」など、世界各地で霧のプロジェクトを実施している中谷芙二子とのスペシャル・コラボレーションも登場する。『東京都現代美術館』屋外のサンクンガーデンを使用した、坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 は、霧と光と音が一体となり、自然への敬愛や畏怖の念を想起させるような夢幻のシンフォニーを奏でてみせる。

中谷芙二子《ロンドンフォグ》霧パフォーマンス #03779、2017年「BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights」展示風景 『テート・モダン』ロンドン、英国 コラボレーション:田中泯(ダンス)、高谷史郎(照明)、坂本龍一(音楽) 撮影=越田乃梨子。

開催概要

「坂本龍一|音を視る 時を聴く」

開催期間:2024年12月21日(土)~2025年3月30日(日)
開催時間:10:00~18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月(1月13日・2月24日は開館)・12月28日(土)~1月1日(水・祝)・1月14日(火)・2月25日(火)
会場:東京都現代美術館 企画展示室1F/B2ほか(東京都江東区三好4-1-1)
アクセス:地下鉄半蔵門線清澄白河駅から徒歩9分・地下鉄大江戸線清澄白河駅から徒歩13分
入場料:一般2400円、学生・65歳以上1700円、中学生・高校生960円
※小学生以下無料。

【問い合わせ先】
ハローダイヤル☏050-5541-8600
公式HP  https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/RS/

取材・文=前田真紀 画像提供=東京都現代美術館

前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。

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