中川西中吹奏楽部 演奏の楽しみ、いつまでも 「支援する会」が楽器寄贈
中川西中学校吹奏楽部の定期演奏会が3月28日、青葉区のフィリアホールで行われた。2部構成の演奏会では、1部と2部の合間に、保護者らが中心となって立ち上げた「中川西中学校吹奏楽部を支援する会」から、区民らから寄贈されたフルート、トランペットなどの楽器の贈呈式が行われた。寄贈を受け、部長の中村日向さん(2年)は「新しい楽器のおかげで活動の幅が広がるので嬉しい」と喜んだ。
楽器無くて廃部「絶対に避けたい」
「支援する会」は、学校楽器の老朽化に直面する子どもたちをサポートしようと2024年1月、当時の現役部員の保護者が中心となって設立された。
吹奏楽部の楽器は、学校楽器として一通り揃ってはいるものの、修理や買替えに高額な費用が掛かるため、長年据え置きになっていることが多い。1990年開校の同校も、創部当初から使用している楽器もあり、演奏に支障をきたす状態のものもあるという。
支援する会代表の神田美保さんは、「子どもたちが平等に音楽を楽しむ環境がなくなってしまう」と思案。全国で使われなくなった「休眠楽器」の寄贈を呼び掛ける吹奏楽部があるという報道を目にし、保護者に声をかけ、支援する会を発足した。神田さんは「将来、『中川西中の吹奏楽部は楽器が無くて廃部した』という状況は何としても避けたい」と活動への思いを口にした。
神田さんらは、同部の現状を知ってもらい、寄付および休眠楽器の寄贈を呼び掛け。活動資金確保のためにオリジナルグッズを販売したり、学区内の個人・企業にチラシを回覧したり、中川地区のイベントに出店するなどしてPRを行った。
地域が活動理解思わぬ高額支援
活動を始めた当初は「楽器購入までは至らないかも」と思っていたという神田さん。しかし、蓋を開けてみると1年間で37万8552円の寄付金とフルート2本、トランペット、コルネット、ドラムの練習パッド2個が寄贈された。楽器は「中学時代に使っていた」という人や「仕事をリタイアした後に趣味で使っていた」という人から寄贈された。また夏まつりなどで演奏する同部の姿を覚えていて「これまで地域活動に熱心だったので、困っているのなら助けたい」と寄付を申し出る人もいたという。顧問の石井智大さんは「色々な場所で演奏する機会はあったが、地域の方の生の声を聴くことはなかったので、吹奏楽部のことを気にし、応援してくれる人がいると聞いて驚いた」と感謝した。
「支援する会」は今後、3月に卒業した部員を新会員として迎え、新年度のスタートを切る。毎年卒業生を加え、いずれは「同窓会」へ発展していければと神田さんは将来像を思い描く。「10年経てば今年度の卒業生が大人になって引き継いでくれると思う。それまでは代表を続ける覚悟」と腹をくくっている。