ヒマワリが「太陽の追っかけ」といわれる理由は?【眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話】
Q ヒマワリが太陽の追っかけといわれる理由は?
A 植物ホルモンの影響で、追っかけは若いときだけ
ヒマワリは芽生えのときから光のある方向を追いかけます。東からだんだん西へと首振り運動しているように見えますが、東の方向に光をさえぎる障害物があれば、まずは光が差してくる方向を向いて、光が移動する方向を追いかけます。つまり、ヒマワリは太陽自体ではなく、自分がとらえることのできる光のある方向に体を向けて、刻々と光を追うわけです。
ヒマワリ(向日葵)という名前から、太陽を追うというイメージがあります。ヨーロッパやアメリカの広大な土地にあるヒマワリ畑では、芽生えのときから、葉、茎、つぼみと成長するにつれて太陽を追い、花が開くころには、見事なまでにすべてが東を向いています。このとき以降は、成長が終わっているので、太陽を追う首振り運動はしません。つまり、ヒマワリが太陽を追いかけるのは、花が開くまでということになります。そして周囲に光をさえぎる物がなければ、結局すべて東を向いて咲きます。
しかし、軒下などに植えたヒマワリは、東側が陰になっていれば、東西南北に関係なく、外に向かって咲くといわれています。また、1本の茎に花をいくつもつける種類では、てっぺんの花以外は、咲く方向は決まっていません。
ヒマワリに限らず植物は、少なくとも若いときならば、葉がつねに太陽に直面するように太陽を追います。ヒマワリの場合は、花が咲くまで太陽を追い続けるのです。こうした追っかけは、オーキシンという植物ホルモンの動きによります。
オーキシンは光の当たらない方向に多く集まる傾向があり、茎のその部分が伸長します。すると、それと反対の光の当たる方向にヒマワリの茎が向き、つぼみは、太陽を追うように見えるわけです。
1ヒマワリの太陽の追っかけはオーキシンのせい
①日が当たると
②日の当たらない部分へオーキシンが集中する
③オーキシンが多い部分はより成長する
オーキシンは光の当たらない方向に多く集まる傾向があるため、光の当たる方向にヒマワリの茎が向くことになる。このために、つぼみが太陽を追うように見える。
2ヒマワリ(キク科)の特徴
ヒマワリは北アメリカ大陸西部原産。ヒマワリの普及は、スペイン人が16世紀に種を持ち帰ってマドリード植物園で栽培したことが始まりとされる。スペイン国外のフランス、ロシアなどにやっと持ち出されるようになったのは、100年後の17世紀とされる。
すごい!光エネルギー
ヒマワリの花自体は太陽を追わない。成長過程の茎とつぼみが追う。成長が止まったらもう動かない。茎が太陽を追うのは、植物ホルモンのオーキシンのなせる技。
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』監修:稲垣栄洋