2024年プロ野球で内角を攻められた打者&攻められなかった打者ランキング 内角球の成績を比較
打撃成績を左右する「内角への対応力」
投手が打者の内角に投げるのはリスクが伴う。胸元にしろ、膝元にしろ、死球の危険性があるし、甘くなると痛打される可能性も高くなる。
逆に言うと、それでも内角を攻められる打者は外角一辺倒では打ち取れないか、内角に弱点があるか、どちらかだろう。打者にとっても内角に対応できるかどうかは成績を左右する。
そこで2024年の内角割合を調べてみた。総投球数500球以上を対象に、内角を攻められた打者ベスト5は下の通りとなっている。
村上宗隆が断トツの内角割合39.4%
500球以上の打者で内角割合が39.4%と飛び抜けた高かったのが村上宗隆(ヤクルト)。今季は打率.244、33本塁打、86打点で二冠王に輝いたが、内角に限ると157打数25安打5本塁打、打率.159にとどまっている。
真ん中は165打数50安打14本塁打の打率.303、外角も178打数47安打14本塁打の打率.264をマークしており、内角で打ち取られていることが分かる。今季もリーグトップの105四球を選んだが、死球は4つと多いわけではない。
かつて清原和博も厳しい内角攻めで歴代最多の通算196死球を記録したが、村上は通算32死球にすぎない。右打ちと左打ちの違いもあるだろうが、ぶつけられているわけではないもかかわらず打率が低い内角球の対応は今後の課題だ。来オフに移籍を希望するメジャーリーグで成功を収めるためにも、2025年の内角球成績には注目したい。
上位5人は全員左打ち
2位は高橋周平(中日)の34.2%。今季は60試合出場で打率.260にとどまったが、内角は打率.255と特に苦手にしているわけではない。前年2023年が内角打率.128だったため、相手チームが攻めてきたのかもしれないが、今季は対応できていた。
3位は33.8%の安田尚憲(ロッテ)。ドラフト1位で入団して7年目の今季は、55試合で打率.228、本塁打なしと不本意な成績に終わった。打率.156と苦手の内角を克服しないと相手投手の術中にハマり続けることになる。
4位は33.5%の柳田悠岐(ソフトバンク)。今季はケガで戦線離脱したもののシーズン終盤に復帰して優勝に貢献した。内角を攻められたものの、50打数12安打2本塁打の打率.240と悪い成績ではない。
5位は関根大気(DeNA)で32.8%。11年目の今季は79試合で打率.227に終わったが、内角は42打数11安打の打率.262とむしろ得意にしている。
上位5人は全員が左打ち。右投手のスライダーなど、くい込んでくるボールが多いことも要因のひとつだろう。
内角を攻められなかった打者は5人中4人が右打ち
逆に内角をあまり攻められなかった打者は誰だろうか。総投球数500球以上で内角割合の低いベスト5は下の通りとなっている。
1位は18.8%の木下拓哉(中日)。今季は74試合に出場して打率.228、3本塁打だったが、内角に限ると33打数8安打2本塁打の打率.243をマークしている。得意コースになかなか投げてくれないということか。
2位は中田翔(中日)の19.7%。今季は62試合で打率.217、4本塁打に終わった。内角は32打数8安打の打率.250。2年契約の2年目となる2025年は、36歳になる年齢を考えても正念場だろう。
3位は20.8%の滝澤夏央(西武)。今季は3年目で自身最多の68試合に出場したものの打率.186どまりだった。レギュラーをつかむには24打数2安打の打率.083だった内角の克服も課題のひとつだろう。
4位は桑原将志(DeNA)で21.3%。今季は106試合で打率.270をマークし、内角に限っては打率.213にとどまったものの5本塁打のうち4本を放っている。悲願のリーグ優勝を狙う来季は、さらに確実性を高めたい。
5位は菊池涼介(広島)で21.8%。34歳で迎えたプロ13年目も136試合に出場して打率.241、9本塁打を記録した。内角は打率.221、2本塁打どまりだったが、それほど攻められていない。
内角を攻められた打者は上位5人とも左打ちだったが、攻められなかった打者は滝澤以外の4人が右打ち。右投手の場合、シュート系の持ち球がないと内角に投げにくいこともあるだろう。
ちなみに100打数以上で内角の打率が最も高かったのは阪神・渡邉諒(.429)。以下、ヤクルト・松本直樹(.417)、オリックス・太田椋(.360)、DeNA・梶原昂希(.356)、阪神・小幡竜平(.346)と巧打者が名を連ねている。
内角への対応は打者にとって重要なテーマのひとつ。野球を見る上で、そんな視点を持ち合わせると面白さが増すはずだ。
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記事:SPAIA編集部