マツヤマイカ『東京ロマンチック』インタビュー――レトロファンシーな世界観が煌めくメジャー1st EPの全貌
──SNSの総フォロワー約200万人を誇るセルフプロデュースのデジタルクリエイターとして活躍する一方、これまでは配信で楽曲をリリースしてきましたが、今回は初のEPをCDでリリースすることになりました。
「今は配信でのリリースが主流だと思うんですけど、そういう時代にCDとしてリリース出来ることが、すごくありがたいという気持ちでいっぱいです。アーティストを目指し始めた頃から、自分の音楽をCDとして形に残すことは夢でもありました。小さい頃からグッズを集めるのが趣味でしたし、配信がメインになる前はよくCDを買っていたので。それこそ、親からお小遣いをもらったら、まず最初に買うのはCDだったぐらいなんです。小中学生の頃から、サカナクションが好きでした。今も好きで、ずっと聴いています」
──では、今もCDで音楽を聴いたり?
「それが、CDプレーヤーを実家に置いてきているので、今の自宅では聴けないんですよ。でも、今回のリリースをきっかけに新しいCDプレーヤーを買おうと思っています!」
──最高のきっかけになりますね。そのEPのタイトルは、『東京ロマンチック』。このタイトルに込めた思いを教えてください。
「まず、“東京”という言葉の響きが好きなんです。プラス、東京という街そのものにもいろんな想いがあります。東京って夢を叶える場所というイメージもすごく強いんですけど、一方では寂しい気持ちにもなる街だと思っていて…。実際、私は東京で一人暮らしを始めて2年くらいになるんですけど、“なんだか寂しいけど輝いてる街だな”って、その両方の気持ちが自分の中にあります。そういう2つの想いを持っていて、なおかつ言葉の響きも好きな“東京”をタイトルにつけました。“ロマンチック”は、シンプルに自分がそういう世界観が好きで、EPも“ロマンチックな雰囲気にしたい”という気持ちがあったので、“じゃあ、『東京ロマンチック』にしよう!”と決めました」
──メジャー1st EP『東京ロマンチック』には「センチメンタル・ムーン」、「檸檬」、「猫の子」の3曲が収録されていますが、3曲とも作詞作曲をマツヤさんが手がけています。作詞作曲はいつから始めたんですか?
「「センチメンタル・ムーン」は初めて作詞作曲した曲で、2023年に作りました。自分の世界観をゼロ距離で伝えるなら、自分で作詞作曲をするのが一番の近道だと思ったので。ただ、やったことがなかったので最初は“難しいな…”と思ったんです。でも、近くに音楽を作っている子がいたり、私より年下でTikTokで自分が作った曲を使っている子もいて、周りの環境としては初めてでも入りやすかったです。」
──マツヤさんはTikTokやYouTubeのショート動画、インスタグラムのリールなどでダンスや歌、イラスト、コスプレなどを投稿して人気を博しています。さらにファッションモデルとしても活動していますが、自分で詞曲を書き、歌うという活動は、マツヤさんの中でどんな意味合いを持っていますか?
「目に見えないもので伝えられるもの、音楽でしか伝えられないものがあると思っていて、言葉が音に乗ることによって人の内側にすっと入ってくる。それを聴いてくれる方たちのために作っている部分が大きいんですけど、作っているときに自分の内なる部分というか、思ってもいなかったことが出てきたりもするので、自分のために作っているところもあります」
──そんなマツヤさんが初めて作詞作曲した「センチメンタル・ムーン」が、EPの1曲目です。
「収録されている3曲の中で、一番等身大の曲で自分のことを歌っている感じはすごくあります。初めて作った曲だということを意識して聴いてもらうと、また面白く感じてもらえるのかな?とも思ったり。あと、大好きな熱海で撮影したMVの世界観がすごく気に入っているので、ぜひMVと併せて楽しんでほしいです!」
──編曲については?
「テクノサウンドが好きなので、PARKGOLFさんに自分でDMしてお願いしました。デビュー前でしたし、まさかやってくれると思ってなかったです」
──“自分のことを歌っている”ということは、歌詞がリアル?
「そうですね。<涙なんて流してやらない ほら地に足つけて生きてやる>というフレーズとか、実際に自分で思っていた気持ちなので、そこはまっすぐ入れられたと思います」
──実際に、こういう気持ちで生きていますか?
「理不尽なことがあったときとか、そう思います。最近はもう自分の好きなことしかしていないのでないですけど、昔は理不尽な思いもよくしてました(笑)」
──2曲目は、このEPのリリースタイミングで解禁される最新曲「檸檬」です。
「基本的にちょっとエレクトロなレトロポップが好きなんですけど、「檸檬」は今回の3曲の中では、リズムとかが一番今っぽいのかな?と思っています。私の中での新しい感じが出せた曲です。ただ、この曲はもともとEPに入れるつもりで作っていたわけじゃなくて、“DTMの練習がしたいな”と思って、作り始めた曲なんですよ(笑)。でも、逆にその力の抜け具合が良かったみたいで。スタッフさんから“EPに入れるのはどう?”って言われて、そこからフルバージョンを作っていきました」
──“エレクトロなレトロポップ”という言葉がありましたけど、「檸檬」もそうですが3曲ともとこかノスタルジックな印象はありつつ、近未来感もあって、レトロフューチャーというワードで表現されるような世界観があります。
「そう感じてもらえるのは、すごくうれしいです。自分の中でもレトロすぎるのではなく、レトロな要素を取り入れつつ、今っぽさや新しさも盛り込みたいという気持ちなので」
──「檸檬」の歌詞についてはいかがですか?
「3曲の中で一番抽象的な歌詞かな?って思うんですけど、聴き手によってイメージするストーリーも、感じることもバラバラでいいなと思っています。「檸檬」の歌詞に関しては、正解はないかもって感じです」
──3曲目には、「猫の子」が収録されています。
「恋愛ソングなんですけど、自分の目線で作るのはちょっと恥ずかしくて、“もし私が男の子だったら…”という気持ちで書きました。女の子の手のひらの上で転がされている、なんか惑わされている、そういうときのやるせない男の子の気持ちを妄想しながら(笑)。編曲はVantageさんにお願いしたんですけど、80年代から90年代にかけての昔のアニメソングっぽい感じを出していただいて。MVも当時のアニメのオープニングやエンディングを見て、改めて勉強しつつ作りました」
──どんなアニメ作品を見たんですか?
「『らんま1/2』や『うる星やつら』、『セーラームーン』シリーズも見ました。もともと大好きでよく見ていたんです。今のアニメも好きなんですけど、手描きのセル画の感じとか、昔のアニメならではの良さがあるんですよね」
──EP『東京ロマンチック』リリース後、これからの音楽活動についてはどんなことを思い描いていますか?
「焦らずに、自分のスピードでゆっくりやっていきたいです。なので、すごくギラギラメラメラしているわけではなく、自分が好きなものを好きって言ってもらえるような方に届けられたらいいなって思っています。その中で新しいものを生み出していきたいですし、ライブもまたタイミングがあればやりたいですね」
──音楽活動以外については?
「とにかくやりたいことがいっぱいあるので、それを形にしてどんどん昇華していきたいです。絵の個展も開きたいですし、もっと頻繁にショート尺のMVを作りたいですし、本当に色々やりたいことがあって。だから、時間が足りないです。“1日24時間は、ちょっと短すぎないか!?”みたいな(笑)。できれば、1日48時間は欲しいです!」
──最後の質問としてはどうかと思いつつ聞きたいのですが、現在の人気の一因で、“様子のおかしい美人”と呼ばれるきっかけになった変顔は、いつからやってるんですか?
「子どものときからですね(笑)。それからずっと変な顔をするのが好きだったんです。私が19歳ぐらいのときにTikTokが始まって…私、本当に最初の時期からTikTokやっている、めっちゃ古参なんですよ(笑)。で、友だちに見せる感覚でTikTokにアップしたら、なんかバズって。そしたら、“変顔のマイカちゃん”みたいな認知のされ方になって、そのテンションのまま今に…って感じです(笑)」
──ちなみに、変顔のパターンはいくつぐらいあるんですか?
「頑張れば、20パターンぐらいはできると思います(笑)」
──今後の変顔も楽しみにしています!
「ありがとうございます(笑)!」
(おわり)
取材・文/大久保和則
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFORMATION
2025年2月19日(水)発売
VICL-66048/3,850円(税込)
マツヤマイカ『東京ロマンチック』
2025年2月19日(水)発売
VICL-66049/1,650円(税込)
配信サイト >>>マツヤマイカ『東京ロマンチック』