ハーレー乗りに愛される、 “メイド・インUSA”のH-Dカスタムの鉄板ブランド
ハーレーに改造を施し、鈍重な純正パーツを取り払い、“よりシンプルに軽くする”チョッパーの手法は、そもそも“当時のアウトローバイカーたちが警察車両から逃れるため、渋滞の中をスリ抜けしやすいよう改造を施したもの”だったのだが、それが徐々に個性的な装飾性を高め、多くの人がイメージする姿に変化していったことは想像に難しくない。そのチョッパーは60年代後期から、その製作を生業とするプロビルダーが出現しはじめ、現在のような市場を形成していく。そんなカスタム文化を支える、 “メイド・インUSA”のブランドを2つ紹介しよう。
ARLEN NESS[ アレンネス ]|常に流行を牽引するH-Dカスタムの鉄板ブランド
自宅ガレージで愛車のカスタムを始めたことで才能を開花させ、1969年にサンフランシスコの東対岸にあるベイエリアでショップをオープン。その後も「ディガー」スタイルを生み出すなど、卓越したセンスで脚光を浴びると、1970年代中期にはディガースタイルのハンドルやナロースプリンガーといったオリジナルパーツをバイク雑誌の広告を通じて販売した。
「ドラッグ スペシャリティーズ」といったディストリビューターと組むようになると商品数を徐々に増やし、1980年代末にはショップ単体でカタログを丸1冊制作できるほどまでに至り、やがては「メールオーダーバイク」という発想のもと、ほぼ自社製品のみで車両を1台作れるほど充実。これほどまで大きくなったのは、ボルトオンパーツを普及させ、“DIYでカスタムを楽しむ”という土壌を開拓したからにほかならない。
また、CNC旋盤を用いて、アルミの塊からパーツを削り出し、それを一般向けとして商品化すると、これが大ヒットし、多くのメーカーもそれに追従。現在も人気のビレットパーツを商品化したのも、「アレンネス」なのだ。
ベイエリアで自身のカスタムショップをオープンした若き天才ビルダー、アレン・ネス。この界隈ではドラッグレースが盛んで、性能を向上させるカスタムが人気。そんな背景からディガーが誕生したのだろう。
オリジナルパーツで成功し、現在は「アレンネス モーターサイクル」社となった。カリフォルニアに本社があり、ここで開発業務を手がけるほか1階は販売車両を展示。さらに2階はこれまでのカスタムを収めたミュージアムになっている。
【注目アイテム】Invertedシリーズ15スポーク エアクリーナー
高い性能と耐久性をもちながら、革新的なスタイルのよさも両立したエアクリーナー。前面だけでなく側面からも吸気できるため最大限のエアフローを実現。フィルターにオイルは必要なく、洗って何度も再利用できる点もありがたい。8万6900円
【問い合わせ】
スズキ&アソシエイツ
TEL0563-55-4700
PERFORMANCE MACHINE[ パフォーマンスマシン ]|アメリカっぽさを印象づける足まわり系削り出しパーツの先駆者
映画『イージー☆ライダー』が全世界に衝撃を与えたころ、それまでの「ベック」や「ブコ」といった大手老舗メーカーが合併や倒産し、それに代わる新メーカーが次々と誕生した。その要因のひとつが、「NASA」の高度な技術が民間に放出されたこと。これによってベイエリアの若きビルダーたちが業界の常識を変えるハイテクカスタムを次々と生み出したのだ。
そんな中、ハーレーショップの修理工だったペリー・サンズが1970年に「チョッパー スプリング マシン」というリペアショップをオープン。これが現在も高い人気を誇る「パフォーマンスマシン(PM)」の原点だ。
当時はホンダが市販車で初めてディスクブレーキを採用した「CB750four」を発売したころで、ハーレーユーザーの間では従来のドラムブレーキからディスクへと改造するカスタムが流行。そこで独自のブレーキシステムを開発し始めたことが現在のPMの礎となっている。
やがて1980年代に入り、CNC旋盤を用いてアルミから部品を削り出す技法が浸透し、業界初の削り出しキャリパーを製造。また、このころからビジネスが安定したこともあって、新たにホイール製造にも着手。PMのピカピカに輝く足まわりはこの時代に確立したのである。以降はブレーキ&ホイールメーカーとして足場を固め、現在のようなトップブランドへと成長していったのだ。
1980年代にバイク雑誌に掲載されたPMの広告では、まさにブレーキシステムをアピールしていた。
カリフォルニア州のロングビーチで1970年にオープンしたリペアショップ時代の写真。店名に「CHOPPER」を使うほど、当時の西海岸ではカスタム熱が浸透していたことがうかがえる。この後、PMへと社名を変更した。
【注目アイテム】125×4B 4 Piston ダイレクトボルトオン フロントキャリパー (M8対応)
クロム
コントラスト カット
昔からのファンならば、ピカピカに輝く削り出しのブレーキキャリパーこそがPMの真骨頂と感じるハズ。現在は、クロム仕上げだけでなくコントラストカットやゴールドなどバリエーションを増やし、ユーザーの好みに寄り添った展開をしている。
ズラリと並ぶ組み立て前のキャリパー。PM製パーツはアメリカらしさを演出できる絶好のアイテムで、ハーレー用としてだけでなく国産メーカーのカスタムなど各方面から人気があった。
【問い合わせ】
スズキ&アソシエイツ
TEL0563-55-4700