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「あの~」と「え~と」は機能が違う!?ゆる言語学ラジオの水野太貴さんが登場!

TBSラジオ

「あ」、こういう見方、考え方もあるんだ。世の中の様々な「あ」を探し多様な選択肢をリスナーの皆さんと共有する番組

9月28日(土)
犬山紙子さんがお休みのため、井上アナと同期の杉山真也アナウンサーが代打パートナーを務めました!

ゲストコーナー「あ」の人には…水野太貴さんが登場!

コーナースタート早々に水野さんからアナウンサー2人に質問が…

言語学オタクが気になる実況アナウンサーの表現方法??

水野:野球の実況で…「レフト下がる!レフトボールを取る!ホームへ投げる!バックホーム!刺した~!」みたいなのあるじゃないですか?その時…「刺した」の時だけ「た」が出て。それまでの「取る」とか「投げる」とか「ランナー走る」とかは「る」で表現してるのかが…何かわからなくて

井上:あぁ~!

水野:過去の助動詞の「た」って研究の蓄積が沢山あるのでいっぱい読んだんですけど…結局あんまり分からなくて…なので実況されてる方に聞いてみたくて

井上:おもしろい!

杉山:意識した事なかった…

井上:実況やる時って事象に遅れちゃダメよね?

杉山:プレーとか動作に遅れないようにっていうのは意識をしていますね

水野:あっ、そうなんですね

杉山:あともしかしたら…「刺した」って所で、プレーが完結を迎える。そこでの「た」なのではないかと…ふんわりと思ってます

水野:たぶん僕もそういうこと何じゃないかなと思って。そういう一連の動作の時だけ、終わり前まで「る」と使って、終わる時だけ「た」が基本なのかなぁ~って。そうすると逆に「投げる」「打つ」「走る」とか言ってる段階で最後の時だけ「た」にする、「刺した」って言うぞって意識が無いとそういう実況ができないはずなので

杉山:確かにそうですね…

井上:私は実況を専門でそんなにやっていないので分からないですけど…文末の「。」なのかもしれませんね。「投げる」「打つ」「走る」までは「、」で来ていて、文章の着地点じゃないけど「。」に相当するのかなって思いましたね

水野:実況の方が無意識でやってるのも凄いですけど、聴いてる人もそれで理解できるのも凄いなぁと思って

井上:そうですよね

水野:外国語が母語で日本語学習者の方って、これよく分かんないと思うんですよね?同じように実況しているわけだから、時制が揃っている方が自然じゃないですか?でも最後の「刺した」だけ「た」になってるのって、学習者の方に説明してくださいって言われても説明できなくないですか??

杉山:あぁ~!

井上:全くできないですね…

水野:みたいなことを!『ゆる言語学ラジオ』で話しています(笑)

井上:ニッチであればあるほど面白いですね!

水野:誰もそんなこと気にしないだろってことを(笑)でもちゃんと調べれば研究はあるので、文献を調べれば誰か学者は調べていることが多いですね

「あの~」と「え~と」の違いとは??

水野:アナウンサーさんに聞いてみたかったのは「あの~」とか「え~っと」とかって言わないように気をつけてるんですか?

杉山:TBSに入って研修の時に言われるんですよ。そういった言葉を使わないように練習したりとか

水野:どうやって練習するんですか?

杉山:フリートークの時に使うと注意されたりするので、それを繰り返すって感じですね

水野:厳しい!

井上:「あの~」とか「え~っと」を使った時が良い時もありますよね?居酒屋さんとか普通で飲んでる時、プライベートの場で「アナウンサー喋りやめてよ」って言われることが結構言われた時があって。

水野:へぇ~!

井上:でもそれって、訓練受けてるからそうなっちゃって。全然意識してないけど、そうなっちゃう

杉山:うん

井上:でもそれってもしかしたら…OAでも視聴者の方が同じことを思っている可能性があるなと

水野:不自然過ぎるってことですよね

井上:だからもう1回崩そうかなって

水野:へぇ~!

井上:意外と「あの~」とかって言った方が…「何言うんだ?この後?」とか。戦略的に使うのはありなのかなって

水野:それ凄く鋭くてですね。こういう「あの~」とか「えぇ~っと」ってフィラーって言うんですね。意味は特にない埋め草のような言葉のことをフィラーって言うんです。この研究もあって

杉山:へぇ~

水野:端的に言うと…「あの~」と「えぇ~っと」って機能がちゃんとあって、2つの違いが1995年の論文で出されていて

井上:「あの~」と「えぇ~っと」って違うんですか?!

水野:「あの~」は言えて、「えぇ~っと」が言えない場面があるんですよ!例えば…「4×8は何ですか?」って聞かれた時に、「あの~」って言いますか?

杉山:言わないですね!

水野:でも「えぇ~っと」だったらどうですか?

杉山:「えぇ~っと…32です」って言えますね!

水野:独り言の時って…「えぇ~っと」と「あの~」ってどうですか?例えば財布が無くて、1人で探している時は…?

杉山:「あの~」は使わないですね!

水野:使わないですよね?「えぇ~っと、このへんにあった気がするんだよなぁ」は言うけれど、「あの~、このへんにあった気がするんだよなぁ」は言わないですよね?

井上:対象者がいるかいないかなのかな…

水野:道案内を誰かに求められた時に、「あの~すみません。ここから東京駅までどうやって行きますか?」と「えぇ~っとすみません。ここから東京駅までどうやって行きますか?」ってどっちが自然だったり、丁寧な感じがしますか?

杉山:「あの~」と言われた方が…

水野:「あの~」の方が丁寧っぽいですよね?…つまり「あの~」と「えぇ~っと」は言える場面が違うわけだから、意味と言うよりかは機能はどうやら違うっぽいことは、この観察で分かりますよね?

井上:違うな~!

水野:で!結論から言うと「えぇ~っと」は論文の中では計算とか言われていたんですけど、頭の中で処理を促進したい時に使う。「あの~」の場合は伝えたい内容が決まっていて、その適切な形式を自分の頭の中で処理している時に出る。

杉山:あ~!

水野:「4×8は?」って言われた時に「32って言い方ってどうやって言ったら丁寧なんだろう?」ってあまり想像いかないじゃないですか?

井上:はい

水野:だからこれは不自然。道案内をお願いする時に「どうやったら丁寧だろう?」って考えるじゃないですか?「この人は自分のことを思いやって良い形式を見つけようとしてくれたっていう形跡が伝わる」ので「あの~」の方が丁寧に感じる

杉山:なるほど!!

水野:「えぇ~っと」とか「あの~」ってコミュニケーションする上では非常に大事な機能をもっている。ただそれを喋っている中は邪魔っぽいので、消してしまうんですけど、普通人は考えながら喋っているので「あの~」とか出た方が自然になる

井上:…もう少し早く出会いたかったです!!

※生放送前!同期2人の食事中の様子!

(TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』より抜粋)

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