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本髙克樹(7 MEN 侍)、イギリスの統計学者の軌跡を描く歴史ミステリー舞台『シークレットライフ』 オフィシャルインタビューが到着

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本髙克樹

2025年3月28日(金)~4月13日(日)東京・シアタートラム、4月18日(金)~20日(日)大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される、舞台『シークレットライフ - Secret Life of Humans』。主演の本髙克樹へのオフィシャルインタビューが到着したので紹介する。

本髙克樹が主演を務める舞台『シークレットライフ -Secret Life of Humans』が、2025年3月28日(金)から上演される。本作は、ジェイコブ・ブロノフスキー著『人間の進歩』と、2014年発刊以来爆発的なムーブメントとなったユヴァル・ノア・ハラリ著『サピエンス全史』からインスピレーションを受け、イギリスの最注目劇作家デイビッド・バイン氏によって作り上げられた舞台作品で、2017年『エディンバラ演劇祭』にて上演されて以来、大きな話題を呼んだ。その後、ロンドン公演、オフブロードウェイ、ドイツでも上演され、人類の歴史と倫理に対する問いかけを提起した。


この度、主人公のジェイミー・ブロノフスキーを演じる本髙のインタビューが到着。芸能活動と並行して理工学分野の研究を続ける本髙にとって、統計学者の先駆者であるジェイコブ・ブロノフスキーは研究者としての親近感を抱く人物だという。そんな本髙が本作にどのように挑むのか。役柄への印象や役作り、公演への意気込みを語った。

舞台『シークレットライフ -Secret Life of Humans』

――本作の出演が決まったときの心境を聞かせてください。

自分がこれまで学んできたアカデミックなことに紐づいている作品だったので、今回、こうしてこの作品に出会えたことがすごく嬉しいです。学業としてやってきたことと芸能活動をリンクさせるつもりは全くなかったのですが、年々、こうした形で繋がってくることがあり、人生って面白いなと感じています。

――本髙さんが学ばれている分野は、本作に登場する統計学者のブルーノに共通するものがあるのでしょうか?

統計学というと、理系だけでなく文系でもやっていることなので、すごく幅広いと思います。もう少し深掘りすると「オペレーションズ・リサーチ」という分野に行き着きます。一般的には「OR」と言われる領域の第一人者のひとりが、この作品のモデルになっているジェイコブ・ブロノフスキーです。結構、狭い領域なんですよ。なので、僕はてっきり、それで僕にオファーが来たのかなと思ったら、そうではなかったようで(笑)。「OR」はもともと、戦争などの軍事的な目的で作られた分野だということは学生時代から習っていましたし、その第一人者ということですごくご縁を感じ、今回のオファーに驚いています。

――ちなみに、本髙さんは、数学の面白さはどんなところに感じていますか?

物事の分析に対して、定性的な分析と定量的な分析があるときに、どうしても定性的な分析は、確実性に欠ける部分が出てくる。定量的に分析したからこそ定性的な分析が出てくるっていうところを考えると、数理的なものがないと始まらないと思います。つまり、必要不可欠で、そこで見えてくるものがあるというのが僕にとっての面白さなのかなと思います。すみません、年末に少し勉強しすぎて、脳がそちらになっています(笑)。簡単に言ってしまうと、物事を分析するときに、例えば統計学を使うと、データを「ここにこういう需要がある」と見ますよね。それが「定量的な分析」です。そして、「そこになぜ需要があるのか」を言葉で分析していくのが「定性的な分析」になります。定性的な分析をするには、定量的な分析が必要不可欠という意味で、統計学が重要だというお話でした。

――ありがとうございます。では、脚本を読んだ率直な感想は?

何かを引っ張って物語を進めていく主人公というよりは、どちらかというと受け身の主人公なので、それを演じるのは繊細で難しいなと思いました。これまでやったことがない役どころだと思いますし、グループでいったら矢花(黎)が得意そうだなと思いました(笑)。

――ジェイミーという役柄については、どのようにとらえていますか?

台本から見えてくるバックグラウンドが1番少ないと感じています。ジェイミーは架空の人物なので当然そうなのですが、ただ、逆に言えば、自分が持っているバックグラウンドを持ち込めるということでもあって。本髙克樹として持っているものを入れて役を作っていきたいと思います。

――今の段階ではどのような演技プランを考えていますか?

プランを考えて行くと稽古場で打ち砕かれる瞬間があるので、あまり持っていかないようにしています。その場ですぐに柔軟に対応できるようにと思って。これから作り上げていきます。

――統計学者のブルーノの軌跡を描く歴史ミステリーですが、脚本的にはかなり哲学的な要素も多い作品ですよね。そうした本作の内容についてはいかがですか?

そうですね、統計学の物語なので理論的で理系な作品なのかなと思うかもしれませんが、言葉だけを見るとすごく哲学的です。なので、お客さまにきちんと理解していただける作品にできるかがすごく重要だと思います。演出の大河内(直子)さんと、現段階での自分の思いや、どういう着地をしたら良いかというお話しをさせていただいているので、お客さまには心配せずに来ていただけるような作品にしたいと思います。

――大河内さんとお話をされたことで新たな気づきはありましたか?

僕の所属する事務所の公演でも戦争を断片的に扱った作品はありますが、この『シークレットライフ』は、戦争というものを大きく切り取っている作品だと思います。僕の祖父が自衛官だったので、よく戦争の話を聞いていたんですよ。それに、この作品が決まってから広島に行って原爆ドームも訪れました。「なぜ広島と長崎だったのか」という問いはこの作品の内容に通じるものがあると思いますし、広島を訪れたことで改めて当事者意識を持てるようになりました。大河内さんから、そうした戦争についてもお客さまに伝わるように作っていきたいというお話をいただいて、自分が考えていることと相違がなかったと感じましたし、「ただ事実を伝えるだけの作品で終わらない」を目標に掲げられたらと思います。

――脚本を読まれて、数学的な興味で分析した結果が、人を殺すことになるかもしれないというものがあっても、興味がそそられてしまうというブルーノのことは理解することができましたか?

当時は、それをやるしかなかったのだと思います。『オッペンハイマー』という映画もそうですが、その時代は、戦争で勝つことが多くの国民の目的だったわけですよね。例えば今、僕は統計学をお客さまが幸せになるために使っていますが、当時は戦争で勝つことが正義で、それしかなかった。それを批判することは難しい状況でした。結果的に人が亡くなってしまったことは悲しい事実ですが、学者として仕事を全うするしかなかったのだと思います。そして、そうした日々があったからこそ、今があるわけで、そこは否定できないと僕は思います。

――逆にジェイミーが祖父のことを知って葛藤していくというところへの共感はいかがですか?

正直、その立場になったときにどう感じるのかは分からないです。その当時の人たちが考えて選んだ末、今が成り立っているので、それらを批判はできないと思いますし、そんな権利はないだろうと僕は歴史を見ています。ただ、それが実の祖父のこととなったら話は変わってきます。これほど冷静ではいられないと思うので、そこは演じながら考えていきたいと思います。

本髙克樹

――共演者の皆さんの印象を聞かせてください。

まだ皆さんとお会いできていないのですが、今回は初共演の方ばかりで、皆さん先輩方なので、引っ張っていただくつもりでもありますが、甘えすぎずに頑張りたいと思います。

――これからお稽古が始まりますが、お稽古前に準備しようと考えていることは?

すごく生意気な言い方かもしれませんが…演技力という点では、経験値的にも支えていただく立場になると思いますが、一方で主演というものに対する意識は持っていようと思っています。『幸福王子』で初めて主演をさせていただいたとき、主演という立場は、その作品をお客さまに楽しんでいただけるか、そうでないかを担う役割でもあると僕は感じました。それはもちろん、演出家さんと話し合うこともそうですし、面白い作品にするための提案をすることもそうだと思います。

――改めて、お稽古に向けての意気込みを聞かせてください。

今回のカンパニーでは最年少で主演という立場もあり、お芝居の経験という意味でも、たくさん鍛えていただける現場になると思うので、その覚悟で臨みたいと思います。

――鍛えてもらうことは、本髙さん的には嬉しいことですか?

どうでしょうか(苦笑)。もちろん、それが続いたら落ち込みますよ。でも、最後には報われると信じていますし、成長できるタイミングだと思うので、鍛えていただきたいです。

――そうしたときも、ご自身で分析されたりして理論的な立ち直り方をされるのですか?

分析はします。最初に外部の舞台に出たときに、かなり鍛えていただいたのですが、そのときはそこまでできなくて。稽古に行く前に、駅前のベンチに座って1時間くらい空を眺めてから稽古に行くという日々を続けていました。当時は、理論を作るということはできなかったです。ただ、年齢を重ねたことでさすがに強くなっていると思います。今回は、同じ事務所の人が誰もいないんですよ。知り合いがいないというのは怖いですが頑張ります。

――2025年がスタートしました。今年はどんな1年にしていきたいですか?

今年は、自分の人生も含めて見直す年であり、ここから新たな挑戦をする年にもなるのかなと思っているので、分岐点になるのかなと思いますので、今まで以上にエンターテイメントを楽しむことを忘れずに精進してまいります。

インタビュアー:嶋田真己
ヘアメイク:服部幸雄(MAKE-UP ROOM PLUS)
スタイリスト:柴田拡美(Creative GUILD)
衣裳協力:ASCLO(株式会社 SPES/050-3635-7737)、CALM AND RIDE(ダブル・ア イ・インターナショナル/03-6804-2877)

チケットはイープラスにて販売中。

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