猫の『鼻が乾いている』ときの原因4選 いつも鼻が濡れている理由も解説
なぜ猫の鼻はいつも濡れている?
猫の鼻は、いつもしっとりと濡れていますが、これは異常ではありません。
鼻が濡れているのは、空気中のニオイの粒子をくっつけやすくして、正確にニオイを嗅ぎとるため。猫は薄明薄暮性で薄暗い中で狩りをすることから、視覚による情報収集よりも、嗅覚や聴覚の方が発達したからなのです。
猫の鼻先は、鼻の奥の粘膜へと続いていて、涙や鼻水のように自律神経でコントロールされています。生理状態やストレスレベルなどによって鼻の湿り気具合も変わります。
鼻がしっとりとほどよく濡れているのは健康な証ですが、かといって乾いている=即異常というわけではありません。1日の中で、濡れたり乾いたりしているのです。
ただし、鼻が渇いているときには、いくつか気に留めておきたいことがあります。
猫の鼻が乾いているときに考えられる原因4選
猫の鼻が乾く主な理由は副交感神経の作用によるものですが、ではそれはどのようなときかというと、実はさまざまな状況が考えられます。
そして、これらの状況が、猫の鼻が乾いているときの主な原因です。
1.寝ているときや寝起き
猫が寝ているときに、鼻が乾いているのは、睡眠中に副交感神経が優位になり、鼻の粘膜の分泌が抑えられるためです。
寝ている間は、ニオイを敏感にキャッチする必要が低いため、鼻の粘膜を湿らせる生理的な必要性は減ります。まったく嗅覚が遮断されるわけではありませんが、身体が休むための、代謝機能が落とされているからです。
起きてからしばらくすると、鼻もしっとりとした状態に戻るため、寝起きすぐに鼻が乾いていても、あまり心配する必要はありません。
2.乾燥した環境
部屋が乾燥していると、表面から水分が蒸発しやすくなるため、猫の鼻も乾くことがあります。
特にエアコンの使用などによって長時間空気が乾燥していると、鼻の分泌が追いつかず、乾燥してしまう原因になります。ストーブの前や扇風機の風が当たる場所は、特に乾燥しやすい場所です。
空気が乾燥しているときは、猫の鼻が乾燥するだけでなく、皮膚や目にも影響が出ることがあります。健康維持のためにも、部屋の湿度は40〜60%程度に保てるようにしましょう。
3.加齢
年を取ると、体のさまざまな働きが変化してきます。鼻の分泌液の水分量が減ったり、体内の保水力が少しずつ弱くなったりすることで、鼻が乾いている時間が長くなることがあります。
また、体液の分泌の調整自体がスムーズにいかなくなることも、鼻の乾燥に関係していると考えられます。
一般的に猫は7歳以降からシニアと呼ばれるため、まだまだ元気に見えても、日頃から様子をよく観察するようにし、エアコンの直風や直射日光での日向ぼっこは避けるようにしましょう。
4.体調変化
発熱や脱水があるときには、猫の鼻も乾燥しやすくなります。熱の影響で分泌腺の働きが弱まることでカサカサしたり、脱水によって粘膜への水分供給が不足し、鼻のしっとり感が失われたりする原因になります。脱水のときは、皮膚の弾力や目の潤いも失われやすくなります。
体調不良による鼻の乾燥は「元気がない」「食欲がない」「寝てばかりいる(ぐったりしている)」といった、他の兆候と一緒にあらわれることが多いため、見逃さないようにしましょう。
鼻が乾きっぱなし?心配すべきときはいつ?
愛猫の鼻が乾いていることが、すぐに異常につながるわけではありません。実際には、一時的に乾いているだけなら問題ないケースがほとんどです。
以下のような状況なら、心配はいりません。
✔寝起き
✔日向ぼっこ
✔暖房の近くにいたあと
✔以前と比べて乾きやすくなった(加齢)
こうした場合は自然な代謝によるもので、時間が経てば元の状態に戻ることがほとんどです。
ただし、なかには注意が必要なケースもあります。以下のような症状を伴う場合は、病気のサインかもしれません。
✔鼻の渇きが半日以上継続している
✔鼻がひび割れている
✔鼻にかさぶたがある
✔鼻水が出ている
✔くしゃみが多い
✔元気や食欲がない
こうした症状が見られるときは、ひどい脱水状態か、鼻炎やウイルス感染症(猫風邪)などによる鼻炎が疑われるため、獣医師の診察を受けるようにしてください。
まとめ
猫の鼻がカサカサに乾いていると気になるものですが、すべてが病気のサインというわけではありません。
猫は眠っているときや室内の空気が乾燥しているときなどに、鼻が乾くことがあります。また、年齢とともに鼻が乾きやすくなることもあります。
もし、鼻の乾きが一時的なものであれば、過度に心配する必要はありませんが、長時間続く場合や、食欲や元気の有無などの体調の変化も見られるような場合は注意が必要です。気になるときには、早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。
(獣医師監修:葛野宗)