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140年もの伝統を誇る「フランス料理アカデミー」 日本支部で新会員認証式とガラディナーを開催!

料理王国

140年もの伝統を誇る「フランス料理アカデミー」 日本支部で新会員認証式とガラディナーを開催!

フランス料理の発展を目指して、パリに「フランス料理アカデミー」の前身が設立されたのは1883年2月のこと。以後、歴代の役員はもちろん、会員にも実力あるシェフや料理界に貢献する人々が名を連ねてきた。世界各国に支部を立ち上げて組織は大きく成長し、その活動拠点のひとつに日本支部がある。そんな日本支部からは、今年、新たに24名の新規会員が誕生した。

「フランス料理アカデミー」の歴史を紐解くと、フランスに本部が置かれたのは140年も前にさかのぼる。「料理サイエンス」という新聞の編集長、ジョゼフ・ファーブル氏により、料理芸術の進展を目指し、真に本物のフランス料理を追求すべく設立されたのだった。

その崇高な目的は、本国フランスはもちろん世界各国の支部でも貫かれ、2年ほど前から日本支部の会長を務めるフィリップ・バットンさんにも受け継がれている。

1968年設立の「フランス料理アカデミー 日本支部」では、24名の新規会員が誕生。会員になるには、アカデミー事務局による人選を経て、総会で承認を得る必要がある。認定式で新規会員に激励の言葉を送ったのは、フィリップ・バットン会長(左)と、フランス本部副会長のジェームス・ベルティエさん。

去る2024年11月18日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで開かれた新入会員認証式において、バットンさんは新メンバーを迎えるにあたり、会長としての決意と喜びを示した。

新会員ひとりひとりに認定書を手渡すと、記念撮影へと誘うバットンさん。新会員の中にはすでにトップシェフと評される人も少なくないが、そんなシェフにとっても、この認定式は、晴れがましい舞台となった。

「格式と伝統を誇るこの会の一員として受け入れられたことは、非常に名誉なことであると同時に、身の引き締まる思いです」と語る料理人も少なくなかった。

ガラディナー前のカクテルパーティーでは、役員や新旧会員がシャンパンや軽食を楽しみながら交流を深めた。

認定式の後は、役員や会員たちが親睦を深めるカクテルパーティー、そしてガラディナーが開催された。

立食形式のカクテルパーティーは、新旧会員が自由に語り合えるフレンドリーな雰囲気。日本語とフランス語が飛び交う中、会員の中には「修業時代に慣れ親しんだフランス語ですが、独立して久しい今は話す機会がめっきり減りました。ですから、フランス語で会話できるのもこの会の醍醐味なんです」と語る人もいた。

1年間の締めに開かれたガラディナーには約140名が出席した。

カクテルパーティーで親交を深めた後は、広々としたガラディナーの会場へ。この日のために日本支部では理事自ら計画を練り、入念なリハーサルを行った。その指揮をとってきたのが引地正修理事だ。
「みなさんが心から楽しんでいただける会にしたいので、今回から新たに導入した企画、また変更点、改善点などはいろいろあります。ガラディナーで随所に適した音楽を取り入り入れているのも、大きな改善点のひとつですね」

引地理事(写真右)は、アメリカ生まれの浄水システム「シーガルフォー」を日本に広めた立役者で、日本のフランス料理文化の発展に長年貢献してきた。バットン会長(写真左)とは数十年来の友人だ。

また、会員たちを料理でもてなす、セルリアンタワー東急ホテルの総料理長・福田順彦氏からも、その意気込みは伝わったってきた。
「温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態でお出しする――料理の基本にのっとってお客さまをおもてなしするだけです」と笑顔で語りながら、テーブルに次々と運ばれてくるのはいずれもシェフのスペシャリテ。計算しつくされたそれらの料理は厳選されたワインとともに会員たちを唸らせていた。

最初に提供された「インペリアル・オセトラキャビア添えのカニのタルトレット」。旨みたっぷりのカニの身の柔らかさとタルト生地のサクサク感――食感のアンサンブルも楽しいひと皿。

ガラディナーの料理について説明する福田順彦総料理長。

魚介の濃厚な味わいが印象的な「香り豊かな南プロヴァンス風スープ クネル添え」。

「白ワインで柔らかく煮込んだラパンと黒豚のプレッセ、トリュフのドレッシングとともに」は、シェフが得意とする料理のひとつ。鶏のガラや豚肉の骨、香味野菜の切れ端などを煮込んだスープにはむだなく美味しさを表現するテクニックが生かされている。

デザート「塩キャラメル風味のミルフィーユ、香り豊かなヴァニラアイスを添えて」もシェフのスペシャリテで、バリっと小気味よい食感のミルフィーユはここでしか味わえない。

ガラディナー会場では、日本でのこれまでのバットンさんの功績を称えて、農事功労章が授与される場面も。バットンさんは、「フランス料理アカデミー 日本支部」の会長を務める以前から、日本各地のホテルやレストランの料理顧問に就任し、テレビ出演や本の出版などを通してフランス料理の発展に努めてきた。

今回の受章についてパットンさんは感謝の意を表すともに、同席していた家族に「フランスのガストロノミーを広めることに全力を注ぐことができたのは家族のおかげ」と語り、参加者から祝福されていた。

さらにバットンさんは、「今はフランスだけでなく、各国でシェフたちがしのぎを削っています。日本にも日本の文化を大切にフランス料理に取り組んでいるシェフたちがいて、それは素晴らしいこと」とも語っていた。

今回の新規会員の認定式などには、そうした料理人を応援したいとの思いが込められ、また、2025年3月24日に開催が予定されている「第10回アンドレ・ルコント杯」コンクールの根底にもそうした思いがあるといえるだろう。

「アンドレ・ルコント杯」は、同アカデミー日本支部の初代会長として、フランス料理・菓子の分野で日仏両国の文化交流に長年尽力したアンドレ・ルコント氏を称え、フランス伝統菓子の発展を願うイベント。挑戦者らは、直径25cmのパリ・ブレストや小菓子を作って競い合う。優勝者には副賞としてフランス研修旅行が贈られる。

多くの人々の料理への情熱によって支えられている「フランス料理アカデミー」。これからもフランス料理の発展と進化に貢献しつつ、歴史を刻んでいくことだろう。

「アンドレ・ルコント杯」への挑戦者募集中!

●開催日 2025年3月24日(月)
●会場 服部栄養専門学校
●応募資格 20~35歳(コンクール実技審査実施日の満年齢)
●テーマと作品
直径25cmの「パリ・ブレスト」を2台(展示用、試食用各1台)とオリジナルの小菓子新作品1種類10個を製作。
●参加費 5000円
●応募方法 必要事項を記載した書類を「フランス料理アカデミー 日本支部」宛にメールで送付。
●応募締め切り 2025年1月31日(金)必着
詳しくは下記参照
https://acfj.jp/250324news/

text:上村久留美 photo:山家 学、澤﨑昌文

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