本日(4/25)オープンした香港式ファミレスはコンセプトが秀逸! ただし絶対に直してほしいと思うポイントが…
私(佐藤)はもともと飲食店で働いていた経験がある。現職に就くまでは「いつかは自分のお店」をなんて夢見たこともあった。だから飲食店は好きだし、新規オープンのお店を訪ねることも多い。開店初日の飲食店は戦場だ。不慣れなスタッフが互いに協力して、最初の試練を超えて行く様子を見ると、昔の自分を思い出したりする。
そんなオープンの初日は、そのお店にとって1番の宣伝機会である。口コミの第1歩はここから始まるのだから、できる限りの工夫を施して、お客さんに満足して帰ってもらうべきなのだ。
だが、最近訪ねたお店は正直なところかなり厳しかった。お店のコンセプトは秀逸で、やり方次第で人気店にもなり得る。ここをこうすれば……、きっと良いお店になるはず。
・香港式ファミレス
そのお店「ヤンヤンビンサ(洋洋冰室)」は2025年4月25日、JR吉祥寺駅の北口から徒歩約1分のところオープンした。お店のコンセプトは「香港式ファミリーレストラン」、提供メニューは一般的なファミレスにならって、モーニング・ランチ・ディナーの3区分で構成している。
事前に開店情報を得ていた私は開店を楽しみにしていた。香港のフレンチトーストやミルクティーは珍しくないけど、「ファミレス」として打ち出したお店は記憶にないからだ。
開店時刻の5分前にお店に着くとすでに行列。地元の人たちの関心の高さがうかがえる。
入店してメニューを見ると、ミルクティーやフレンチトースト、エッグタルトなどの定番メニューのほかに、香港式のオムライスやドリア、カレー。そのほか麺類などが並んでいる。品数はまさにファミレスそのもの。これだけのメニューを初日から出すって結構大変なんじゃないかな。
ここでの注文は、スマホでQRコードを読み取って専用サイトから行う。これが結構厄介だった。というかこの仕組みには少々課題が……。詳しくは後述させて頂く。
私は、「サテビーフ & エッグ ポーローパオ」(税込528円)と冷たい「ミルクティー」(税込473円)を頼んだ。
・提供に時間がかかる……
でね、繰り返すけど今日はオープン初日。立て込んでいることはよくわかっている。けど、ミルクティーが出てくるのに20分かかった。早く出せとは思わないけど、20分はなかなかの時間ですよ。まわりを見ると、ほかのお客さんのテーブルには、まだ何も出ていなかったりする。
ひと通り席は埋まっているので、まずは全部の卓のドリンクを出してしまって、それでお客さんに待ってもらってる方が印象が良いと思うんだけどな~……。お店の人、テンパっちゃってたからまずは落ち着こう。それで、出せるものは一旦全部出してしまおう。するとお客さんも落ち着くから。
で、そこからさらに40分経過。つまり1時間経って、ようやくポーローパオが出てきた。これはわかりやすく言えば、メロンパンサンドである。サンドイッチに1時間はかかりすぎじゃないかな~。私は聞かなかったけど、他の卓のお客さんは「まだ時間かかりますか?」と立て続けに2組聞いていた。そりゃ聞くよね。
全部提供が遅いのかと思ったら、私の後から入ってきた隣のお客さんは、頼んだオムライスを食べてもう席を立っていた。オムライスの方がサンドイッチより早いとは、ちょっとなあ~……。
温めたパンに卵と肉を挟むのに1時間か~……。やり方にちょっと問題があるんじゃないかな。
味は良いと思う。パオ(パン)は表面がサクサク、肉と卵の柔らかな食感とのコントラストが面白い。軽食として食べるのにはちょうどいいサイズ感である。追加でフレンチトーストも頼もうかと思ったけど、今からさらに1時間かかるんじゃないかと思うと、頼めなかった……。
・メニューを絞った方が
いくつか気になった点を指摘させて頂くと、まずは初日なのにメニューが多すぎる。ファミレスを掲げている以上、仕方がないと思うけど、スタッフが全部を把握できているとは思えなかった。実際、見えていた厨房スタッフはレシピを見ながら調理をしていた。
本当は全部覚えた方が良いとは思うけど、間に合わなかったのなら、メニューを絞った方が効率的。お店が落ち着くまでの間は半分のメニューでもよかったと思う。
それでも良い売り方はあって、「オープン記念スペシャルセット」(限定100食)とかいって、提供しやすいメニューをまとめて100食分作り置きしておいて、「こちらがおすすめです」といって、誘導をかけるのも手なんじゃないかな。
・口頭でも頼めるように
次にスマホでのオーダー方法だけど、このお店は地下です、電波が入りません。その代わりにWi-Fiを開放しているんだけど、パスワードのないフリーWi-Fiです。今日日(きょうび)パスワードなしはかなり危険だと思うので、せめてパスワードは設定してほしい。
それから、口頭で注文を受け付けるくらいのゆとりは欲しいなあ。年配の方にはスマホオーダーはわかりにくいので、適宜口頭で注文を受けても良い気がする。
とにかく料理が出ないからお客さんが回らず、中には昼休みにランチで来てるのに、ジッと待つ羽目になった人もいた。席が回らないから入口には行列ができ、さらにお客さんは待つ方へと循環してしまっていたのである。
すぐにでも提供メニューを絞って「こちらならすぐにお出しできますよ」って、勧め方をすべきだと思った。今日は仕方がなかったとして、明日以降はテイクアウトメニューも用意しておいて、「お持ち帰りならすぐです」みたいな売り込みをするとか。
せっかく良いコンセプトが良いのだから、やり方ひとつできっと上手くいくはず。とにかくメニューを絞ることをお考え頂きたい。全メニューの提供は「Coming Soon」ともったいつけるのもひとつの手だ。再来店を促す良い材料になるのでは。
まずはWi-Fiにパスワードをお願いします。それを1番にやってほしい!
・今回訪問した店舗の情報
店名 ヤンヤンビンサ(洋洋冰室)
住所 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-11-12 B1F
時間 11:00~23:00(6月1日から8:00~23:00)
参考リンク:Instagram @yanyanbinsa
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24