空から見るニッポン。ただいま、宮城県七ヶ浜町の上空です!
美しい島々の眺めで有名な宮城県の松島湾。七ヶ浜(しちがはま)町はその南側、三方を海に囲まれた半島部に位置する。仙台市からは車で40分程度の距離だ。「七ヶ浜」とは、湊浜・松ヶ浜・菖蒲田(しょうぶた)浜・花渕(はなぶち)浜・吉田浜・代ヶ崎(よがさき)浜・東宮(とうぐう)浜の七つの集落があったことから。人口は約1万8000人。面積は約13㎢と、東北地方で一番小さな町だ。
東日本大震災から13年。モーターパラグライダー体験で人気の町に
以前、宮城県七ヶ浜町に2週間ほど滞在し、風の条件がよい日は毎日のようにモーターパラグライダーで飛んでいたことがある。
七ヶ浜町は太平洋に半島状に突き出た形をしている。その南側にある菖蒲田浜の海水浴場から離陸して、周囲を飛び回って空撮を行った。
菖蒲田海水浴場は県内1、2位を争う人気の海水浴場だったが、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けて閉鎖された。
その後、町や県外からのボランティアやサーファーなどの努力で復興し、2017年から本格的に営業を再開。現在、整備された海岸線は被災地だったとは思えないほどきれいになっている。
上空からは西方向に塩竈市や多賀城市、その奥には仙台の中心街が見える。北は日本三景で知られる松島で、贅沢な景色が広がる。
七ヶ浜町は松島湾の入口となっており、高度を上げると湾内に約260あるといわれる島々すべてを見渡すことができるのだ。
この町では観光タンデム試乗として、一般の観光客でも二人乗りで飛んで空からの景色を楽しむフライト体験ができる。それを目的に県外から訪れる人も多く、人気の体験アクティビティーの一つとなっている。
モーターパラグライダーが被災地の震災復興で観光客集客の一助になったことは感慨深い。
そんな場所で個人的に飛ばせてもらえたのは、とても光栄で貴重な経験だった。
取材・文・撮影=山本直洋
『旅の手帖』2024年9月号より
山本直洋
空飛ぶ写真家
1978年、東京生まれ。モーターパラグライダーによる空撮を得意とする”空飛ぶ写真家”。現在、世界七大陸最高峰を空撮する、成功すれば世界初のプロジェクト「Above the Seven Summits Project」を計画中。