【太子町】ジャスコ跡に書店&カフェ誘致、総合公園では季節イベントの展開を─兵庫県立大生がまちづくりで提言
地元の玄関口、JR網干駅周辺の活性化策について若い視点の助言を得ようと、兵庫県立大環境人間学部社会デザイン系2回生のフィールドワークを受け入れていた太子町でこのほど、作業の総仕上げとなる発表会が行われた。
学生たちは今年5月から3回にわたって同町で現地視察や住民聴取を行い、沖汐守彦町長や町職員にもインタビュー。この結果をもとに意見を出し合い、最終的に網干駅前だけでなく、駅北のジャスコ跡地や町最北端にある総合公園の利活用も含め、今後のまちづくりと観光施策の方向性について幅広く提言した。
学生9人は冒頭に、面積が県内で3番目の小ささながらも人口が県12町のうち2番目に多く、とりわけ15歳以下の人口比率が最も高いことや1世帯あたり平均で2台の自家用車を保有していることなど、同町の地勢を紹介。続いて「経済、暮らし、人口、環境という4要素のサイクル形成を目指す」と目的を明確にした上で、町民の住みやすさに重点を置いて考えたアイデアを交互に発表した。
網干駅では、地元高校生から「若者が集える場がない」との声があったことを踏まえて芝生と噴水の広場整備を求めたほか、幼稚園児らの製作した作品の構内展示も提案。総合公園については、週毎や日替わりで様々なイベントが行われているものの、具体的に何をしているかが分かりにくいと苦言。「季節毎にイベントをブランディングすることで訴求力が上がり、定期的な参加者を確保できるようになる」と、春には周辺飲食店が出店しての花見行事やビアガーデン、夏には地元製氷会社の協力による氷彫やかき氷のフェス、秋には親子で木の実と松ぼっくりを使った雑貨作り体験会、冬にはクリスマスをテーマにしたフリーマーケットの開催を提言した。
また、ジャスコ跡地ではスターバックスコーヒーを併設したツタヤ書店の誘致を提案。「姫路市にもない業態。跨線橋の完成で交通の便が良くなり、集客も十分見込める」と一推しした。
最後に「フィールドワークを通して公務員のやりがいと大変さを学べたほか、用途地域による建築物制限の存在など、社会デザイン系の必要知識を身を持って体験できた」と感謝して発表終了。
聞き終えた沖汐守彦町長は、「斑鳩寺や宮本武蔵の像といった歴史コンテンツだけで観光は成り立たないと考えていたところ。親子をターゲットに総合公園を開放する発想には感心した。ぜひ予算化したい」と早期の事業化に意欲を見せた。幹部職員からは「2年後に太子町役場へ就職してほしい」という要請も飛び出した。