もしも「食べられるガラス」があったら? リアルな“試作品”を美大生が製作
昭和時代に多くの家庭で見かけた、特徴的な模様の「型板ガラス」。これがもし食べられたら……? そんな発想をリアルな見た目でデモンストレーションしたアクリル作品がSNSで話題に。作者の方に製作の経緯をうかがいました。
【「4枚1セット」のパッケージを想定し、模様が重なり合って見えるようにデザイン】
■ 現時点は「食べられない」アクリル製の試作品だが… 「飴作りで協力してくれる方がいれば」
1950年代から1970年代にかけて住宅の窓などに使用された型板ガラスは、細かな凸凹を持つ曇りガラスの表面に星や結晶のような独特の模様があしらわれているのが特徴。
ガラス製造技術の進歩にともない、1970年代後期を境に製造の規模は大幅に縮小したものの、デザイン性の高い意匠は当時の空気を感じる「昭和レトロ」として、根強いファンを持っています。
そんな型板ガラスの質感を「もしも飴として再現したら……」と発想したのは、現在美術大学でグラフィックデザインを専攻する、よこぼーさん。自身のXに“試作品”の写真をアップすると、そのリアルすぎる姿に「食べてみたい!」とリアクションが寄せられました。
アップされているのは、笑顔でガラス板をかじっているように見える女性の写真。眺めていると思わず「どんな食感なんだろう」と、想像の“味”が口の中に広がりそうです。
「一体どこで食べられるのか?」とワクワクしてしまいますが、あくまで「飴で作ったイメージ」を提案するためのもので、実際にはアクリルで作られているとのこと。
「型をとって、飴を流しこむことで作れないかと想定しています」とよこぼーさんは語り、「飴作りで協力してくれる方がいれば嬉しいです」と、実現化への期待を見せています。
■ 「新しいJAPAN土産を考える」学校の課題で製作
製作のきっかけは、学校の授業で出た「新しいJAPAN土産を考える」という課題。よこぼーさんは「おばあちゃんの家でよく見た模様のあるガラス窓が綺麗だった」ことを思い出し、型板ガラスについて調べたそうです。
その結果わかったのは、かつては100種類以上あった型板ガラスが、現在1種類のみしか国内生産されていないということ。「新しい形のお土産として復刻できないか」と考え、「食べられる型板ガラス」というアイデアを着想したといいます。
作品名は、「食べる」という要素とガラスの質感を組み合わせた「パリン透(とう)」。本物のガラスを食べているような感覚にもなり、かつ持って帰ることもできるバランスを考慮して、25cmの正方形というサイズにたどり着いたそうです。
また、「4枚1セット」のパッケージを想定し、模様が重なり合って見えるようにデザイン面の工夫も。海外の人向けに型板ガラスについて知ることができるパンフレットを添えるなど、実際の商品開発さながらの綿密な設計がなされているとのことです。
「『食べられる型板ガラス』をパリンと割って家族や友人とシェアしたり、もちろん豪快にそのままかじるのも楽しそうです!」と、よこぼーさん。
いまのところ実際に食べられる機会は未定ですが、いつの日か「新しいJAPAN土産」として手に取れるときが来るかもしれません。
そんなよこぼーさんは、8月26日から31日まで、代官山・アップステアーズギャラリーにてグループ展を開催予定。詳細はよこぼーさんのXやInstagramで発信されるということです。
<記事化協力>
よこぼーさん(@yokobo__o)
<参考>
よこぼーさん Instagram(@yokobo__o)
(天谷窓大)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025060901.html