高山勝成がIBO王座奪取で日本初のボクシング5団体制覇!戦い続ける男に新たな勲章
カー・ルーに大差判定勝ち
プロボクシングのIBOミニマム級王座決定戦が18日、フィリピンで行われ、元4団体ミニマム級王者の高山勝成(41=石田)がカー・ルー(24=オーストラリア)に判定勝ちし、日本人初の5団体制覇を果たした。
41歳のベテラン・高山は1年3カ月のブランクを感じさせず、148センチと小柄な相手から着実にポイントを奪取。豊富な手数と旺盛なスタミナでフルラウンドを戦い抜き、118-110、119-109、120-108の大差判定をものにした。
2005年4月に奪ったWBC(世界ボクシング評議会)を皮切りに2006年11月にWBA(世界ボクシング協会)、2013年3月にIBF(国際ボクシング連盟)、2014年12月にWBO(世界ボクシング機構)の主要4団体ミニマム級王座を獲得している高山。一度は東京オリンピック出場を目指してアマチュアのリングに上がり、出場を逃してプロに復帰した末の5団体制覇は立派の一語に尽きる。
IBO(国際ボクシング機構)は1988年に設立されたマイナー団体で日本非公認。過去にフロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオらトップボクサーがIBOのベルトを巻いたこともあるとはいえ、現在は王座が空位の階級も多く、高山と対戦したルーも他団体のランキング上位には名前が見当たらない。
世界王者を名乗るには説得力に欠けるのが現実ではあるが、それでも身長158センチの小さな体で41歳まで現役を続けていること自体が驚異的。記録上は日本初の5団体制覇として永遠に名前が残る。戦い続けるベテランがまたひとつ勲章を手にした。
所属ジムも転々、世界中のリングに上がった不屈のボクサー
元々、世界のボクシングを統括する団体はひとつで、名実ともに世界王者は世界で最も強いボクサーだった。しかし、最古のWBAから1966年に分裂したのがWBC。さらに1983年にIBF、1988年にWBOが設立された経緯がある。
JBC(日本ボクシングコミッション)は世界王者の価値を損ねないため、長くWBAとWBCにのみ加盟しており、1984年にIBFバンタム級初代王座に就いた新垣諭(奈良池田)は歴代世界王者にカウントされなかった。
しかし、高山が当時非公認のIBF王座を獲得したことなどもあり、2013年にJBCはついにIBFとWBOに加盟。井上尚弥(大橋)が4団体統一王者として活躍しているのも、高山が扉をこじ開けてきたからとも言えるのだ。
所属ジムもエディタウンゼント、グリーンツダ、真正、仲里義竜など転々とし、世界中のリングに上がってきた不屈のボクサー。35勝(12KO)9敗1無効試合となった高山の45戦目は、努力を続けてきた男へ神様からのご褒美だったのかもしれない。
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記事:SPAIA編集部