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全国高校ラグビー強豪校 釜石に集結! 3年目の交流会 雨にも風にも負けず熱戦 震災・防災学習も

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 東北復興高校ラグビー交流会2025は1~3日まで、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムなど3会場で行われた。同参加校幹事(野上友一、大西一平代表幹事)、同実行委(小笠原順一実行委員長)が共催。3年目の開催となる今年は17チーム約600人が参加。北海道から九州まで各地の強豪校に加え、本県各校で結成した合同チームが交流試合を行った。東日本大震災から立ち上がり、2019年のラグビーワールドカップ(W杯)開催を成し遂げた地で、高校生らは競技に通じる“不撓不屈(ふとうふくつ)”の精神を学び、レベルアップへの足掛かりとした。

 同交流会はW杯日本大会で高まったラグビー熱や大会レガシーを次世代に継承し、選手の心身育成や競技の普及・振興につなげようと企画された。常翔学園(大阪府)ラグビー部の野上友一ゼネラルマネジャーが全国の伝統校に参加を呼び掛け、2023年に初開催。年々、参加校が増えている。

 1、2の両日はW杯会場となった同スタジアムのほか、根浜シーサイド多目的広場、市球技場で参加チーム対抗の交流試合が行われた。1試合20分で、できるだけ多くのチームと対戦できるようにし、2日間で43の対戦カードが組まれた。両日はあいにくの雨模様。2日は風もあり、冷え込む中での試合となったが、選手らは気合十分。互いに声を掛け合い、気迫みなぎるプレーを展開した。新年度のチームづくりに向け、自他の力を知る機会にもなり、レベルアップにつながる学びを得た。

県内チーム同士の対戦「黒沢尻工業-南昌みらい・岩手・盛岡三合同チーム」=1日、釜石鵜住居復興スタジアム


「名古屋-盛岡工業」中部と東北、離れた地域のチームとの対戦は貴重な機会


 2日は午後の試合の前に防災学習も行われた。スタジアムに全参加者が集まり、震災伝承施設「いのちをつなぐ未来館」スタッフの川崎杏樹さん(28)から話を聞いた。川崎さんは震災当時、中学2年生。スタジアムの場所に学校があり、隣接する小学校の児童の手を引いて津波から逃れた経験を持つ。地震発生から高台避難までの詳細を伝え、津波災害の恐ろしさ、迅速避難の大切さを教えた。「助かったのは防災学習のおかげ。ラグビーの練習も防災も同じ。自分の命を守るために普段から考え、訓練や体験で正しい知識を得て避難行動につなげてほしい」と願った。

14年前の震災を経験した川崎杏樹さん(右)から当時の話を聞く


津波の怖さ、平時の備え(防災学習)の有効性を学んだ高校生ら


 広島県から初めて参加した尾道高の佐藤麗斗主将(3年)は“ラグビーのまち釜石”の訪問を楽しみにしていたといい、「今まで対戦経験のないチームともたくさん試合を組んでもらいありがたい。各校独特のプレーが見られて勉強になるし、自分たちが通用する部分、しない部分が分かったので、さらにレベルアップできそう」。自身は熊本県出身で、小学2年時に熊本地震を経験。川崎さんの話や釜石の津波防災対策が強く印象に残り、「尾道も海に面しているので、いざという時には(避難)行動を取れるようにしている」とうなずいた。

初参加の尾道高(黄色ジャージ)。降りしきる雨の中でも全力プレー!トライを重ねる


 尾道高の田中春助監督(37)は震災直後に釜石を訪問。その後、複数回にわたりボランティア活動に従事した。「ここ(スタジアム)にあった小学校の上階に車が突き刺さっていたのが忘れられない。あれだけの被害を受けたまちがここまで復興した姿に感激している」。部員らには「こうしてラグビーができること自体、決して当たり前ではない。感謝の気持ちを忘れないでほしい。震災を生き延びた人たちの思いを受け止め、自分に何ができるか、意識できる人になってくれれば」と期待を込めた。

 最終日の3日は、各校の選抜選手で結成した2チームによるドリームマッチも行われ、予定していた47試合全ての日程を終えた。

県外進学の釜石出身高校生ラガー 久しぶり 地元での試合に特別な思い


釜石出身!仙台育英でプレーする(左から)眞田羚史さん、八幡玲翔さん、倉田煌生さん(いずれも2年)


 同交流会に参加した県外の高校には、釜石出身者も複数在籍。2年生部員21人が参加した宮城県の仙台育英学園高には、日本製鉄釜石シーウェイブス(SW)の子ども育成部門ジュニア(幼児・小学生)とアカデミー(中学生)で競技に励んだ眞田羚史(甲子中出身)、八幡玲翔(釜石中同)、倉田煌生(大平中同)の3選手の姿が…。会場には中学まで指導にあたったSW関係者も足を運び、そのプレーを目で追った。

 八幡さんは中学3年時に、県中総体ラグビーで釜石中特設チームの主将を務め、大会初優勝を飾った。同大会など思い出の多い“うのスタ”への来訪は約1年ぶり。「新チームが始まる4月に全国の強豪と対戦でき、自分だけでなく東北全体のレベルアップにつながったと思う」と感謝。仙台育英でのラグビーは「環境が整っていて、自分自身しっかりとラグビーに向き合うことができ、日々、成長できている。東北大会で1位になり、花園でベスト8に入るのが目標」と志を立てた。

「仙台育英-札幌山の手」の試合。W杯聖地“うのスタ”で熱戦


釜石出身、國學院栃木で高みを目指す阿部海凛さん


 2、3年生38人が参加した栃木県の國學院大栃木高には、SWアカデミー、甲子中出身の阿部海凛さんが在籍する。関東に出たことで、さまざまなチームとの対戦機会を得ているが、「地元釜石で多くの強豪校と試合ができるのは新鮮」と気持ちも新たに試合に臨んだ。3歳の時に震災を経験。停電し、懐中電灯一つで夜を過ごした記憶が残る。交流会での震災学習について、「津波の恐ろしさ、危険が分からない人が多いと思うので、東北で学んでもらい、将来に生かしてほしい」と願う。寮生活を送りながら努力を重ねる日々。「自分がやるべきことを考え練習に励んでいる」とし、チーム目標の“花園優勝”に向け「一刻も早くメンバー入りして試合に出たい。応援してくれている家族のためにも試合に出て恩返しがしたい」と意気込む。

九州王者・東福岡に挑む國學院栃木(紺ジャージ)

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