「みなさんもたくさん「コヒュッ」りましょう!」──『ばっどがーる』優谷 優役・橘 杏咲さん、水鳥亜鳥役・花宮初奈さん、涼風 涼役・松岡美里さん、瑠璃葉るら役・花井美春さんが語る作品が持つ「キュン」と「エモ」のかけら【インタビュー】
2025年7月5日(土)より放送開始となるTVアニメ『ばっどがーる』。“自称・不良少女(ばっどがーる)”の優谷 優と、個性豊かなキャラクターたちのにぎやかな掛け合いに、早くも注目が集まっています。
放送に向けてアニメイトタイムズでは、橘 杏咲さん(優谷 優役)、花宮初奈さん(水鳥亜鳥役)、松岡美里さん(涼風 涼役)、花井美春さん(瑠璃葉るら役)にインタビューを実施。“きらら作品”への想いやイチオシキャラクターのお話はもちろん、最近「コヒュッ」ったエピソードについてなど、たっぷりと語っていただきました。
本作発のユニット「天狼群」として臨んだレコーディングでは、こだわりディレクションが炸裂!? 『ばっどがーる』の可愛さとワルさが詰まった座談会インタビューをお届けします!
【写真】夏アニメ『ばっどがーる』橘 杏咲×花宮初奈×松岡美里×花井美春 インタビュー
4人が抱く“きらら作品”と『ばっどがーる』への想い
──本作への出演が決まった際のお話を教えてください。
優谷 優役・橘 杏咲さん(以下、橘):私がアニメにハマったきっかけが“きらら作品”で、「“きらら作品”に出演する!」ということが声優としての目標でもありました。今回それが叶ったこともあって、ほんっとうに嬉しかったです!
『ばっどがーる』は以前から知っていたのですが、オーディションを受けると決まった際に、改めてしっかりと読ませていただきました。そうしたら、もう……面白すぎて!
オーディションのときは、特に該当箇所を深く考えながら読み込むのが通常の流れなのですが、ただただ物語にハマりすぎて、ページをめくる手が止まらなくなってしまいました。「絶対に優ちゃんをやりたい!」と思っていたので、とにかく嬉しかったです!
水鳥亜鳥役・花宮初奈さん(以下、花宮):オーディションを受ける前に原作を読ませていただいたのですが、本当に素敵な作品だなと思いました。素敵な作品だからこそ、台本の文字だけで亜鳥ちゃんの魅力を表現しきれるかが不安で、原作漫画を開きながらスタジオオーディションを受けたんです。
涼風 涼役・松岡美里さん(以下、松岡):ええっ!?
瑠璃葉るら役・花井美春さん(以下、花井):スタジオオーディションで!?
花宮:付箋を貼っておいて、場面ごとに漫画を見ながらセリフを言っていました(笑)。絵を見て、気持ちを作った方が良いかなと思って原作漫画を持ってやらせていただきました。それくらい素敵で、大好きな作品です。
──原作漫画を見ながらオーディションに臨んでいたとは……。
花井:素敵……!
松岡:すごいね。
橘:(大きく頷いて)
花宮:多分、あまりマネしたらダメなやり方だと思うのですが……(笑)。作品によっては、「絵を見ながらやってほしくない」ということもあると思いますので……。
『ばっどがーる』の現場のみなさんが優しかったので、許していただけたんだと思います。
──それだけ熱量を持って臨まれたオーディションだったのですね。花井さんはいかがでしょうか?
花井:出演が決まって、本当に嬉しかったですね。「声優になろう」と思ったきっかけが『けいおん!』だったので、私も“きらら作品”に出たいという想いが強かったんです。『ばっどがーる』が決まったときは本当に飛び跳ねるくらいの勢いで、マネージャーさんとハイタッチして喜びました(笑)。
るらちゃんはとにかく可愛くて、魅力が濃い子なので、表現の上限がないキャラクターだと思っています。普段のるらちゃんと、「可愛いでしょ?」というるらちゃんの差を、オーディションで意識しました。
──花井さんも、念願の“きらら作品”への出演となったんですね。最後に松岡さんはいかがでしょうか?
松岡:私も本当に嬉しかったです! というのも、自分自身の演技の方向性なのか、「“きらら作品”に出られない人間なのかも……」と思っていたんです。
──“きらら作品”に出られない?
松岡:新人のころに“きらら作品”のオーディションを受けた際、マネージャーさんに「その演技だとこの作品の雰囲気には合わないかも」とご指摘いただいたことがありました。その時受けた作品の優しく、可愛らしい空間に対して、私の演技の圧と勢いが強くて、振り切りすぎてしまっていたんだと思います。
“きらら作品”のような「日常」を大切にしている作品は、勢いよりも「ほのぼのとした雰囲気」や「流れる空気のゆったりさ」を表現していくもの、とアドバイスをいただいたのですが、当時の自分の演技スタイルでは表現が難しく、「“きらら作品”には出られないのかな」と思ってしまって。
でも今回、「ダメじゃない!」と自分を奮い立たせて、『ばっどがーる』にしっかりと向き合い、演技の方向性を見直すなど、試行錯誤してオーディションに臨みました。
松岡:普段は合格の連絡のみ、事務所から受け取っているのですが、『ばっどがーる』は受かりたいという想いが強過ぎて「受かっても、落ちても、連絡をください」と、マネージャーさんに伝えていました。
今回、もし合格できなかったとしても連絡をもらって、自分の中で一区切りを付けたいと思っていた作品だったので、このようにご縁をいただいて、涼ちゃんを演じることができて、とても嬉しかったです!
あのときの自分が救われたような気持ちになりましたし、これは確実に一歩ずつ成長しているのかも、と思えた瞬間でした。
唐突な「『ワン』って言って?」に、橘さんが困惑!
──魅力的なキャラクターが続々と登場する本作ですが、みなさんのイチオシキャラクターについて教えてください。
橘:最初に直感で好きだなと思ったのは、るらです。
るらのことが好きすぎて、「るらはこういう人にこういう芝居をしてほしい!」という妄想が積もっていました。なのでるーさん(花井さん)のるらを初めて聞いたときに「るらだ!」と思って!(笑)
花井:えー! 嬉しい!(笑)
橘:その瞬間、私はただのオタクでしたね。私が思い描いた、お姉さんな雰囲気や独特のあざとさ、低音の響きが、すべて私の妄想どおりでした。
花井:ありがとう……! ちょっと握手しよ(橘さんと握手を交わして)。
一同:(笑)。
──まさに絶賛でしたね!
花井:嬉しすぎますね……! 自分でもるらは得意だと思うキャラクター性ではあるのですが、もっと可愛い方がいいのかな、と悩んでもいたんです。なんだか私のるらは、「頑張って可愛い声を出している」みたいな感じもあって……。
松岡:そういうお芝居をしてるんだと思ってたよ。
橘:(頷いて)るらに関しては、「頑張って『きゅるん』ってやってるよ!」みたいな……声というか、お芝居のニュアンスを感じてました。
花井:るらは思いっきり可愛く演じることができるキャラクターだからやりやすかったというか、振り切ってしまえるキャラクターなんですよね。るらを演じるにあたって「可愛く持っていこう」と思っていたので、こうやって言ってもらえて安心しました……(笑)。
今後、るらちゃんがアニメに登場したときのことを考えると楽しみでもあり、ドキドキもしています。
松岡:原作のるらを見ていたら、花井美春の声が流れたんですよね。個人的には(CV:花井美春)だと思って読んでいました。
るらって、不憫なところもあるじゃないですか。プライドをへし折られたその先が可愛いというか……特にそのシーンで、花井美春の声が浮かんできたんです(笑)。
花井:えぇ?(笑)
松岡:かと思えば、(るらの)まっすぐに可愛いポイントも私の想像のとおりに演じてくれていて。「俺得か!?」って思っていました(笑)。
花井:嬉しい……!
松岡:私と同じことを思っている方も多いんじゃないかなぁ。るらは花井美春じゃないかって。
花宮:(大きく頷いて)
橘:いると思います! ピッタリなんです。
──放送がますます楽しみですね! 次に、花宮さんのイチオシのキャラクターもお伺いできますか?
花宮:私は優ちゃん推しです。
橘:えっ! 嬉しい! 初奈さんは別のキャラクターが好きなんだろうなと思っていました。初奈さん、ちょっと冷たいから……(笑)。
花井・松岡:(笑)。
花宮:いやいや、冷たくしてるわけじゃないよ(笑)。私、可愛いものを見たら「わー!」ってやりたい放題したくなっちゃうんですよ。ネコなどの動物も好きなのですが、それといっしょで、やりたい放題したあとの反応を楽しんでいる節があって……(笑)。
橘:えぇっ! 初奈さんに転がされてたってこと!?(笑)
花井:リアル亜鳥……?
松岡:ほんまや、そのままやん!
花宮:ちょっとそういうふうに接したら、いつも困ってる顔が見れたから……(笑)。
橘:うわー!(悔しそうな顔で)
花井:コロコロされてたんだ……!
松岡:手のひらの上だよ。
花宮:作品の中の優ちゃんも、良い反応をくれるキャラクターなので、面白いなって思って見ていました。
橘:くやしいー!(笑) これからはもう、絶対転がされないようにします!
花井:そう言ってるところも、かもしれないよ(笑)。
一同:(笑)。
花井:ちなみに、(橘さんの)お芝居を見て演技プランを変えた、みたいなところとかあるの?
花宮:可愛すぎて、行っちゃいけないところまで行ってしまいそうになったことはありましたね。本編終了後のアフタートークパートで(橘さんと)話す機会があったのですが、そのときに「『ワン』って言って?」って台本に無いお願いをしてしまいました。言ってくれなかったけど……(笑)。
花井:遊ばれてるねぇ……。
橘:あれはビックリしました! そのときって、はじめて二人っきりでお話する回だったんですよ。なのにいきなり「『ワン』って言って?」とか言ってくるから(笑)。
花宮:その回の本編が犬にまつわるお話だったこともあって、つい(笑)。そのあとの帰り道でも(橘さんは)「流れで『ワン』って言わなきゃいけないのはわかってるけどそういうのは得意じゃなくて……」って、ゴニョゴニョと言い訳をしていて可愛かったです。
橘:恥ずかしいー!! やめてくださいよ!(笑)
花井・松岡:(笑)。
花宮:そのやりとりも込みで、おいしかったなって思ってます(笑)。
花宮・花井・松岡:(橘さんを見ながらニコニコとして)
橘:み、見るな……うぅ……。そのアドリブ、何の脈絡もなかったんですよ。「今回は犬の話だったね。それじゃあ『ワン』って言って?」って! そうやって言われても……ね? 普通は言いませんよね!?(笑)
花井:そのアフタートークの放送も楽しみだね。
──楽しそうなアフレコ風景が伝わってきます。
松岡:(花宮さんは)アフレコでも一番“仕掛けて”きていたんですよ。
花井:アドリブもたくさんでね。
花宮:あはは。自由に羽ばたいていました(笑)。
松岡:みんな、笑いをこらえながらのアフレコでしたね。
橘:もはや笑わせにきてましたよね。
花宮:最初はそんなつもりなくやっていたのですが、みんなリアクションがよかったから……。
橘:アフレコ中もコロコロされてたんだ!?
──橘さんだけでなく、花井さんも松岡さんも転がされていたのですね(笑)。
松岡:されていましたね。私はなんだか、“筋肉キャラ”にされていたんですよ。
──筋肉キャラ?
松岡:アフレコは夏に行われていたので、よくノースリーブの服を着ていたんです。収録の帰り道に「筋肉、スゴイね」って褒めてくれて。ここまでは褒め言葉だったと思うのですが、そのあと「筋肉を自慢してるんだと思った」って……(笑)。
花宮:(笑)。筋肉がスゴイ人って、ノースリーブで体にフィットした服を好んで着ているイメージがあって。そんな雰囲気があったので、その点を特に褒めた方がいいのかなと……(笑)。
橘・花井:(笑)。
松岡:そんなつもりじゃなかったの、暑いからノースリーブを着てただけなの……(笑)。こうやって、“筋肉キャラ”に仕立て上げられました。私も遊ばれてます。
……でも、どうしてでしょう。(花宮さんに言われると)「“筋肉キャラ”もいいかも」って思っちゃうんですよね。
花井:たしかに女性声優で“筋肉キャラ”の方って、あんまりいないかもね。
花宮:……それで売っていくのもいいかも?
橘:(爆笑)。
松岡:初奈P(プロデューサー)がそうやって言うなら……。(花宮さんが)良いって言うものは、そのときにしっくりきていなくても良いものなのかも、と思ってしまうんですよね。不思議な力があります。
──まさに亜鳥先輩のように、魔性のパワーが働いているのかもしれませんね(笑)。その結果として、花宮さんに遊ばれるみなさんという構図ができあがっていますが……。
橘:くやしいー!
松岡:くやしいんだ(笑)。
橘:転がされないように、絶対気をつけよ……。
──お話を聞いていると、みなさんなるべくして各キャラクターをご担当されたのではないかと思ってしまいます。
橘:(松岡さん演じる)涼も、私が思っていたとおりの声だったんですよ!
松岡:えっ! ありがとう!
橘:実は私、原作を読んでいる段階では、涼の声が一番想像できていなくて。ハスキーで低めな声がいいなぁ、とは思っていたのですが、涼が持つ可愛さや時折ヤンキーっぽく見られてしまう表情を、アニメでどのように表現するんだろうって思っていたんです。
そんなとき、涼役は美里さんに決まったということをマネージャーさんに聞いたんです。美里さんは同じ事務所の先輩なので、先んじて知ることができたのですが、そのときにとても納得しました。
松岡:嬉しい……! 涼は見た目がヤンキーっぽいのですが、実はマトモな子で、色々なキャラにツッコんでいくんです。普段はテンション低めに喋るけれど、そのローな感じでツッコんでしまうと、周りのボケが強い分、まとめるのが難しくて。ツッコミの種類については、制作スタッフの方と相談しながら作っていきました。
私は関西出身なので、地元にいたときは周りのあちこちでボケが飛び交っていて(笑)。たくさんツッコんだり、ときにはツッコまれたりしていました。あのときに鍛えられたツッコミの引き出しが出せたのかも、と思えて嬉しかったですね。
あと涼はツンデレなのですが、今までツンデレキャラの経験があまりなくて。ツンデレってめっちゃ可愛いじゃないですか。あの、ちょっとイジワルしたくなっちゃうような可愛さを、どうやって表現すればいいんだろうと悩みながら演じていました。
橘:超可愛かったですよ。
花井:アフレコを聞いてて、悶えたよ、こっちは。
橘:本当に! 涼は『ばっどがーる』屈指の萌えキャラですから。本当に可愛い!
松岡:涼としては、エンディングが流れたあとのDパートも見どころ満載なので、放送をお楽しみに〜!(笑) るらもDパートが楽しみなキャラだよね?
花井:そうだね。るらは美容系Yチューバーとしても活躍しているのですが、配信中の一幕などが描かれます。「もう!」となっているるらちゃんを見ることができますので、最後までお楽しみください!
「苦戦してよかったって思っちゃいました(笑)」
──『ばっどがーる』発のユニット「天狼群」としても活動がスタートします。まずアーティスト写真のカッコよさに目を惹かれました。
橘:そうなんですよ! この衣装を着ることができたのも嬉しかったですね。
松岡:衣装も可愛いよね! キャラクターカラーを意識した作りになっていて、おそろいで腰に着けているバンダナにも「BG(ばっどがーる)」と入っていて。キマってるよね。
橘:ほんとに可愛い……! 衣装の雰囲気も、それぞれのキャラクターに合ってますよね。
──「天狼群」が歌うオープニングテーマ「すーぱーびっぐらぶ!」はどのような楽曲でしょうか?
橘:とっても楽しい曲です!
花宮:キラキラだよね。
花井:うんうん。“きらら”! って感じです。
橘:その中でも、『ばっどがーる』らしさもあるんですよね。一小節に文字がたくさん詰まっていたり、〈Confuse!〉が「コヒュ」とかかっていたり。勢いが『ばっどがーる』らしいなと思います。
掛け声の部分もたくさんあって楽しいですよね。〈Confuse!〉もそうだし、〈GO!GO!GO!GO!〉の部分も。
花宮:掛け声でいうと、歌詞の〈(変身!)〉〈(まってー!)〉〈(本心!)〉のタイミングなどを、特に覚えておいてほしいです。みんなに言ってほしいなと思っています。
松岡:私、ラスサビ前に優が歌う〈(ああああああ、あの……! ……大好きです!!)〉が好きなんだよね。
花宮:うんうん。(橘さんを見て)……ここはどんな気持ちで歌ってたの?
花井・松岡:(笑)。
──ロックオンされましたね……。
橘:(少し警戒しながら)それは、歌詞に「大好き」って、書いてあるから……。
花宮:そのまま読んだの?
橘:……はい。
花宮:ほんと? 声優なのに?
橘:ああああ! うぅー!!(ジタバタして)……ここは、優の亜鳥に対する気持ちですから! 歌詞を読んだときに、優が照れながらこのセリフを言っている絵が浮かんできて、その絵に当てました!
花宮:(優しく微笑んで)そういうのが聞きたかった。
橘:はいぃ……。ありがとござぃます……。
松岡:また遊ばれたね(笑)。この曲は優が暴走した勢いに似ていると思っています。テンポや語彙力に関しても優っぽさを感じていました。
花井:たしかに。それこそ〈Confuse!〉とかね。
松岡:それでいて、それぞれのキャラクターっぽさもあって。絶妙なバランスで成り立っている曲だなと。
曲の終盤には、いわゆる落ちサビがあるのですが、涼として歌ったときにエモーショナルな雰囲気になってしまって。涼って、もどかしい想いを抱えているキャラクターなんですよね。
優への気持ちもそうですし、優といっしょにいるときも亜鳥様の邪魔が入ってうまくいかなかったり……。そういう一面があるので、「切なくしすぎるくらいでもいいのかな」と思って、あえて“切なさ”を強めに歌いました。
橘:美里さんの歌がエモすぎて、「松岡さんくらいエモくしてください」というディレクションをいただいたんです。
松岡:そうだったの!?(笑)
橘:サビと落ちサビのギャップが良かったです!
松岡:キャラクターが歌っているからさらに楽しくなる曲でもあると思っています。それぞれの共感ポイントも用意されていて、楽しいです。
花井:(頷いて)
──花井さんも「すーぱーびっぐらぶ!」が持つ魅力を感じながらのレコーディングになりましたか?
花井:そうですね! るらとしてピッタリの歌詞の部分を担当させて頂けたので、感情が込めやすく、とても歌いやすかったです。るらとして自己紹介のように「これがるらです!」と歌える部分も多かったので、楽しく歌わせていただきました。
落ちサビの前の〈トホホ これじゃ ダメダメばっどがーる……〉という部分があるのですが、このセリフチックな部分で、るらの“可哀そ可愛い”の雰囲気を込めました。
橘:るーさんの〈ダメダメばっどがーる……〉の、「るぅ……」が好きです(笑)。
花井:ありがとう(笑)。「るぅ……」は消え入る感じで歌っています。
──さらに、エンディングテーマ「BAD SURPRISE」も、「天狼群」が歌唱を担当しています。
松岡:曲調はバリバリにカッコよくキマっている雰囲気なのですが、歌詞は頑張って悪ぶっている感じがあるんです。〈ダルそうにしろ〉という歌詞だったり、〈へいよーめーん?〉がひらがなになっていたり……背伸びしてカッコつけている感じが『ばっどがーる』っぽいですよね。
橘:この曲も、それぞれのキャラクターに合ったポイントが多いですよね。〈平穏な日々をガラスの靴で 踏み潰すようなびっくりが欲しい〉の亜鳥先輩がとても好きなんです!
花宮:踏み潰すように歌っていました(笑)。
──踏み潰すように?
橘:ガラスの靴で踏んでいそうな歌声でした(笑)。
松岡:本当に! 「ジャリっ」みたいな音が聞こえてくるような……(笑)。こちらもキャラクターとして歌えたので、レコーディングがとても楽しかったです。
花井:うんうん。るらちゃんとしても、可愛さよりダルさを出して、結構悪そうに歌いました。
松岡:「悪ぶっているるら」だったね。でも〈ほらほらかわいかろう!!?〉の部分は可愛かった!
花井:ソロのところは可愛くやらせていただきました(笑)。ZAQさんのディレクションのもと、一言一言、ニュアンスを変えて歌わせていただいたので、早く聴いてほしいです。
花宮:ハモの部分は、ZAQさんが歌ってくださっているんです。それが本当に素晴らしくて! 聴けばわかると思いますので、ぜひ見つけていただきたいと思います。たしか、ZAQさんも、Xで“匂わせ”をしていたかも……? 見つけていただきたいですね。
花井:〈(おい)〉の部分、色々なキャラでやらなかった?
橘:やりました!
──「色々なキャラ」ですか?
花井:「男子高校生のような雰囲気で、ゴツくお願いします」みたいなディレクションもあったんです(笑)。
花宮:そうなんだ。私は「いつもどおりお願いします」って感じでした。亜鳥だからかもしれないけれど……。
松岡:私もバリエーションは少なかったな。
──様々な花井さんの声が聞ける、と。
花井:全然るらちゃんの声じゃなかったですけどね(笑)。
橘:音に厚みを持たせる担当だったんですかね。
松岡:レコーディングしながら、なんかガラが悪い人がいるなって思ってたけど……。
花井:それ、私かも!(笑)
橘:私も色々やってたので、私の声の可能性も……!
松岡:二人がガラを悪くしてたんだ……!(笑)
──コーラス部分も必聴ですね! ほかにレコーディングで特にこだわった箇所はありますか?
橘:最終盤の〈バグって笑ってオラオラオラオラ〉と〈舐めんじゃないですよ〉がこだわりです。両方とも、前半部分にも出てくる歌詞なのですが、最後の「オラオラオラオラ」は「もっとオラついて」とアドバイスいただいたので、某レースゲームで熱が上がってしまって、口が悪くなっているときの雰囲気で歌いました!
松岡:クソガキ感がある、可愛い「オラオラ」でしたね。
花井:クソガキ感……(笑)。ZAQさんのディレクションもわかりやすくて、よりレコーディングが楽しかったです。
橘:本当に! 〈舐めんじゃないですよ〉も、「最初に『ん』を発音して」そうしたら「頑張ってワルぶっている感じも出るし、勢いも出るよ」とアドバイスいただいて、「ん舐めんじゃないですよ!」と歌ったんです。
松岡:めっちゃ顎上げながら歌っているような声でした。
橘:めっちゃ顎上げてました。
松岡:(笑)。
橘:ワルそうに仕上がったので、注目してほしいです!
──花宮さんは、「BAD SURPRISE」のレコーディングで印象に残っていることはありますか?
花宮:レコーディング中に苦戦した部分があったのですが、そのフレーズをZAQさんが歌ってくださったんです。それが嬉しかったですね。「ZAQさんの歌をタダで聴けた!」……と(笑)。
一同:(笑)。
花井:「私のためだけに歌ってくれた」んだもんね。
花宮:苦戦してよかったって思っちゃいました(笑)。
松岡:(笑)。エンディング映像では、「天狼群」の衣装と連動した仕掛けもあるので、そのあたりも注目してほしいです!
カバー楽曲のレコーディングでは、プロデューサーのこだわりが炸裂!
──そしてOP・EDにくわえてカバー楽曲もリリースされるとのことですが、現在判明しているものでも「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」(横浜銀蝿)「彼女の“Modern・・・”」(GLAY)と、往年の名曲揃いですね。
松岡:声優をやっている中で、まさかカバーできると思っていなかった2曲だったので、歌うことができて嬉しかったです。事務所の方も喜んでくださいました(笑)。
花井:今回のカバーに関して、横浜銀蝿さんもGLAYさんも、二つ返事で「OK」を出してくださったとお伺いしました。ロックで、懐の広い方々だなぁと思いましたね。
橘:しかも「ツッパリHigh School Rock'n Roll(登校編)」では、本当にジョニーさんが参加してくださっていて。
──えぇっ!?
スタッフ:今回のカバーにあたって、横浜銀蝿のメンバーのみなさんのお名前が入っている箇所を中心に、中間部のセリフに変更を加えさせていただいています。しかし〈「OKジョニー!」〉の箇所はそのままなんです。これは今回のカバーにおいても、ジョニーさんがギターを弾いてくださっているから、なんですね。
松岡:改めてその話を聞くと、スゴすぎる……!
花井:豪華すぎるよね……!
橘:私、亜鳥先輩の〈「OKジョニー!」〉が大好きなんですよね。
松岡:いいよね! 優雅にジョニーさんを呼んでる感じがして。
花宮:「畏れ多い……!」と思いながらのレコーディングでしたけどね(笑)。亜鳥として歌うのであれば、これくらい表現しないと、と思っていました。
──さきほど話題に上がった中間部のセリフパートですが、こちらはいかがでしたか?
松岡:よかったですね! このセリフパートは優が担当しているのですが、「あれ、アニメから出てきた?」と思いました。
橘:最初はもっとオラついたニュアンスをつけていたのですが、優が持っている“にじむ良い子感”や、〈マブい女〉に興奮している雰囲気を出そうと思って、最終の音源に落ち着きました。とても楽しかったです。
花井:〈「Thank you!」〉の部分もこだわりだったよね。横浜銀蝿さんをリスペクトした言い方をしているんです。カッコよく仕上がっていると思います!
花宮:さっきのセリフの部分ですが、もしライブで披露する機会があったら、その都度変わりそうな雰囲気がありますよね。もしそういう機会があったら楽しそうだなって。
橘:ライブでやらせていただけるなら、歌ってみたいですよね!
松岡:絶対楽しいよね!
──楽しみが増えていきますね。もう一曲の「彼女の“Modern⋯”」ですが、知る人ぞ知る名曲という印象もあります。
松岡:「彼女の“Modern⋯”」の収録では、こだわりのディレクションを受けました。1番サビの〈KISSから COOL〉の部分なのですが、発音は「キスからクール」ではなく「キスからクルー」なんです。
──本家をリスペクトして、ですね!
松岡:そうですそうです!(笑) その日の最初、スタジオに入った瞬間に「ここは本家リスペクトで『クルー』でお願いします」って言われました(笑)。
一同:(笑)。
花井:スタジオに入って、最初がそれだったんだ(笑)。
松岡:もう本当にこだわりなんだろうな、と思いましたね(笑)。事前にいただいていたデモ音源も「クルー」になっていたので、元々歌い方について質問しようと思っていたのですが、聞く前に言われちゃいました(笑)。
── 一発目のディレクションが「クルー」とは……本当にこだわりだったのですね。
松岡:楽曲の歌詞自体は、なんだか亜鳥っぽさを感じる楽曲でしたね。〈彼女の過激〉とか〈彼女の刺激〉とか……。
花井:セクシーだよね。
松岡:そうそう!
花宮:たしかに、現時点での「天狼群」の曲の中だと、この曲が一番歌いやすかったかもしれないですね。
橘:〈寂しがり屋の朝〉のフレーズは亜鳥先輩の担当なのですが、セクシーで、落ち着いていて……
松岡:湿っぽいんだよね。
橘:そうなんですよね! お気に入りポイントです。
──みなさんそれぞれにお気に入りポイントがありそうですね。花宮さんはいかがですか?
花宮:「クルー」と同じ原理だと思うのですが、るらちゃんが歌う〈限りなくウソに近づいては〉の「近づいとわぁ」の発音がお気に入りですね。あれは指導があったんですか?
花井:そこの指導はなかったんだけど、本家に近いニュアンスで歌いたくて実践してみました。最初に亜鳥さんが録っていて、そのあとが私の番だったんです。その音源を聴いてからレコーディングに臨んだのですが、亜鳥さんの歌が濃すぎて……(笑)、「やりきっていいんだ!」と思いながら歌いました。
花宮:ここはお気に入りポイントなので、ぜひ聴いていただきたいです!
花井:あとは優ちゃんの〈絡み合う 指はさり気ない MISTAKE〉も消え入りそうな感じでよかったなぁ。
橘:〈MISTAKE〉はディレクションが入った部分でした!
花宮:やっぱり入ってたんだ(笑)。
橘:優は全体を通して、純朴そうに歌っているのですが、〈MISTAKE〉は「ガチ」で、「ウィスパーに」という指導がありました。
松岡:優の「ガチ」って珍しいよね。ずっと「コヒュッ」ってる側だから。
──ほかに、印象に残っている箇所はありますか?
松岡:〈BANG〉は、『ばっどがーる』っぽい可愛さが発揮されていると思います!
花井:……でも、亜鳥先輩。ここも結構やってなかった?
橘:(大きく頷いて)
花宮:一人だけ(ニュアンスが)飛び出ちゃっているかも。リリースされる音源では均していただけると……(笑)。
松岡:いやいや! 素敵だったから、そのままリリースしてほしいです!
「みなさんもたくさん「コヒュッ」りましょう!」
──本作では、優谷 優が予想外の幸福を味わった際に発せられる「コヒュッ」という過呼吸の音も印象的です。みなさんは最近「コヒュッ」たことはありますか?
松岡:新作のカップヌードルに「コヒュ」りました! ココナッツが大好きなのですが、まさにココナッツミルクが使われていて。久しぶりにカップヌードルを食べました。深夜に映画を見ながらそれを食べたのですが、楽しかったです。
(橘さんを見て)ある? 最近の「コヒュッ」。
橘:私はまさに今日「コヒュッ」りました!
以前、るーさんが髪の毛をツインテにされていたのですが、それがとっても可愛くて! 「今度、また私がいるときにツインテしてください」って言ったんです。そうしたら今日ツインテをしてきてくださっていて!
花宮:優みたいな「コヒュッ」だ!
松岡:イチャイチャすんなよ!(笑)
橘:(笑)。めっちゃ嬉しかったです!
花井:気づいてくれてよかった(笑)。
橘:ほんとに可愛い……!
松岡:なんだよぉ……カップヌードルは微妙な「コヒュッ」じゃないか……。
花井:そんなことないよ!(笑)
橘:ココナッツ嬉しい!
松岡:嬉しいよね! そうだよね! そうだよ、そうだよ。これも「コヒュッ」だよね……(笑)。
──(笑)。花宮さんはいかがですか?
花宮:うーん……(少し考えて)、これが「コヒュッ」るということなのかはわからないのですが……。外を歩いていたら鳥が飛んでいて、いわゆる“頭上注意”な状態だったんです。結果としては、私に命中することはなかったので、「当たらなくてよかった」と。その日は鳥を見ながらお家に帰りました。
橘:んん……?
松岡:「コヒュッ」ポイントはどこだったんだ……?
花宮:えっと……当たりそうだったから「ドキッ」って……。これが「コヒュッ」だったかな。「よかった」の気持ちですね(笑)。
松岡:それは「コヒュッ」なのかな……?(笑)
橘:花宮さんを「コヒュッ」らせたい!
松岡:味わってほしいね!
──最も「コヒュッ」ることから遠いキャラクターが亜鳥ですから、実感が湧きづらいのかもしれませんね(笑)。花井さんはいかがでしょうか?
花井:うーん、最近の「コヒュッ」……。ないかも……? うーん……(考えて)。
花宮:「パンッ!(花井さんの眼の前で猫騙しをした音)」
花井:……??
橘・松岡:……??
花宮:……「コヒュッ」った?
花井:……いや、「コヒュッ」らなかったけど……(笑)。
──花宮さんとみなさんで、「コヒュッ」の定義が違うかもしれない……?
松岡:たしかに! 私たちの「コヒュッ」と違う!
橘:ここで言う「コヒュッ」は、「キュン」とか「嬉しい」とかのニュアンスだと思いますよ!
花宮:たしかに、「ビックリ」的な意味で考えてたかも(笑)。
一同:(笑)。
──気を取り直して、花井さんの「コヒュッ」も見つけたいですね(笑)。
橘:今ここで、るーさんの「コヒュッ」を作りますか!
花井:今!? 「コヒュッ」ってそんな簡単に作れるものなの!?(笑)
松岡:何が良いかなあ……。
橘:コレなんてどうですか?(持参していたグミを取り出す)
松岡:(橘さんからグミを受け取る)コレを……はい、あーん!
花井:あーん……。
松岡:どう?
花井:初めて松岡から「あーん」されたかもしれない。
橘:おおっ!
松岡:どう、どう? 「コヒュッ」だった?
花井:「コヒュッ」ったかも。
橘:やったー!
松岡:「コヒュッ」出たー! 作れました!
花井:ありがとね(笑)。
──TVアニメの放送期間や、これからの「天狼群」としての活動の中で、花井さん、花宮さんにさらなる「コヒュッ」が舞い降りるかもしれないですよね(笑)。
橘:「コヒュッ」らせたいですね!
花宮・花井:(笑)。
──それでは最後に、本作を楽しみにしている方に向けて一言ずつお願いします!
松岡:『ばっどがーる』はこだわりが詰まったアニメで、たくさんの人のフェチに対応していると思いますので、自分のフェチを見つけてもらえたらと思っています。あととてもテンポの良いギャグも魅力ですので、フェチを楽しみながら笑って、しかもキュンもできる……良いトコ取りなアニメなので、逃さずにすべてを見ていただきたいと思います!
原作からの小ネタも散りばめられていますので、「やりこみ要素」ならぬ「見こみ要素」があります。何回でも見て色々な楽しみ方をしてほしいと思っています!
花井:るらちゃんは、誰からも矢印がきていないような、ちょっと“可哀そ可愛い”部分がありますので、みなさんるらちゃんを愛してあげてください(笑)。楽しみにしていてください!
可愛い女の子たちがイチャイチャとしていて楽園のようなアニメだなと思います。そしてギャグのテンポもいいので、見ていて「もう終わっちゃった」と思うくらい楽しい作品です。ぜひ、細かいところまで見逃さずに楽しんでいただきたいと思います。それぞれのキャラクターが持つ「キュン」の部分も、ぜひ注目して見てください!
花宮:テンポが良くて軽快なので、先が気になる作品だと思います。一話ごとに楽しい、面白い要素が凝縮されています。
本当は全部見ていただきたいのですが、どの話数から見ても面白いと思います。とても素敵な作品ですので、楽しみにしていただけたらと思います!
橘:本当に混沌極まる内容ですが、その中にある「キュン」と「エモ」のかけらを見逃さずに、『ばっどがーる』の世界を堪能していただけたらと思います。みなさんもたくさん「コヒュッ」りましょう!
【インタビュー・文:西澤駿太郎 編集:太田友基】