政治家もブチギレた“危険”な奴ら!音楽×闘争コメディ『ニーキャップ』公開記念で『トレスポ』限定上映決定
世界が熱視線を送る『KNEECAP/ニーキャップ』とは
第97回アカデミー賞®国際長編映画賞ショートリストに選ばれたほか25の映画賞を受賞し、世界中で高い評価を得ている映画『KNEECAP/ニーキャップ』が、8月1日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開。世界中で大絶賛されている話題作が、最高にアツいタイミングで日本上陸を果たす!
このたび、“アイルランド版トレインスポッティング”とも評されている本作の本編特別映像と新たな場面写真が解禁。さらに待望の日本公開を記念し、不朽の名作『トレインスポッティング』(1996年)の限定上映も決定した。
「セックス・ピストルズ以来、最も物議を醸すバンド」
アイルランドを拠点に活動する実在のヒップホップ・トリオ、KNEECAP。彼らは2022年まで北アイルランドでは公用語として認められていなかったアイルランド語(※ゲール語)でラップをし、政治的な風刺の効いた歌詞に反体制的なパンク精神を融合したスタイルで注目されている。一見するとやんちゃなパーティー野郎なのだが、自国の過酷な歴史を知る彼らにとってのパンクとは不条理に抑圧されている人々の側に立ち、共に抗うことだ。
最近でも、米コーチェラや英グラストンベリーなど大型フェスのステージ上でパレスチナ支持を訴え、オーディエンスも大量の“スイカ色の旗”を振って応えてみせた。そんなわけで政治家にも目をつけられており、彼らの楽曲は検閲の対象としてラジオ局で放送禁止になるなど、その過激な言動で度々論争を巻き起こしていることから、「セックス・ピストルズ以来、最も物議を醸すバンド」などと呼ばれたりしている。
本作は、そんなKNEECAPの誕生を、アイルランド語法制化を求める抗議活動を背景に辿った“ほぼ実話”の半自伝的物語。北アイルランド紛争の傷跡が深く残る西ベルファストのドラッグにまみれた労働者階級の若者を、あくまでコメディとしてユーモアを交えつつポップなテイストで描く。演技初挑戦ながら本人役を見事に演じてみせた、KNEECAPのメンバー3人に要注目だ。
ベルファストでは<イギリスはアイルランドから出ていけ>というスローガンの壁画が有名だが、母国語の復権を掲げて活動する彼ら自身の人気もあり、本作はアイルランド語映画として本国で初週動員歴代1位の大ヒットを記録。さらに、第40回サンダンス映画祭では観客賞(NEXT部門)を受賞し、第97回アカデミー賞®国際長編映画賞にアイルランド代表としてショートリストに選ばれるなど、25の受賞と64のノミネートを果たしている。
母国語なのに浸透してない→アイルランド語のラップで大成功!
北アイルランド、ベルファストで生まれ育ったドラッグディーラーのニーシャ(MCネーム:モウグリ・バップ)と幼馴染のリーアム(MCネーム:モ・カラ)。麻薬取引で警察に捕まったリーアムは、英語を話すことを頑なに拒み、反抗的な態度を貫いていた。
そこに通訳者として派遣された音楽教師のJJ(MCネーム:DJプロヴィ)が、リーアムの手帳に綴られていたアイルランド語の歌詞を発見。その才能に目をつけ、3人は母国語の権利を取り戻すべく、アイルランド語のヒップホップを始めることになるが――。
なぜ“アイルランド版トレインスポッティング”と呼ばれるのか?
本作は、ヒップホップバンド・KNEECAPの3人がドラッグ、アルコール、セックスに溺れながら音楽で革命を起こす姿をポップに描いた物語。その作風から、“アイルランド版トレインスポッティング”と評されている。
ご存知の通り、ダニー・ボイル監督の初期代表作『トレインスポッティング』はヘロイン中毒の若者たちを描いた大ヒット青春映画で、今も世界中で熱狂的な人気を誇る傑作だ。
実際に、本作の監督リッチ・ペピアットは『トレスポ』に大きなインスピレーションを受けており、映画ファンならばすぐにピンとくるであろうオマージュが散りばめられている。
このたび解禁された本編映像は、カトリックのリーアム(モ・カラ)が対立するプロテスタントの集団から追いかけられ、全速力で逃げる姿が印象的。これはユアン・マクレガー演じる『トレスポ』の主人公レントンがひたすら走る姿を彷彿させるシーンだ。
ちなみに各シーンにおけるBGMは『トレスポ』がイギー・ポップの「Lust For Life」、本作はザ・プロディジーの「Smack My Bitch Up」だ。
また、『トレスポ』がレントンによるナレーションのモノローグで進むのと同じく、本作もリーアム(モ・カラ)の皮肉混じりのナレーションで幕を開け、彼の視点で物語が語られる。
さらに『トレスポ』といえば、座薬を回収しようと“スコットランドで一番汚いトイレ”に頭から潜り込むシーンも有名だが、本作にはLSD(ドラッグ)を回収すべくゴミ箱に頭から潜り込むシーンがある。
なお余談だが、本作で重要な役を演じているマイケル・ファスベンダーはアイルランド系で、ダニー・ボイル監督作『スティーブ・ジョブズ』(2015年)に出演。同じくボイル監督作『28日後…』(2002年)に出演したキリアン・マーフィーもアイルランド出身だ。
原作者も絶賛!『トレスポ』が1週間限定で上映決定
“アイルランド版トレスポ”と呼ばれるワケは、そうしたオマージュだけに留まらない。本作の舞台はイギリスの一部である北アイルランドだが、『トレスポ』の舞台も同じくイギリスの一部であるスコットランド。どちらも長年イギリスと対立してきた地域で、そこで生まれ育った労働者階級の若者がドラッグカルチャーと共に生きる様を捉えている。
映画評論家の森直人は、「ポップかつ狂騒的なリズムで綴られる彼らの日常は、法の網の目をくぐる緊張感に溢れ、金銭のためにもハイになるためにもドラッグが手放せない。グラフィカルな画面構成も含め、やはり『トレインスポッティング』を輝けるベンチマークとして参照していることは明らかだ」と、その影響を指摘。さらに同作の原作者、アーヴィン・ウェルシュも「ここ数年に観た映画で一番よかった」と本作を大絶賛している。
そんな本作の公開を記念して、新宿シネマカリテにて7月25日(金)より1週間・1日1回限定で『トレインスポッティング』の上映も決定。デジタル上映と併せて、希少な35mmフィルムによる上映回も予定している。この機会に、ぜひ本作とあわせて劇場で楽しんでみては?(※上映の詳細は劇場ホームページにて要確認:https://qualite.musashino-k.jp/movies/26484/)
『KNEECAP/ニーキャップ』は8月1日(金)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開