今牧輝琉、古田一紀ら出演 美しい音楽が彩る、ミュージカル『NO.6』公開稽古取材会レポート公開
2024年11月8日(金)より東京・天王洲 銀河劇場、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される、ミュージカル『NO.6』。先日、公開稽古取材会が行われ、写真とレポートが公開された。
また、11月1日より、本作の上演を記念して、東京・紀伊國屋書店(新宿本店)と、大阪・MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店にて、書店フェアが開催。フェア実施中の書店では『NO.6』原作小説の文庫本を購入の方に、ミュージカル版のビジュアルを使用した特典ポストカードを進呈する。また、各店舗のミュージカル『NO.6』コーナーでは、ポスターパネル等の掲示や、モニターでのPV・コメント放映、チラシの設置を予定している。
美しい音楽が彩るミュージカル『NO.6』に期待しよう。
取材会レポート
あさのあつこの大人気小説を舞台化する、ミュージカル『NO.6』。
11月8日に開幕する本作の公開稽古取材会が、10月某日、都内スタジオにて行われた。
冒頭、プロデューサーからの挨拶にて「まだ稽古が始まって数日、セットもない中ですが、現段階での稽古の様子をご覧ください」とのアナウンスがあった。
キャストらには緊張している様子も見られつつ、稽古場は非常に和やかな雰囲気で、脚本・演出・音楽の浅井さやか(One on One)がキャストに声を掛け、稽古がスタートする。
まず披露されたのは、物語の序盤、紫苑の12歳の誕生日に彼の部屋にネズミが飛び込み、2人が出会うというシーン。
嵐が近づく中、母・火藍から閉めるように言われた窓を、紫苑がついに開けてしまうまでの心のざわめきを、紫苑役・今牧輝琉の芝居、アンサンブルの歌と身体表現で見せていく。
そこへ突如現れ、部屋に飛び込むなり紫苑に掴みかかるネズミ。
しかし紫苑は動揺もせず、インターホン越しの火藍の問いに平然と嘘をつき、怪我をしたネズミの手当てをしてやる。
今牧が演じる紫苑には、あどけない少年の無邪気さと芯の強さがあり、古田一紀が演じるネズミには、スラム地区の人間としての獰猛さの奥に、滲み出る優美さがある。
エリートでありながら型にはまらず、物怖じも差別もしない紫苑にネズミが心を開いていく様が、短いシーンの中に描かれていた。
続いては、紫苑の母・火藍と、紫苑に想いを寄せる少女、沙布の歌唱シーン。
ここでは前のシーンよりも物語が進んでおり、殺人事件の容疑をかけられた紫苑がネズミと共に西ブロックへと逃亡した後、行方のわからない紫苑に逢いに行こうとする沙布、信じて待とうとする火藍がそれぞれの想いを歌う。
火藍役の入絵加奈子は、ミュージカル『ミス・サイゴン』の日本初演で主演・キム役を射止めて以来、数々の名作に出演した他、当時まだ黎明期であった2.5次元ミュージカルとの縁も深い。
沙布役の熊谷彩春は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』コゼット役に史上最年少で抜擢されるなど、入絵の背中を追うようにして舞台への出演を重ねている期待の若手だ。
温かく包み込むような歌声に紫苑への愛情を感じさせる入絵と、透き通る歌声に紫苑への純粋な想いを乗せる熊谷のデュエットが胸に響いた。
ラストには、キャスト全員が横並びとなって、オープニング曲を披露。
この曲の中で、紫苑がネズミに連れられて『NO.6』を抜け出し、新たな世界へと踏み出すシーンも描かれており、同時進行で人々が歌う歌詞には、動き出すドラマの先を示唆するような言葉が散りばめられている。
音楽・歌詞はいずれも浅井さやかによるもので、不安と期待、冷たさと温かさといった相反する要素を組み入れながら、美しいメロディーを疾走感のあるサウンドが導く印象的な楽曲となっている。
まだ動きの付いていない状態ではあったが、力強い歌声とハーモニーの美しさに圧倒され、舞台上でどのようなシーンとなるか、期待が高まった。
公開稽古の後には、メインキャストが集まり、質疑応答が行われた。
今牧、古田への「お互いの印象は最初と変わったか」という質問に対し、今牧は「最初会ったときはちょっと怖かったんです。でも一緒に稽古していく中で、何て楽しい方なんだろう! と思って、もう今ではぜんぜん恐怖心ないです!(笑)」と返答し、周囲のキャストを笑わせる。
古田は今牧について「いい意味で最初と印象が変わらないんですよ、最初に見たときに、こういう子なんだろうな、と感じたことがそのまま持続している感じです」と語った。
今回、若手を支える役どころで登場する、火藍役の入絵加奈子と力河役の吉野圭吾には、「円熟のミュージカル俳優から見たこのカンパニーの魅力は?」という質問が。
吉野は「作品を作るぞ! っていう時のみんなの集中力がすごくて、いい意味で、怖いんです!でも僕も頑張ろう!ってそこに加わっています」と茶目っ気たっぷり。
また、「浅井さんがすごい熱意があって、それに絶対応えるぞ! っていう、熱い稽古場ですね」と答えた。入絵は「皆さんが台本を iPad で見ていてびっくり!」と世代間ギャップについて触れた後、「アンサンブルの方たちも含めて皆さんものすごく熱心で、稽古のときから 100%のエネルギーでぶつかってくるので、その情熱たるや本当に素晴らしいと思っています」と笑顔を見せた。
作品と自分の演じる役の見どころについては、イヌカシ役の日暮誠志朗が「イヌカシが、ネズミと紫苑を力河のもとへ連れていくところと、イヌカシの登場のところも見ていただきたいです」とアピールし、白衣の男役の藤原祐規は「すごく嫌な人間の役をやらせていただきますが、思う存分に嫌っていただけるように頑張りたいと思っているので、注目していただけたら嬉しいです」と悪役ならではの意気込み。
沙布役の熊谷彩春は「小学生のときに図書室で『NO.6』の小説を手に取って、すごくハマって読んでいた」とのこと、また「いつの時代に読んでもすごく胸に刺さる普遍的なテーマがある物語だと思ったので、それを今回ミュージカルとしてお客様にお届けすることでどんな風に受け取っていただけるんだろうと、ワクワクしています」と答え、楊眠役の泰江和明は、「強いメッセージ性があって、紫苑とネズミの話なのかと思いきや、都市の話だったり、たくさんの事が伝わってくる。それを浅井さんの脚本・演出で、今この時代に舞台化することにも、色々な意味があるのかなと思っています」と思いを語った。
最後に、今牧が「浅井さんが、お客様が前のめりになって観るようなものにしたいってことをおっしゃったんですが、本当にその通りだなと思いました。お越しくださる皆様が前のめりになるように、頑張って作品を作ってまいります!」と観客へのメッセージを伝えると、古田は「身体が本当に前のめりになったら後ろや隣のお客様にご迷惑なので、心を前のめりにってことですね」と、笑いと共にフォローを入れつつ、「作品に流れているテーマや、伝えたいメッセージはすごく重いものなんですけども、自分たちが全てのシーンを一生懸命やることで、最終的に『なんか楽しかったな』って思ってもらえるような作品にしたいと思っています」と答えた。
終始笑いに溢れ、今牧・古田を中心とした様々な世代の個性豊かなキャストを浅井が率いる、ミュージカル『NO.6』カンパニーの魅力が溢れる取材会となった。
ここからどう練り上がっていくのか、11月8日の開幕に多いに期待したい。