大手なのに「PCなし、スマホ自腹」は序の口! Excel2003も現役で…… 元社員も驚愕した不動産会社のトンデモIT環境
誰もが知るような大手企業であっても、意外とIT環境が整っていない、なんてことがあるようだ。個人のパソコンも十分に用意されない有り様だったそうで、そんな環境では若い人ほど辞めたくなるだろう。
北海道の佐藤さん(仮名、40代男性)は30代だった時、全国展開する大手の不動産販売会社に勤務していた。だが、そこはIT環境が当時としても極めて時代遅れだったという。個人用のパソコンも、営業職に必須のスマホや携帯電話も支給されなかった。編集部は佐藤さんに取材し、当時の苦労を振り返ってもらった。(文:天音琴葉)
仕方なく……自腹で会社用携帯を契約
最近は、仕事で電話する機会がある社員には携帯電話を貸与している会社がほとんどだろう。佐藤さんが不動産販売会社に勤務していた時期は2015年頃だが、当時も営業職には携帯電話やスマホが支給されるのが当たり前だったはずだ。
では、佐藤さんや他の従業員はどのように営業活動を行っていたのだろうか。
「大半の人は携帯2台持ちでしたね。電池切れとかもあると個人用で連絡してる感じです」
つまり自腹で会社用に2台目を契約していた。そうした腹いせもあるだろうか、辞めた営業担当者が顧客を持って行くという事態も発生していた。
「個人的に困ることはないですが、会社としては顧客を取られますね。宅建職は独立できますし、辞める本人からすれば、これくらい持って行かないと割に合わないんでしょうね」
前述の通り、パソコンも支給されなかった。
「私の場合、『パソコンで仕事しますからね』と言ってるはずなのに用意してくれませんでしたね」
入社前に確認したにもかかわらず、パソコンが支給されなかったため、何度も頼み、ようやくノートパソコンが一台支給された。ところが……
「はっきり言って小さすぎて困りました」
いくら10年前でもWindows7、Excel2003は古い!
しかもOSはWindows7、Excelのバージョンは2003と古かった。なお、佐藤さんが勤務していた2015年にはWindows 10が正式リリースされ、同年9月にMicrosoft Office 2016が出ていることからも、いかに時代遅れだったかがわかる。
不動産販売では顧客情報や物件情報などの膨大なデータを扱う。だが古いExcelは使い勝にくく作業効率が悪かった。そのことを上司に問題提起したこともあったが、
「お前何言ってるの? みたいな表情してましたね、理解できない顔してました」
と改善には至らなかった。
本社と支店間での顧客や物件情報のやり取りは、基本的にメールで行われていたが、フォーマットが統一されてないことも非効率だった。
「不動産なので住所データが莫大にあるんですが、フォーマットが本社と支店で違っているので検索したくても非常に面倒くさかったです。無駄に時間だけがかかりましたね」
さらに、支店にはデータ管理用のサーバがなく、代わりに使っていたのは「まさかの一般消費者向けの市販NASでした」だったそう。
NASはネットワーク対応HDDだ。個人だけでなく、小規模な企業でも使っているだろう。だが佐藤さんの前職のような全国展開している大企業では、安全性や信頼性、アクセススピードの面からも企業向けのストレージ製品を使うことが一般的だ。
月一の強制飲み会、有休を取らせない…パワハラも横行
携帯電話の不支給、支店のITインフラ不足など、様々な問題があった前職で、佐藤さんが特に困ったことがある。
「月一の飲み会の強制ですね、金だけ高いうえに、まずい料理を付き合わされる。あとはパワハラですね。『休みの日に健康診断に行け』『有休は使うものじゃない』とか言われました」
この職場が時代遅れだったのはIT環境だけではなかったようだ。見限った佐藤さんは退職した。現在はIT系の企業で働いている。
その数年後に、元同僚に駅でバッタリ会ったという。「ようやくスマホが支給された」と言っていたそうだ。
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