100人中99人は気づかなさそうな、てんや羽田空港限定「エアポート上天丼」がハイブリッドである理由
ちょっと気分転換になることを見つけました。それは用のないタイミングで空港に行くこと。まず、手ぶらで空港を歩くのが新鮮である。羽田空港は都心からも近く非日常感もあってブラブラするのにとても良い。
そんな感じで散歩していたところ、第1ターミナルの地下1階の端っこにてんやが佇んでいるのを発見した。京急から来ると奥まって目に留まりにくいポジション。こんなところにてんやがあったとは。そこで上天丼でも食べようとメニューを見たところ……ホゲエエエエエ! なんじゃこりゃああああ!!
・スルーしかけた
そのてんやは、看板が青と黄色のラインの見慣れたてんやのものとは違った。筆っぽい天丼の絵が描かれていて、色合いもえんじ色一色なところにそこはかとなく昔っぽさが感じられる。
看板が違うから今まで目に留まらなかったというのもあるかもしれない。表の食券機を確認してみたところ、パッと見、店舗限定的な天丼はなさそう……
と思いきや、エアポート天丼とは? 見た目が普通の天丼だったのであやうくスルーしかけたが、よく見るとメニュー名に「エアポート天丼(並盛820円)」「エアポート上天丼(並盛1080円)」と書かれている。
・何が違うのか
そこで看板でもメニューを確認してみると、「空港限定おすすめ」という文字も見受けられた。普通の天丼に見えるけど、どうやらエアポート天丼は間違いなく限定天丼なようである。しかし、一体何が違うのか?
メニューを見るだけではよく分からなかったので実際体験してみることに。エアポート上天丼を注文してみたところ、出てきたのはこれだった。
なるほど、分からん。エアポート上天丼に乗っていた天ぷらは海老2尾、いか、れんこん、かぼちゃ、いんげんで、普通の上天丼に見える。
・店員さんに聞いてみた
ちなみに、上天丼と比べようと思って探したけど、どうやらエアポートじゃない方の天丼と上天丼はメニューにない模様。クッ、詳細な比較は厳しいか。そこで店員さんに聞いてみたところ、次のような回答が。「中身は上天丼と同じです」と。
正直、みんなこのオチを予想したんじゃないだろうか。私自身「でしょうね」という気持ちで一旦納得した。この時は。しかし、帰って念のために調べていたところ、驚くべき事実が発覚したのである。
・上天丼は上天丼でも
実は、てんやの上天丼の中身は2024年2月28日に9年ぶりにリニューアルされており、新しい「海老といかの上天丼(税込770円)」の中身は、海老2尾・いか・れんこん・いんげんになっている。そう、エアポート上天丼と比べるとかぼちゃが足りないのだ。
そして何を隠そう、リニューアル前の旧上天丼でいかの替わりに入っていたのがかぼちゃだ。つまり、エアポート上天丼は新旧の上天丼でトレードされた天ぷらがどちらも入っている代物なのである。上天丼は上天丼でも新旧上天丼のハイブリッドだったわけだ。
色んな人の人生がクロスする羽田空港。それだけに、てんやの上天丼もまた過去と今がクロスしている。知った上で食べると、上天丼の歴史に想いを馳せることができる……かもしれない。
・今回紹介した店舗の情報
店名 羽田空港第1ターミナル店
住所 東京都大田区羽田空港3-3-2 羽田空港第1旅客ターミナルビルマーケットプレイスB1F
営業時間 9:00~21:00
定休日 無休
参考リンク:てんや上天丼リニューアル(PDF)
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.