鵠沼松が岡服部さん ヨットで目指す健全育成 NPO設立、本格始動へ
セーリングで”日本一”に輝いた3人の子どもの父、服部祐太さん(52歳・鵠沼松が岡在住)がヨットの普及啓発に乗り出した。NPO法人「海育プロジェクト」を昨秋設立し、今年度から事業を本格化させる。自然相手の競技で得られる「先を読む力」を全国の子どもに養ってもらおうと、セーリングキャンプやトークイベント、ワークショップなどを企画中だ。
3人の子どもは”日本一”
都内で生まれ、小学1年の時に鎌倉へ移住した祐太さん。高校からヨットを始め、大学に進学すると、さらに競技にのめり込んだ。
結婚を機に鵠沼へ居を構え、発電設備メーカーで営業職として働きながら、週末は海へ足を運んだ。そのうち自身の子どもたちをジュニアクラブに入れ、一緒に海を満喫する日々を送った。
熱心な指導の甲斐あってか、長男の陸太さんは鎌倉学園高在学中にジュニア五輪、インターハイ、国体の3冠を達成。その後、早稲田大学の全国連覇にも貢献した。次男の輝海さん(現・明治大3年)も横須賀学院高で、妹の春花さん(同・慶応大1年)も山手学院高で日本一となった。
競技の魅力全国に波及
8年前からヨット仲間で、沖縄・座間味村を会場とした子ども向けセーリング体験イベントを企画。過去7度の開催で、セーリングやシュノーケリング、シーカヤックのほか、ヨットの帆を再利用したバッグ作りなどアップサイクルのワークショップを通じ、子どもとその保護者に笑顔と感動を与えてきた。
NPO設立のきっかけは今春、陸太さんが社会人になったことが大きい。「立派に成長した。今度は全国各地にいる子どもたちにヨットの魅力を伝えたい」と思い立ち、これまで同様にセーリングを中心とした自然体験に加え、ビーチクリーンを通した海洋環境保全に対する意識向上、世代間交流から社会性やリーダーシップを養い、子どもの健全育成につなげたい考え。まずはNPOの認知を図りながら活動の賛同者を増やし、2030年にはイベント参加者数を1千人に到達させる目標を掲げている。
6月には鎌倉市在住の海洋冒険家、白石康次郎さんらをゲストに迎え、「海から学ぶ土壇場力」と題したトークイベントを行う。「沖縄にヨットをしに行くにも費用がかかる。参加されるご家族の負担を減らしたい」と、収益はNPOの子ども育成活動資金として活用する仕組み。祐太さんは「海から学ぶことは多い。子どもだけでなく、親御さんにも生きる力を再認識してもらえれば」と呼びかけている。