私たちは、犬に頼まれたわけでもないのにシャンプーを強制しています。プロトリマーなら必ず考えて欲しい事
そもそも犬をシャンプーする目的は何?
犬をシャンプーできれいにする目的は2つ、皮膚上にある汚れと菌類を洗い流して健康に保ってあげることと、被毛の汚れを除去することでキレイにかわいくカットするためですが、いずれも120%人間の理屈や都合で、犬がそれを求めているわけではありません。そこで誰よりもたくさんシャンプーをしているプロトリマーさんにこう質問します。
・質問①「チワワのシャンプーには何分かかりますか?」
・答え①「15分~20分」
・質問②「では1頭を何回シャンプーしていますか?」
・答え②「2回~3回」
・質問③「では、そのやり方でどれくらいクサくならないですか?」
・答え③「分かりません」
この順番で質問すると、トリマーさんが何のためにシャンプーしているかが分かります。
この質問で分かることは、何度も洗ってシャンプーに15分~20分もかけているのに、その成果の1つ「臭いの持続期間」には、関心を持っていないという事で、ほとんどのトリマーさんの回答はこんな感じです。
なぜ臭いの持続に関心がないの?
臭いの持続期間に関心が薄い要因の1つは「教育」。
ほとんどのグルーミングスクールではドッグショーを前提としたカットスキルを学び、生徒の多くがその世界にあこがれを抱きます。そのハイレベルな仕上がりに欠かせないのがシャンプーのスキルなんですが、キレイに仕上げる事が最重要目的のシャンプースキルは、臭いの持続を忘れさせるのかもしれません。
シャンプー後すぐクサくなる事は気にしなくていいの?
まれに、『臭いの持続期間は3日』と答えるトリマーさんがいます。そんな時は躊躇せず「それではご自身で汚れを落としていないと言っているようなものですよ」と言うようにしていますが、それでもそのトリマーさんはいいんです、きれいに仕上がっていれば。
でも、飼い主は当然きれいな仕上がりも期待していますが、それと同じくらい、いい臭いが長く続いて欲しくて、それがペットサロンを利用する理由でもあるというのに、臭いの持続期間にフォーカスしているトリマーさんがほぼいないのは、残念ながら現実です。
健康面から見ても、犬がクサい状態でいる期間が長ければ、それに比例して皮膚トラブルの発生も増えて、強烈な悪臭を伴うケースも出てくることはだれにでも想像できます。
仕上がりと臭いの持続を両立させるには?
仕上がり重視のシャンプースキルは、被毛の汚れを落とす事にウェイトが偏りますが、臭いの元の大半は皮膚上にあります。
プロトリマーならこれを高いレベルで、しかも短時間で落とす事にフォーカスすべきですが、主流のペットシャンプーの洗浄力は横並びで、2~3回シャンプーをしなければならないレベルですからどうしても時間がかかります。
理想は、『最短の時間で前よりキレイに』を目指すべきではないでしょうか?となると、おのずと使うシャンプー剤の変更とトリマー自身の頭の切り替えが大事です。
私がいつもお勧めするペットシャンプーは、主流ペットシャンプーの3倍はある洗浄力が特徴の純植物性シャンプーです。私は、このシャンプーで『最短の時間で前よりキレイに』を実現するために、10年以上をかけてシャンプースキルを完成させました。
このスキルの成果は、例えばチワワのシャンプー時間は5分で1ヶ月臭いを持続させることができ、盆暮の繁忙期には10:00~18:00の間に30頭以上のシャンプー&ドライが可能になりました。
ただ、シャンプーのポテンシャルはこうでも、使うトリマーさんの頭が『最短時間で前よりキレイに』に切り替わらなければ、変化は起こらず、ここが1番大事なポイント。
洗浄力が3倍もあるシャンプーに変えたのに、あいかわらず2~3回シャンプーしていた方がいましたが、シャンプーの目的が変わらないとこうなってしまう悪い例ですね。
シャンプーを強制するのですから、どこかでわんちゃんを早く解放してあげる努力をすべきですが、大幅に時間短縮ができる工程はシャンプー&ドライしかないことを、プロトリマーには考えて欲しいと思うのです。