ミシンプレイヤーの岸夕子さん(鎌ケ谷市在住)着る人の心に寄り添うリメークのかたち
ミシンと共に歩んで35年。縫製士の岸さんは、これまでにショーの舞台衣装やウエディングドレスなど、数多くの衣装を仕立ててきました。
直接届く感謝の声が原動力に
転機が訪れたのは2019年、数十年ぶりに再会した叔父との出来事でした。
手が不自由な叔父から「ワイシャツのボタンをファスナーに替えてほしい」と頼まれたことで、体が不自由な人たちが服の着脱に苦労している現実を知ったのです。
さらに、2020年のコロナ禍ではマスク不足が深刻化。
「肌が弱くて市販のマスクが使えない人がいる」と聞き、肌に優しい生地の手作りマスクを製作・販売しました。
「以前はアーティストの衣装作りにワクワクしていましたが、今は直接届く感謝の言葉が何よりの喜びです」と岸さんは語ります。
好きな服を諦めない優しい工夫
介護や看護の現場では、本人の好みより介助のしやすさが重視されることが多いと知り、見た目を変えずに着脱しやすくする服のリメークサービスを始めた岸さん。
「着たい服を着やすく加工できれば、本人も介護する人も笑顔になれるのでは」と考えたのがきっかけです。
どんな状況でも好きな服を着て笑顔で一日を過ごしてほしい。
その思いから、介護する側もされる側も心が喜ぶ服作りを目指しています。
「服は人を笑顔にする力がある」と話す岸さんにも、大きな笑顔があふれていました。
Instagram/@mothertama