さすが競走馬の名産地 北海道・新ひだか町の〝走り出したくなるホテル〟が話題「馬好きにはたまりません」
「さすが競走馬の名産地」――思わずそんな言葉が口をついて出てきそうなホテルが、北海道・日高にある。
そのホテルに宿泊した、翌朝。ホテル泊の楽しみのひとつである朝食バイキングに向かうと、あなたを待ち受けているのは――。
競馬場にあるような、スターティングゲート! こんなの同行者とゲートインして一斉にスタートしたくなっちゃう~~~!
このなんとも楽しげなホテルは、「ホテルアネックスイン」。
国内有数の馬産地(競走馬の生産地)として知られる北海道・新ひだか町にあるビジネスホテルだ。
記者は24日、同ホテルを運営する佐藤観光商事(本社:北海道新ひだか町)にユニークなゲートを設置した狙いを聞いた。
ゲートインして「出走」し、万馬券を食べる朝
取材に応じた同社代表取締役の佐藤貢さんによると、朝食会場の入り口がスターティングゲート仕様になったのは2025年3月。
アネックスインでは2月から1か月間かけて1階フロアの改修工事を行っており、それに伴って実施したリニューアルの一環だという。
「『馬産地にしかできないビジネスホテルになろう!』と思い、考えました」
佐藤さんは、そう語る。
内装は「馬産地らしさ」を追求。牧場の緑をアクセントにした落ち着きのあるデザインにするなど、色々とアイデアを練った。
その中で、何かしら「馬」をイメージしたものは何かと考え、牧草→馬→競馬→レースと連想。最終的に、こんな考えに至った。
「そうだ、ゲートを作ろう!」
そして、なんと手ずから作ってしまったのだという。
「近くの競走馬牧場のビッグレッドファームまで本物のゲートを見に行き、構想を練りました。材料はホームセンターで大人買いし、ゲートの枠には水道の凍結防止カバーを使うなど、通常では考えないDIYです」(佐藤さん)
ゲートは当初オブジェとして置く予定だったが、制作を進めるにつれて規模が壮大になっていった。
そこで、たまたまスペースがあった朝食会場前に入り口として置いてみることに。
もちろんこの入り口以外にも競馬や競走馬に因んだ設備・サービスが盛りだくさん。朝食券は馬券を模しているし、朝食で提供しているお米には地場産の「万馬券」という品種を使っているんだとか。
ビジネスホテルでここまでこだわったのは、なぜなのか?
変わったのは見た目だけじゃない
佐藤さんは言う。
「客は『ビジネスホテルって泊まるだけで安けりゃどこでもいい』、フロントスタッフも『ただのビジホでサービスなんて面倒くさい』っていう関係から脱したかった。お客様のためにやったけど、1番変わったのはスタッフ側だと思います」(佐藤さん)
馬産地だからこそのビジネスホテルを。そんな思いにより生まれ変わったホテルアネックスイン。宿泊客からの反響は「すごくいいです!」。
「土地柄、牧場関係者もたくさん宿泊しますが、牧場の方から『このゲートはウチの馬にもゲートの練習に使えるんじゃないか? ずいぶん精巧に作られてんぞ! いくらで作ってくれる?』とオファーもいただきました」(佐藤さん)
牧場関係者からも「お墨付き」をもらえるほどのゲート風入り口に、X上ではこんな声が寄せられている。
「出遅れは避けたい」 「フライングしたら大外枠」 「馬好きにはたまりませんね」
朝食に向けて〝出走〟したい人は、一度足を運んでみては?
......もちろん、ホントに走り出しちゃったら、ダメですよ!