タイムアウトが発表、「世界の歩いて回れる都市 トップ20」ランキング
都市での暮らしは魅力的である。しかし、人々が限られた空間にひしめき合い、同じ通りを行き来し、同じ電車・地下鉄・バスを利用して移動している状況には、時に息苦しさを覚えることもある。
だからこそ、「歩いて回れる都市」に暮らすこと、あるいは旅先として選ぶことには、大きな価値があるのだ。
それは、単に「利便だから」というだけの話ではない。日々の通学・通勤をはじめ、文化施設やレストランなどへ出かける際の移動時間が大きく短縮される以外にも、歩く機会が増えることによる健康面のメリットが期待できる。
また、ビジネス面でも良い影響がある。歩行者中心の街路が多いことは、人々の幸福度を高めて地域のつながりを強める傾向があるためだ。ある調査では、車が必要な郊外よりも、徒歩で移動しやすい街の中心エリアの方が商店などの売上が高く、そうしたエリアはローカル経済にとっても望ましい存在であることが明らかになっている。
さらに、環境への恩恵もある。パリやロンドンなどのヨーロッパの都市では、特定の地域で交通量を減らすための対策が進められており、特にパリではさらに500の通りで車の進入を禁止する予定だという。空気が澄み、車の姿もほとんど見かけない場所での散策もより楽しいはずだ。
タイムアウトは「歩いて回れる都市」が大好きである。そこで、世界で最も歩行者に優しい都市はどこかを探ることにした。
我々は、世界各都市に住む1万8500人に「あなたの街は徒歩で移動しやすいですか?」というシンプルな質問を投げかけ、「良い」あるいは「素晴らしい」と評価した住民の割合が最も高い都市をランキングにまとめた。
その結果、1位になったのはアブダビだ。アラブ首長国連邦の首都であるこの都市は、全体的に平たん。特にダウンタウン・アブダビには歩行者専用の区域が多く整備されている。
アラビア湾に面し、アル・ルル島まで見渡せる立地にあるコーニッシュ・ビーチには、全長8キロメートルの遊歩道があり、子ども向けの遊び場やレストランが点在し、開放的な景観が広がっている。これだけの環境が整っていれば、回答した住民の91%がこの街の「歩きやすさ」を高く評価しているのもうなずける。
第2位にランクインしたのはアメリカのボストンだ。回答した市民の89%が、この都市の歩きやすさを肯定的に評価している。ボストンの主要な観光名所は市の中心部に集約されており、多くは徒歩で巡ることができる。
中でも注目すべきは、歩くことそのものが名物となっている「フリーダムトレイル」だろう。これは、ボストン・コモンからバンカーヒル記念塔まで、16の歴史的スポットをつなぐ全長4キロメートルの散策ルートだ。さらに、ボストンは優れた都市公園にも恵まれている。
第3位は、イギリスのブライトン。海辺のこの街は坂の多い地形で知られているが、それにもかかわらず、回答した住民の88%がその「歩きやすさ」を「良い」、または「素晴らしい」と評価。「ロイヤル・パビリオン」、ブライトン・パレス・ピア、ノース・レインといった代表的な観光スポットは、いずれも徒歩5分圏内に位置しており、街で最も人気のあるパブ、バー、レストランもまた、同じ小さなエリアに集まっている。
世界の歩いて回れる都市 トップ20
1. アブダビ(アラブ首長国連邦)91%
2. ボストン(アメリカ)89%
3. ブライトン(イギリス)88%
4. ニューヨーク(アメリカ)87%
5. ビルバオ(スペイン)86%
=シカゴ(アメリカ)86%
7. エディンバラ(イギリス)85%
=マラケシュ(モロッコ)85%
=サンフランシスコ(アメリカ)83%
9. カーディフ(イギリス)82%
=上海(中国)82%
=香港(香港)82%
=パリ(フランス)82%
14. オスロ(ノルウェー)81%
=ストックホルム(スウェーデン)81%
16. シンガポール(シンガポール)80%
= メルボルン(オーストラリア)80%
18.ロンドン(イギリス)79%
= リヨン(フランス)79%
= ワシントンD.C.(アメリカ)79%