「水分をとってくれない…」高齢者の水分補給に役立った意外なものとは【体験談】
80歳目前で夫に先立たれ、独居生活となった私の祖母。当時住んでいたのは、昔ながらの近所付き合いが残っている地域でした。数軒先に住む面倒見の良い方やヘルパーさんの力を借りて自宅で生活していたのですが、そのうちいろいろな悩みごとが出てきました。その1つが水分補給でした。
食事の時以外、水分をとらない祖母
当時、膝が悪く、家の中ではもっぱらハイハイで移動していた祖母。左半身に麻痺があって動くこと自体がおっくうに感じていたようです。あまり動きたがらなかったため、家の中で一番広い部屋の中に、ベッドと簡易トイレ、テーブル(コタツ)、テレビ、洋服や紙おむつなどがしまってあるタンスを配置し、1部屋の中で生活が完結するよう環境を整えていました。
食事はヘルパーさんや母が持って行っていたのですが、困ったのが水分補給です。部屋の中には水道はなく、冷蔵庫を置くスペースもありません。デイサービスに行くときは訪問先がこまめにお茶などを出してくれ、水分補給という面でも心配はなかったのですが、自宅にいるときは下手をすると食事のときに少し飲みものを飲むだけで、その他の時間には飲んでいない状況でした。
こまめな水分補給が必要だと言うけれど
基本的に祖母は室内で過ごしているのですが、エアコンがあるとはいえ夏場は室温も上昇します。祖母は自分でエアコンの温度を調節したり、こまめに水分補給をしたりといったことはできなかったので、どうすれば良いかと悩みました。もともと祖母は自ら行動するということをほとんどしない傾向にあったのですが、水分にいたってはお茶でさえあまり飲みたがりませんでした。
その結果、日常的に便秘になってしまいトイレの時間が苦痛になり、飲めばトイレに行きたくなるのが嫌でますます飲みたがらないという悪循環に。好きな飲みものなら飲んでくれるだろうとあれこれ試したのですが、祖母が一番好きな牛乳はとてもではないですが常温で置いてはおけません。
熱いお茶も好きなのですが、自分で淹れるのは安全面から見ても難しく、断念しました。ペットボトルも、握力がないため自力で開けることはできず、開封済みのものを開けるのもかなり苦労している状況で、自分からは飲もうとしませんでした。
救世主となる飲み物が登場
どうすれば良いかと悩んでいたある日、ふと「牛乳が好きならば、それに似ている豆乳はどうか」と思いつきました。本当にただの思いつきだったのですが、藁(わら)にもすがる思いでとりあえず持って行ってみることに。
試しに一番よく目にする紙パックの調整豆乳と無調整豆乳を買って行って、両方飲ませてみることにしました。すると、祖母はどちらも気に入ったようで、ペロリと飲み干してくれたのです。初日はストローを刺してあげて渡したのですが、翌日はそのまま渡してみることに。すると、紙パックからストローを出すことに一瞬苦労したのですが、テーブルの端に引っ掛けることで簡単に取り出しているではありませんか。たどたどしい手つきながらも、ストローを伸ばし、自分で刺すこともできました。
また、紙パックは真ん中辺りを持ってしまうと中身が飛び出してしまうこともあるのですが、その辺は祖母も心得ているようで角を持って自分で飲むことができました。しかも量がちょうど良いのか毎回飲み切ることができ、残った分がこぼれてしまうという心配もありませんでした。
まとめ
豆乳でも水分補給になるのかが不安だったので主治医に相談したところ、飲まないよりは断然良いとのことで、その後も豆乳を飲むようになりました。また、豆乳は便秘解消にも良いと聞いたのですが、翌日からお通じもスムーズになり、わが家にとっては一石二鳥でした。常温で置いておけるので、テーブルの上にはいつも数本豆乳がスタンバイしている光景が当たり前に。そしてさらに数年後、父方の祖父と伯父が同じような状況になった際にすすめてみたところ、2人とも気に入ってくれました。自分でできる、飲み切れるという点が高評価のようで、思いつきが役に立ってとてもうれしかったです。
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著者:小沢ゆう/40代女性。長野県在住。低体温&極度冷え症脱出めざして、温活に夢中。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年10月)