いま大流行中「電話詐欺(アポ電)」の内容まとめ / 警視庁の無料サービス「メールけいしちょう」のススメ
以前、「このところ、電話を使った詐欺が大流行中。」から始まる記事を書いた。
この時の相手(詐欺師)はモンゴル人で、約4万円を狙った投資詐欺だったが、ちまたでは様々な方法であなたを詐欺ろうとする電話が続々とかかってきているもよう。
たったここ2日の間に警視庁から報告されている、都内にかかってきたウソ電話(アポ電)事例を簡単にまとめてみると……
【動画】防犯講演もしております。引き続き講演依頼も受け付けております。
【電話会社をかたる者から】
「携帯料金が未納です」
「○時間後に電話を止めます」
「あなたが○○(遠い場所)で契約した携帯電話に未払いが生じている。心当たりがなければ○○府警に電話してください」
「確認のため、あなたの名前、生年月日、電話番号を教えてください」
「電話料金が未払いです。このままだと行政処分を受けることになります」
【銀行をかたる者から】
「口座が使えなくなります」
【警察、警視庁、捜査○課などをかたる者から】
「あなたは○○(場所)の事件に関与しているから○○(遠い場所)の警察で取り調べを受ける必要がある」
「あなたの携帯電話が悪用されている。捜査に協力してほしい」
「あなたにも詐欺事件の共犯として逮捕状が出ている。オンラインで取り調べをする」
「詐欺犯人を捕まえたら、あなた名義のキャッシュカードを持っていた。捜査に協力してほしい」
「あなたの情報を提供してほしい」
「パスポートの番号を教えてほしい」
「あなたにマネーロンダリングの容疑がかかっています」
「あなたを逮捕します」
「(遠い場所の)警察署まで来れますか?」
【息子をかたる者から(オレオレ詐欺)】
「もしもしわかる? オレだけど」
「そっちにハガキが届いていない?」
【市役所職員をかたる者から】
「医療費の還付金があります、どこの銀行をお使いですか? 携帯電話の番号を教えてください」
「還付金の申請を忘れていませんか?」
「家に市役所からの封筒が届いていませんか?」
「還付金は、まだ申請できます」
「銀行と通帳の残高を教えてください」
【配達業社をかたる者から】
「あなたの配送した荷物の規定サイズが超過している。そのため、X線検査したところ、現金が入っていたので警察に通報した。このままだと警察につなぎます」
【病院医師をかたる者から】
「息子さんが病院に来ています」
【金融庁をかたる者から】
「ガイダンス → 協力してください → してくれないならブラックリストにのりますよ」
「あなたの資金を調査する」
【年金機構をかたる者から】
「2万円の還付金があります。まだ間に合います」
【医師&息子をかたる者から(劇場型)】
「(医師役)あなたの息子さんに咽喉癌が見つかりました → (息子役)喉の調子がおかしく声がおかしい。会社でミスをしてしまったので、お金を振り込んで欲しい」
【保険医療局をかたる者から】
「○○県で保険証が使われています」
「睡眠薬を違法に購入されているようです」
恐ろしいのは、上記の事例、1件ずつではなく、十数件あった事例を私の方でまとめたもの、ということ。
見る限り、今現在の時点(2025年3月31日〜4月1日)では、「携帯を止める」と、「ニセ警察からの電話」が今の2大メジャーになっている感じだ。どちらも “不安にさせる” が共通点だ。
また、上記のような電話がかかってきた場合、相手(犯人)は何を求めてくるのか。これまたケースバイケースであるが、だいたいが下記の2点となる。
【相手の狙い】
・LINE等トークアプリのビデオ通話に誘導してくる。
・お金を求めたりキャッシュカードを預かろうとする。
これが相手の “次なる一手” のツートップ。
一方、「LINE等トークアプリのビデオ通話に誘導してくる。」場合は下記のような展開になることが多い。
・ニセの警察手帳や逮捕状を見せて「あなたに逮捕状が出ている」と言ってくる。
つまりニセ警察役の犯人がビデオ通話の向こう側にはいるということ。そのための(焦らせるための)トークアプリでもあるだろう。
余談だが、もしも私にかかってきたら盛大に記事で晒してやろうと虎視眈々と待機しているので、いつでもかけてきてほしい。
もうひとつの「お金を求めたりキャッシュカードを預かろうとする。」の場合は、オレオレ詐欺などでもよく使われる「ATMなどで指定口座にお金を振り込むよう要求してくる(ATMを操作を指示してくる)」場合が多いもよう。
また、こうした電話詐欺の7割は国際電話(+から始まる番号)からの入電であるというので、海外からの電話には出ないことをオススメしたい。
しかし今現在、私の体感的には、逆に番号非通知でかけてくるのが増えているので、どちらにしても知らない番号からの電話には出ないほうが良いのかも?
ちなみに!
なぜ私がこれだけの情報を持っているのかといえば、警視庁の無料サービス「メールけいしちょう」に登録しているから。
こちらのサービス、各地域で発生した「犯罪発生情報」や犯罪を防ぐために必要な「防犯情報」等をメールでお知らせしてくれるというもの。
犯罪の種類や、受信時刻、受信地域(警察署)なども選択できる画期的なサービスであり、たとえば「近所で不審者が出た」とか、「自転車の盗難多発しています」とか、「◯◯地域でイノシシ出現」などのアラートを逐一送ってくれるのだ。
特にイノシシ出現の情報は興味深く、その都度受信の設定にしていると、次々と違う地域からイノシシ目撃情報のアラートが飛んでくるので、イノシシがどう動いているのかがなんとなくわかる。
また、今回特集したウソ電話(アポ電)の流行りというか、手口も日によって変わってきており、「あ、今はこれがブームなんだな」ということもなんとなくわかってくる。
いわば、雨雲レーダーを表示してくれるサービスの「東京アメッシュ」の犯罪版みたいな感じで、“いまそこにある詐欺” が生々しく把握できるわけである。
恐ろしいのは、こうした電話が一般家庭のみならず、警察署内にまでかかってきていることまで逐一お伝えしてくれること。警察署に勤める警察官にかかってきた詐欺電話の報告も網羅である。
警察にまで詐欺電話するとか大した度胸だと思ったりもするが、仮に何も知らない状態で一般の人にかかってきた場合、いきなり「警察です」と言われたらそりゃビビる。
さらにトークアプリのビデオ通話でニセ警察まで出てきたら、何も知らなければ100%信じてしまうだろう。
そういった意味でも、この「メールけいしちょう」に登録して、“今を知っておくこと” は、これ以上ない防犯になると私は思う。
私が常々言っていることだが、大切なのは「知ること」である。知っておけば、騙されない。知らないから騙される。
花粉が飛び交う今、ウソ電話(アポ電)が流行っているが、夏になったらまた違う詐欺が流行っている可能性も高い。
もう毎日のニュース番組の天気予報のあとに、「詐欺予報」を始めてもよい頃だと本気で思ったりしている。
もしもやるなら、ぜひともこの道10年以上、ベテラン迷惑メール評論家の私に依頼していただきたい。なりすまし以外からのお電話、お待ちしております。
参考リンク:メールけいしちょう
執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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