下野紘さんや神谷浩史さんも藩士! 『ゆるキャン△』『ざつ旅』などアニメと深い繋がりのあるバラエティ番組『水曜どうでしょう』とは?
レギュラー放送が2002年に終了したにもかかわらず、今もなお絶大な人気を誇る北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ深夜番組『水曜どうでしょう』。
この『水曜どうでしょう』がアニメ業界に多大な影響を与えていることをみなさんはご存知でしょうか? 最近では『ざつ旅 -That’s Journey-』の第1話に『水曜どうでしょう』のオマージュが登場し話題となっていましたよね!
番組名だけは知っているけど、アニメとどんな関係があるの?と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。そこで本稿では『水曜どうでしょう』もアニメもどちらも好きな筆者が『水曜どうでしょう』とアニメ業界の繋がりについて解説していきます!
『水曜どうでしょう』とは?
『水曜どうでしょう』は、1996年にスタートした旅番組の枠を超えた伝説的なバラエティ番組で、ファンからは「どうでしょう」や「水どう」などと略されて愛されています。また『水曜どうでしょう』ファンのことを通称「藩士」と呼びます。
レギュラー出演者は鈴井貴之さんと大泉洋さん、ロケーション同行ディレクターの藤村忠寿さんと嬉野雅道さんの4人。企画によっては安田顕さんをはじめTEAM NACS(チームナックス)の面々が出演することもあります。
「ここをキャンプ地とする」や「僕は一生どうでしょうします」、「おいパイ食わねぇか」など数々の名言(迷言)を生み出し、2002年のレギュラー放送を終えた後も不定期での新作放送や、過去に放送された企画の再放送・DVD化がされ、今もなお愛されています。
声優界に「どうでしょう」ファン多数! 下野紘さんらが日本語の動画を日本語でアフレコ!?
声優界には「藩士」が多数存在します。その中でも下野紘さんはご自身のブログのタイトルを「気まぐれにどうでしょう」とつけるほどのファン! 藤村・嬉野ディレクターが出演するニコニコ生放送にゲスト出演されたり、梶裕貴さんと『水曜どうでしょうClassic』のエンディングテーマ曲「1/6の夢旅人2002」のカバーもされました。
さらには同じく藩士である神谷浩史さん、小野大輔さんと共に「『水曜どうでしょう』の名場面をアフレコしてみた」と題し、「喜界島テントのケンカ編」と「ジャングルでシカでした編」のアフレコをまさかの日本語アフレコ(笑)。
日本語を日本語でアフレコするという前代未聞のこの動画は100万回以上再生されており、コメント欄には「笑い声再現すげぇな」や「いい声の無駄遣い」、「あの場面をこれだけ緊迫した作品に仕立て上げるんだから声優さんてのはさすがだよ」などの声が上がっています。ちなみに藤村ディレクターも本人役として一緒にアフレコをしています。
他にも藩士がたくさん!
下野さん、神谷さん、小野さん以外にも声優界にはまだまだ藩士がたくさんいます! 井上和彦さんも『水曜どうでしょう』の大ファンだと豪語しており、藤村・嬉野ディレクターが出演するニコニコ生放送にゲスト出演しています。
また、工藤晴香さんと相羽あいなさんは、工藤さんの番組にゲストとして相羽さんを呼び、『水曜どうでしょう』のことを語り合うほどの藩士としても有名。お二人は「大泉シェフと藤村のケンカ」をアフレコしているのですが、かわいい声でのケンカがオリジナルとはまた違う面白さを出していて藩士も大満足の動画となっています!
阿座上洋平さんも藩士ということで『スナックバス江』に藤村・嬉野ディレクターが出演された際には、鼎談も実現しています。
よく見返す回は「クリスマス回」と話しており、『水曜どうでしょう』に出会ったきっかけなども語られています。
『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』を手掛けるアニメ制作会社WIT STUDIOとは昔から繋がりが?
「進撃の巨人」シリーズや『SPY×FAMILY』(共同制作:CloverWorks)などを手掛けるアニメ制作会社WIT STUDIOは一見、『水曜どうでしょう』とは何の関わりもなさそうですが、実は10年以上の付き合いがある間柄。なぜなら、WIT STUDIOは『水曜どうでしょう』DVDのオープニングアニメを手掛けているのです!
『進撃の巨人』が放送されたのが2013年、WIT STUDIOが『水曜どうでしょう』のオープニングアニメを最初に手掛けたのが2012年。つまり人気作を手掛ける前に『水曜どうでしょう』のアニメーションを作っていたのです。
「WIT STUDIO 10thアニバーサリーイヤープロジェクト」のオンライントークショーに藤村・嬉野ディレクターが出演したり、「水曜どうでしょう祭」のイベントグッズにWIT STUDIOが手掛けた映像に出てくる藤村ディレクター似の不気味な白雪姫のデザインのTシャツを作成したりと、様々な交流を見せてくれています。
アニメ業界に多大な影響を与える『水曜どうでしょう』の凄さ
『ざつ旅 -That’s Journey-』と『水曜どうでしょう』
本稿の冒頭で『ざつ旅 -That’s Journey-』のお話をしましたが、この作品は大いに『水曜どうでしょう』の影響を受けていると思います。
まず主人公の漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちかが旅に出るきっかけとなったのが作中のテレビで流れていた映像です。これは『水曜どうでしょう』の人気企画「サイコロの旅」のオマージュだと思われます。サイコロを投げて行き先を決めるという番組内容に感化され、ちかは現代風にSNSを使って旅の行き先を決めることになりました。
その他にも、宿で宿泊可能かを確認するシーンでは、縦書きの文字だけで会話が進んでいきます。これも『水曜どうでしょう』ならではの手法の1つで、変わらない映像に会話だけ載せて面白くするというものです。
『水曜どうでしょう』には「サイコロの旅」以外にも「原付き日本列島制覇」(通称:カブの旅)や「日本全国絵葉書の旅」など旅を目的とした企画が多々ありますが、そのどれもが「行き当たりばったりの雑な旅」なのです。
『ざつ旅 -That’s Journey-』の行き当たりばったり感はまさに「水曜どうでしょうイズム」を継承していると言えるでしょう!
『ゆるキャン△』と『水曜どうでしょう』
忘れてはいけないのが『ゆるキャン△』。この作品から『水曜どうでしょう』を知った方も多いかもしれませんね!
『水曜どうでしょう』の名言「ここをキャンプ地とする」がキャンプを題材にしている『ゆるキャン△』とマッチしコラボが実現しています。
そもそも原作のあfろ先生が藩士ということでこちらの作品もオマージュがたくさん! シーズン1第12話で野クルメンバーが寝る前に見ている映像が「原付東日本縦断」の映像だったり、シーズン3第8話の冒頭は『水曜どうでしょう』前枠にそっくりですし、そのあとの本編に入る前のダイジェスト映像はまさに『水曜どうでしょう』そのもの。
オマージュ以外にもシーズン2第5話「カリブーくんと山中湖」に出てくるワカサギ釣りをする男性と千明達が訪れたキャンプ場の管理人役には、藤村・嬉野ディレクターが実際にアフレコに参加されています。
また『水曜どうでしょうClassic』のエンディングテーマ曲「1/6の夢旅人2002」を使用した『ゆるキャン△ 』、『ゆるキャン△ SEASON2』MVも存在します。
実は『水曜どうでしょう』はマンガにもなっていた
アニメのコラボだけにはとどまらず、なんとマンガにもなっていた『水曜どうでしょう』。こちらは『水曜どうでしょう』の本編をマンガ化したものではなく、本編内で大泉洋さんが話したホラ話を題材にしたマンガです。
とっさに話したホラ話がマンガになるってすごいことですよね!
『水曜どうでしょう』出演陣は声優としても活躍!
先ほど『ゆるキャン△』に藤村・嬉野ディレクターが出たとお話しましたが、それ以外にも『水曜どうでしょう』出演陣はアニメの声優をしています。
ご紹介したいのは『茄子 アンダルシアの夏』です。スペインの自転車ロードレース、ブエルタ・ア・エスパーニャを舞台にした作品で、主人公の声を大泉洋さんが担当しています。
藤村ディレクターの2007年のブログには「作画監督をやっていた高坂希太郎さん。この方、どうでしょうをよーくご覧になっておられる。好きでいらっしゃる。」と書かれており、ここでも『水曜どうでしょう』との繋がりを感じさせられます。
『茄子 アンダルシアの夏』には大泉洋さんのみの出演でしたが、続編である『茄子 スーツケースの渡り鳥』には藤村・嬉野ディレクターも声優として参加しており、こちらも藩士には堪らないアニメとなっています。
そして有名なのはジブリ作品! 大泉洋さんは色々なジブリ作品に出演されていますが、実は鈴井貴之さんもジブリ作品に出られていることをご存知でしょうか? 大泉洋さんも先生役として出演している『猫の恩返し』の猫のシェフ役として出演されています。
『水曜どうでしょう』での表現力が声優としても生かされているのです!
まとめ
改めて振り返ってみると『水曜どうでしょう』とアニメ業界にはこんなにも繋がりがあるのかと驚きました。藩士たちがクリエイターになり様々な作品を作り、そこにさらに藩士やご本人たちが出演するという素敵な輪が生み出されています。
これからも今後生まれるであろう『水曜どうでしょう』×アニメの素敵な化学反応を楽しみに待ちましょう!
[文/五反田ちさと]