浅草富士浅間神社周辺で江戸時代から続く「浅草観音うら お富士さんの植木市」が5月31日・6月1日・28日・29日に開催!
東京都台東区の浅草富士浅間神社周辺では、江戸時代から約400年続く夏の風物詩「浅草観音うら お富士さんの植木市」の“一の富士”が2025年5月31日(土)・6月1日(日)、“二の富士”が6月28日(土)・29日(日)に開催される。メイン会場となる柳通りに植木を売る市が並ぶ、江戸情緒あふれるイベントだ。
富士山の山開きとともに開かれた植木市
江戸時代の元禄年間(1688~1703)の創建と推察される浅草富士浅間神社は、富士山の遥拝所として知られ、古くから「お富士さん」と呼ばれ親しまれてきた。かつては旧暦6月1日に山開きが行われ、富士詣に行けない人でも境内の富士塚に登れば本物の富士山に登頂したのと同じ御利益が得られるとして多くの参拝者が訪れた。それに合わせて植木市が開かれたのが始まりといわれる。
明治5年(1872)の改暦に伴い、富士山の山開きは7月1日となり、植木市は5月と6月の最終土・日曜に開催されるようになった。ちょうど入梅の時で植木を移植するのに好期にあたるため、ここで買った植木はよく根がつくと評判になり、次第に盛んになっていった。
「観音うら」と呼ばれるエリアは元々静かな街で、夜は花街として芸妓を派遣する見番や料亭が多くあった。現在のメイン会場となる柳通りと交差する道路にもかつては多くの植木商が出店し、芸妓を連れた旦那衆が大きな枝物を買って見栄を張ったなんてエピソードもある。
大小さまざまな植物が並ぶ!
柳通りに並ぶ植木商には、小さな苗から、多肉植物や観葉植物、庭に植える大きな木、さらには季節物のアジサイ、レモンの木など多種多様な植物が売られる。そのほか、珍しいところでは江戸風鈴や「つりしのぶ」を販売するお店も出る。「つりしのぶ」は苔玉のような植物に枝を組んで風鈴を付けた、江戸時代に庭師によって考案されたとされる伝統工芸植物。神社で植木市開催日に頒布(有料)される「麦藁蛇(むぎわらじゃ)」と並ぶ植木市の名物だ。また神社のある通りには飲食の露店も並ぶので、食べ歩きも楽しめる。
豪華な雷門のある浅草寺の裏、“観音うら”には下町風情ただようエリアが広がり、江戸情緒ある植木市が開催され、歴史ある文化を今なお感じさせる。多くの観光客であふれる浅草寺周辺だけでなく、落ち着いた雰囲気の観音うらにも足を運んで、約400年間続く伝統ある植木市をのぞいてみては。
開催概要
「浅草観音うら お富士さんの植木市」
開催期間:《一の富士》2025年5月31日(土)・6月1日(日)/《二の富士》6月28日(土)・29日(日)
開催時間:9:00~21:00ごろ
会場:浅草富士浅間神社(東京都台東区浅草5-3-2)周辺
アクセス:私鉄・地下鉄浅草駅から徒歩10分
【問い合わせ先】
浅草観光連盟☎03-3844-1221
URL:https://www.city.taito.lg.jp/event/kanko/ohujisannouekiichi.html
取材・文=香取麻衣子 ※画像は主催者提供
香取麻衣子
ライター
1980年生まれ。『散歩の達人』編集部でのアルバイト経験を経て、2010年からライターとしての活動を開始。あだ名はかとりーぬ。『散歩の達人』では祭り&イベントのページを長らく担当。青春18きっぷ旅や山歩きなどのんびりと気ままにお出かけするのが好き。あとビールや美術館めぐりも大好物。