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首里城正殿の再建に挑んだ宮大工たち「その時代にタイムスリップしたかのような空間をつくる」伝統技術の継承も進められた

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「令和の復元」が進む首里城正殿では、巧みな技で再建に挑んだ宮大工たち。山本信幸総棟梁(とうりょう)の陣頭指揮のもと、2年半にわたり復興に向き合った宮大工たちの思いを伝える。 2022年11月に始動した首里城「令和の復元」。全国各地から集まった40人あまりの宮大工たちが沖縄県内外から調達された木材と向き合い伝統の技とチームワークでありし日の姿をよみがえらせようと奮闘した。 2025年3月、正殿の木工事が一区切りとなり再建にたずさわった思いを語ったのは現場を取り仕切った山本信幸総棟梁と奥野晃輔副棟梁や若手宮大工の稲葉耕介さんと後藤亜和さん。

再建の現場には20代の宮大工も多く参加し技術の継承も進められた。宮大工たちを技術的にも精神的にも支えた山本総棟梁の目に若き職人たちの姿はどう映っていたのだろうか。 山本信幸総棟梁(福井県出身) 「稲葉さんは非常に気がつくし先を見据えるようなところもここで育ったのか、もともと持っていたのかはわかりませんが、これからが楽しみな職人だなと思います」

稲葉耕介さん(長野県出身) 「気を配ることや先を読むことは自分が意識してきたテーマだったので、今こうして褒めていただけたことがとてもうれしいです」

山本信幸総棟梁(福井県出身) 「後藤さんは非常に感受性が強く物事をまっすぐに見ることができる方です。与えた課題にも真剣に向き合ってくれる。職人さんたちの仕事や生き方から何かを感じ取ってもらえれば、これからの人生にもきっと役立つと思います」 後藤亜和さん(北中城村出身) 「この現場では多くの方との出会いがありました。それぞれの大工さんの生き方や人生の話を聞くことができてとても楽しく自分にとってよい刺激になりました」

奥野晃輔副棟梁(奈良県出身) 「楽しいこともありましたが辛いことも多く、工程がかなり慌ただしかったため2年間があっという間に感じられました」

伝統建築を手がける職人として手仕事に情熱を注いできた奥野副棟梁。山本総棟梁は奥野さんにあえて職人の配置や工程管理、図面の作成といった現場の運営を任せた。

山本信幸総棟梁(福井県出身) 「私の目から見て奥野さんには十分な調整力があると感じていました。困難に対して必死にもがき、さまざまな角度から考えて結論を導き出すタイプなので彼に任せるのが適任だと思ったのです」

奥野晃輔副棟梁(奈良県出身) 「期待に応えられたかどうかは分かりませんがだいぶ鍛えられました。手仕事以外にも裏方の仕事をたくさん経験し支えることの大切さを学びました」

一方で焼失した首里城の再建は防災対策の強化が求められた。スプリンクラーや避難誘導の看板といった設備の設置が必要とされ山本総棟梁は伝統との調和に腐心したという。

山本信幸総棟梁(福井県出身) 「平成の復元と違い、今回の復元は6年前の不幸な火災から始まったものです。防災関連の設備が非常に多く取り入れられています。ある時代の建物を復元する際に私が大切だと考えるのは建物の中に入ったときにまるでその時代にタイムスリップしたかのような空間をつくることです。その雰囲気を壊さないようにすることが一番難しかったです」

ここでの作業を終えた稲葉さんと後藤さんは次の現場でこの経験をいかしていく。 稲葉耕介さん(長野県出身) 「人とのつながり、一緒に団結して一つのことに取り組むということをこの現場で学びました。それを今後も大切にしていきたいです」

後藤亜和さん(北中城村出身) 「県民として首里城の再建に携わることができたのは本当に大きなことだと感じています。自分自身も再建に関わる中で大きなエネルギーをもらいました。完成後も県民のみなさんに見ていただいて元気をもらえるような場所になってくれると嬉しいです」

山本総棟梁は共に再建に挑み、これから首里城を守っていく県内の職人たちに向けてエールを送った。 山本信幸総棟梁(福井県出身) 「首里城をはじめとする沖縄の木造伝統建築を県内の職人たちの手で再建・復興できるようにすることが私の一つの目標でした。ここから先も多くの県民のみなさんに注目していただき一生懸命つくった正殿を愛し続けてほしいと思っています」

悠久の歴史を持つ首里城に宿る思いを未来へ託すため再建に挑んだ宮大工たち。彼らの刻む一刀一刀が生まれ変わる首里城正殿に新たな命を吹き込んでいる。

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