【市原市】紙の持つ魅力を最大限に表現した展覧会 かみがつくる宇宙―ミクロとマクロの往還
紙は無限の可能性を秘めている最も身近な材質です。
そんな紙をテーマに3人のアーティストによる三者三様の作品の展覧会が市原湖畔美術館で開催中。
はかなくも力強い魅力的な世界
今回の展覧会に招かれた3人のアーティストは、紙を素材にし、非常に繊細でそして気の遠くなるような作業を繰り返し、作品を生み出しています。
「そのミクロな作業からマクロな世界を生み出し表現しているさまは、今回の展覧会のテーマ『ミクロとマクロの往還』にリンクしています」と学芸員の三浦さんは話します。
紙というはかない素材を使いながら完成した作品には力強さがあり、作品それぞれが放つ魅力は来館者を魅了しています。
折り紙、切り絵、そして彫刻も
折り紙作家の布施知子氏の作品は、命を持った生き物のように地上から伸びている「むくむく」と、2種類の折り方で折られた合計300本の「ねじねじ」です。
布施知子氏は「ユニット折り」を世界的に広め、「無限折り」をはじめ従来の折り紙の概念を変え、今まで誰も見たことない折り紙の世界を切り開いたアーティストで、別の部屋には過去作品「二重折りのヘリックス」の展示もあります。
切り絵作家の柴田あゆみ氏の作品「いのちの詩」は、地下から高さ9mの吹き抜けになっている展示室に展示されています。
まるでレース編みのようなこの作品は、下からの照明を受け神秘的な空間を作り出しています。
作品「かみのてのなか」は、ガラスの器の中に小さな「いのちの詩」が収められ、手のひらに乗る宇宙のような作品となっています(実際に手に取ることはできません)。
安部典子氏は、数百、数千の紙を手作業でカットし、一枚一枚の紙の高低差を生かし、立体的な彫刻作品を制作。
今回の展示では特殊照明作家の市川平氏とのコラボレーション作品となっています。
暗い展示室をゆっくり回っている照明と、作品の下には光る水銀灯があり、こちらも回転しています。
回っている照明はたまに消え、暗くなった展示室にドットが浮かび上がるさまは、まるで宇宙から地球を眺めているようです。
三者三様、それぞれが作り出す「かみがつくる宇宙」を堪能してみては。(取材・執筆/案山子)
会期/~2025年1月13日(月・祝)
開催時間/(平日)午前10時~午後5時
(土・祝前日)午前9時半~午後7時
(日・祝日)午前9時半~午後6時
休館日/月曜(祝日の場合、翌平日)
年末年始12月29日(日)~2025年1月3日(金)
住所/千葉県市原市不入75-1
料金/一般1,000円、大高生・65歳以上:800円、中学生以下・障害者手帳所持者および介添者1人無料
問い合わせ
電話番号/0436-98-1525
市原湖畔美術館かみがつくる宇宙