こちら葛飾区『こち亀記念館』前、大盛況!~変わる街並みも妙にやさしいよ~
1976年から2016年まで40年にわたって『週刊少年ジャンプ』に連載された『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(秋本治/集英社)。通称「こち亀」。単行本は201巻まで刊行中、アニメ化もされ、主人公の両津勘吉はたぶん日本でいちばん有名な警察官。その両さんが、自ら亀有に記念館をつくる⁉
『こち亀記念館』 2025年3月22日(土)OPEN!
漫画のコマをイメージした窓が目を引く外観。両津大明神社の再現、名場面体験ボックス、両津名誉館長室など、斬新な展示が揃う予定。
●JR常磐線亀有駅から徒歩3分。入館料は大人700円(区民は500円)、小人300円(区民は100円)。事前予約制。
東京都葛飾区亀有3-32-17
亀有の街に両さんの眉毛が集結!
2025年1月下旬の土曜日、亀有駅南口の宮前通りでは、「こち亀記念館」のプレイベント「かめありハレの日」が開催された。来場者は、こたつで温まったり、『こち亀』を熟読したり、両さんの仮装をしたり、思い思いの楽しみ方をしていた。2025年3月の開館に向けて、地域で暮らす人たちの期待が高まっているのを感じる。
「『こち亀』で街おこしをしていこうという気運はずっとありました。これまで、商店街さんが銅像をつくったり、区のほうでもデザインマンホールをつくったり、フォトコンテンストを開催したりと取り組んできたんですが、やはり記念館がほしいという要望が地域の方々から出てきたんですね。そうした思いを受けて、区で土地を探して整備に至りました」。葛飾区観光課の中村隆明さんは話す。
記念館のコンセプトは、両さんが自分たちが働いている派出所の上に勝手に記念館をつくった、というもの。まさに『こち亀』でありそうな話だ。そんな勝手をしたら大原部長に怒られるはずで、その“お約束”そのままに、部長に追いかけられて逃げる両さんを追跡していくことが展示の醍醐味だという。
1階エントランスは派出所を模したつくりで、入館したらまず5階へ。階を下りながら、作品世界をさまざまに体験できる予定だ。1階には、亀有の歴史や、漫画のコマをつかった散歩案内の展示があり、作品世界から亀有の街へとつながる流れになる。記念館だけで完結せず、亀有の街へ繰り出してほしいという思いからだ。
開館に合わせて、地域の個人商店が独自にコラボ商品やメニューを考えて販売・提供している動きも見逃せない。版権使用料や開発費を区が支援する制度があり、2025年2月現在13店舗が参加。開発に当たって『こち亀』を読み返した店主もいて、ひねりのきいたコラボが続々と誕生しつつある。
地域に暮らしている人たちの声から始まった街おこしは、作品の力と相まって層が厚く情熱的だ。
記念館から出たら、いざ亀有の街へ
街を歩けば、両さんとその仲間たちに会える。『こち亀』の世界が、どんどん現実になっていくかもしれない。
コラボグッズ・メニューも
さまざまな業種でコラボが成立するのは作品の、ひいては両さんのキャラクター(眉毛)の強さゆえ。
「ようこそ亀有セット」もおすすめ『亀有 嵯峨野』
「両さんもんじゃ」2350円は、豚肉、海鮮、コーン、生そば、チーズなど具材たっぷり、量も2倍。“量”がたく“さん”にかけている。店内には原作者の秋本治さんのサインや写真もあり。国内外のファンがやって来る人気店。
●JR常磐線亀有駅から徒歩4分。11:00~14:20最終入店・17:00~20:20最終入店、火・第3水休。
☎03-3601-2049
和菓子から海苔巻きまで常時30種を販売『葛飾伊勢屋』
全国に届けられるおみやげをつくりたいと「両さんどら焼」220円(栗は280円)を発売したのは1999年。以来、『こち亀』の中にも登場する亀有みやげとして定着。「両さんキャンディー」550円をはじめ、サブレ、めんこ焼き、水ようかんもあり。店内に食事処も。
●JR常磐線亀有駅から徒歩3分。9:00~19:30、月1回火休。
☎03-3602-4221
あなたもきっと両さんになれる!『ヘアーマジック サクセス』
「両さんカット」4500円は、スポーツ刈りではあるが、あまり角をつけず丸みをもたせるのがコツ。結婚式の余興や、東京マラソン出場など、用途・目的はさまざま。これまで100人ほどがオーダーしたという。
●JR常磐線亀有駅から徒歩3分。9:00~18:00時受付まで、月・火休。
☎03-3603-4188
両さんのあの眉毛がキャップになった!『刺繍工房マラトン』
正面には両さんの眉毛、サイドには両さんの顔。大人でもスタイリッシュにかぶることができる。眉毛部分は、ふくらみのある3D刺繍、使う糸は光沢がない海外ビンテージのものと、刺繍専門店ならではのこだわりの逸品だ。1個2000円、黒白赤の3色。店頭で販売予定。
●JR常磐線亀有駅から徒歩7分。9:00~16:00、土・日休。
☎090-3813-6225
とろける牛肉とトンブリのマリアージュ『焼肉ホルモン ちゅらロース亀有店』
きめが細かくやわらかい肉質のサーロインに塩コショウで下味をつけ、ネギを眉毛の形にのせ、ごま油をたらした「両さん眉毛サーロイン」1089円。泡盛のソーダ割りと一緒に楽しみたい。泡盛バイキングもあり。
●JR常磐線亀有駅から徒歩3分。17:00~23:00LO(土・日・祝は15:00~22:30LO)、無休。
☎03-6662-5529
このお店もコラボ中!
『靴の東洋』
『綾瀬商店株式会社』
『むさしや』
『カモメロースタリ東京』
『ブーランジェリートモヒロ』
『ゴーゴーカレー亀有スタジアム』
『ごち亀』
『CAFÉ&DINER WAGER』
『ハンドメイドファクトリー マカロン』
※商店街オリジナルこち亀グッズは、『ゆうろーどサービスカウンター』『ハンドメイドファクトリー マカロン』『栄眞堂書店』『葛飾伊勢屋』にて販売。
取材・文=屋敷直子 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2025年3月号より
(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社
(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社・ADK