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村尾信尚「ドイツで右翼政党が第2党に躍進したわけ」

文化放送

ドイツの総選挙が2月23日に行われ、反移民・難民を訴える右翼政党『ドイツのための選択肢(AfD)』が第2党に躍進した。2月25日の「くにまる食堂(文化放送)」では、関西学院大学教授の村尾信尚が、なぜドイツで右翼政党が多くの支持を集めたのかを語った。

村尾「ヨーロッパにおける右翼政党の台頭の背景には反移民、反エリート、この2つの流れがあると思うんですよね。反移民ということについて統計データを見ると、2019年のベースで全人口に占める外国生まれの人の割合はアメリカが13.6%、イギリスは14%、ドイツは16.1%、フランスは12.8%、みんな10%を超えています。ちなみに日本は2.2%。ヨーロッパ、アメリカは断トツに外国人の占める割合が高い。そうなると今の格差社会の中で貧しい人たちは『自分たちの仕事が取られたのは外国人のせいだ』といった反移民感情が非常に高まっていて“異なるものを排斥する”という右翼政党に近い動きが見られるようになっていったんです。ドイツでは第2政党になりましたが、フランスでも右翼政党の支持は高まっているし、イタリアでは右翼政党といわれるところからメローニ首相が誕生しました。このようにヨーロッパでは右翼化の動きは顕著なんです」

邦丸「ヨーロッパに移民が流入してくるようになったきっかけは何だったんですか?」

村尾「昔から移民がヨーロッパに流れる傾向はあったんですが、リーマンショックの後、世界経済の格差が広がっていく中で、2011年にアラブの春がありました。この時、エジプトで長期政権だったムバラク政権が倒れるんですけど、当時、エジプトの方々が言っていたのは『公平な社会を作りたい』『低所得層でも豊かな暮らしをしたい』という声でした。こういった声がエジプトだけではなく中東全体に広がっていく中、シリアで内紛が起きたんですが、これをアサド政権が弾圧したんです。この時に難民になった人たちが言っていたのは『前に行くとアサド政権の銃口が待っている。後ろに行くと海だ』。だから陸を伝って逃げるしかなかったんです。そういう人がどんどんヨーロッパに流れていったんです。その後、2015年にフランスで同時多発テロが起きました。これはイスラム過激派の襲撃ということだったんですが、この時、一気にヨーロッパの中で反移民感情が広がったと思います。そして2016年にはイギリスでは難民が来られると困るという声が増えEUから離脱。同じ年、アメリカではトランプさんが反移民を訴え、初めて大統領選に勝つというようなことが起きました。私は今回のドイツでの右翼政党の躍進は、この流れの延長線上にあると捉えています」

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