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後から入部したスクール掛け持ちの子たちに追い抜かれた 補欠になり自信を失った息子をどう支えたらいいのか問題

サカイク

後から入部してきた、スクール2つ3つ掛け持ちの子たちにスタメン奪われた。補欠になったらそれまでの友達とも距離ができ、自信を失っている息子。

自分はフルタイムだしスクール送迎とか難しいけど、親の情報収集とお金をかけて良いレールに乗せることで子どものサッカーの運命も決まるの? 息子の笑顔を取り戻したい。というご相談。

今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、悩めるお母さんに3つのアドバイスを送ります。
(構成・文:島沢優子)

(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

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<サッカーママからの相談>

息子は10歳です。これまではスタメンでした。しかし今年からずっとベンチです。足は遅い方で、現在は明らかにあとから入部してきた子たちに抜かれて置いてきぼりになっています。その子達はスクールを2~3掛け持ちして通っています。

送迎も費用も大変だと思います。私はフルタイム勤務なので同じことはできません。

そのママたちはそうやって時間とお金をつぎ込んで、子どももちゃんと成績をあげてスタメンを取ってるので親も満足だと思います。

やはり自主練ではなく親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まるのかなと思います。

うちの子はベンチになってから自信を失い、友達とも距離ができました。友達が離れていってしまったようにも見えます。

好きだったサッカーが、練習がうまくいかず、遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくるだけの自分を見て、一番悲しい気持ちなのは本人だと思います。

自信がないとできることもできない、できないと「ああ、やっぱりあいつはできない」と思われると恐れる、悪循環です。

スタメンの子たちはJ下部のチームのセレクションを受けると言って盛り上がっています。以前は友達だったけど、今は距離が遠くなってしまっているようです。

サッカーが好きなら続ければいいと思いますが、試合に出たい、認められたい、そういう気持ちで焦って、苦しそうです。みんなの輪の外にいる状況も苦しいと思います。

なんとか壁を越えてほしいのですが、以前のように笑顔が戻って心からサッカー楽しいって思えるように、親ができることはなんでしょうか。

 

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

10歳なので4年生か5年生でしょうか。せっかくレギュラーだったのに、ベンチメンバーになってしまったということで、お母さんの落胆ぶりが伝わります。

 

■時間とお金をつぎ込んでスタメン、に悶々とするより息子さんの笑顔が戻るほうに意識を向けて

ご相談のメールに「親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まる」と書かれています。サッカースクールの送迎が出来ないフルタイム勤務であるご自分を強く責めていらっしゃるようです。

その一方で「ママたちはそうやって時間とお金をつぎ込んで、子どももちゃんと成績をあげてスタメンを取ってるので親も満足」などの部分に、嫉妬心もうかがえます。

そういったドロドロした本音を、お母さんはここで吐き出しました。しかし、ここまでにしましょう。これからどうすればいいのかを考えませんか。

お母さんが最後に質問された、息子さんが「笑顔が戻って心からサッカー楽しいと思えるよう」親ができることを探しましょう。

そのために、私から三つほどアドバイスさせてください。

 

■試合経験は大事、小学生年代は全員出場させてくれるチームに所属したほうがいい

まず、ひとつめ。

小学生時代は全員出場させてくれるチームに所属したほうが良いかと思います。本来ならば、公式戦で出られなかった子どもがいれば、そのあとに「B戦」といって他のチームの試合に出られなかった子ども同士で試合をさせるべきです。そういった配慮をしてくれるクラブがあれば息子さんに提案してもいいですね。

そうすれば、少なくとも「遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくる」といったがっかり感はなくなると思います。

とはいえ、すでに中学年から高学年に移行する時期であり、息子さんがチームを移ることを嫌うようならお勧めできません。何をするにも、最終的には本人の意思を尊重してあげてください。

 

■中学以降で伸びる子もいる 長い目で成長を見ること

二つめは、長い目で見てあげることです。

お母さんと似た悩みをお持ちの親御さんを、SNSでよく見かけます。少年サッカーで万年補欠だったお子さんの動向を発信しているお父さんの書き込みをずっと見ていますが、最近その子は中学生になりました。中学ではその子が試合に出られそうなクラブを探して入ったそうで、試合に出て楽しくサッカーを続けているそうです。

そういった子どもはたくさんいます。そもそも身体的な成長や、サッカーの技術や戦術眼の習熟度の進み具合は、子どもによって異なります

下級生のときから上手かった子どもが中学や高校で伸びなかったりしますし、逆に少し発達が遅れがちであまり試合に出られなかった子どもが中学や高校で一気に伸びることもあります。

そういったことを踏まえて、親御さんは目の前の子どもの姿に一喜一憂する是非を考えて欲しいのです。もちろん一緒に喜んだり、悲しんだりする、子どもの気持ちに共感することは重要です。しかし、お子さんの悔しさや孤独にお母さんが「同化」してしまってはいけません。

なぜレギュラーから外されたんだろう。何が足らないんだろう。どうしたらいいんだろう――。そんなふうに、お子さんのサッカーのことばかり考えていないでしょうか? そんな親の感情は子どもに気づかれています。

子どもが抱える「レギュラーから外された」という荷物をお母さんは取り除いてあげたいはずなのに、その荷物の上に「レギュラーのあなたでなければ嫌だ」というストレス、つまり新たな荷物を載せてはいないでしょうか。

この連載の187回目で、オーストリアのアルフレッド・アドラーが提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学の体系である「アドラー心理学」について触れています。そのなかの「課題の分離」という概念です。

アドラー心理学の中心的な考え方のひとつでもあるこの「課題の分離」は、自分の課題と他者の課題を明確に区別したほうがいいよ、という考え方です。自分の課題については真摯に向き合い責任を持ちますが、他者の課題には立ち入らないようにする。 他者の課題に不必要に介入することは、相手への支配や依存につながる危険性があるためです。

レギュラーになれないのは、息子さんの課題です。お母さんは何も言わず見守っていればいいのです。あまりに楽しくなさそうなら、ひとつめでアドバイスしたように他のチームを探すことに協力してあげてください。

 

■親が情報収集し、良いレールに乗せられたかどうかで決まる は間違い

(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

最後の三つめ。

冒頭で触れた「親が情報収集し、より良いレールに乗せられたかどうかで子どもの運命も決まる」は間違いです。

そのような考えは、課題を分離させずに同化させています。より良い「レール」など存在しません。子どもが自発的、主体的に「おれ、こうするよ」と見つけたものがベストのレール。

親は、いかに自発的、主体的に考えられる子どもに育てるかに注目してください。

お母さん自身、いまとても良い学びに遭遇していませんか。

補欠の子どもの親の気持ちを知ったわけです。ずっとレギュラーだったら、遠い場所の試合に行ってもベンチに座って帰ってくる子どもの心情に気づけた。それだけでも、人として大きな学びです。

つまり子育ては子どもを育てるのではなく、子どもに育てられている。私はそう思います。

 

島沢優子(しまざわ・ゆうこ)ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などでスポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』(小学館)『世界を獲るノート アスリートのインテリジェンス』(カンゼン)『部活があぶない』(講談社現代新書)『スポーツ毒親 暴力・性虐待になぜわが子を差し出すのか』(文藝春秋)『オシムの遺産 彼らに授けたもうひとつの言葉』(竹書房)など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著・小学館)『教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術』(佐伯夕利子著・小学館新書)など企画構成者としてもヒット作が多く、指導者や保護者向けの講演も精力的に行っている。日本バスケットボール協会インテグリティ委員、沖縄県部活動改革推進委員、朝日新聞デジタルコメンテーター。1男1女の母。

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