【逗子 イベントレポ】ココロラップコンテスト2025-逗子から放つ魂のrhyme(ライム)
「ネガティブな感情をなかったことにしない。その感情をビートに載せてラップすることで昇華し、新たな一歩を踏み出そう」
そんな思いを込めて、2025年3月23日(日)、逗子文化プラザさざなみホールでココロラップコンテストが開催されました。
画像出典:湘南人
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全国から総勢108組が応募
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全国から応募のあった総勢108組の中から、一次審査をくぐり抜けたファイナリスト10名がこの日ステージに登場しました。
「ラップイベントといえばバトルが一般的。こういう自分の作品をステージで披露するイベントは珍しい」
審査員の1人であり、逗子アートフェスティバルの総合プロデューサーも務める柴田“Shiba”雄一郎さんが話してくれました。
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「ラップには人を罵倒する文化もありますが、このコンテストでは誹謗中傷や差別的表現を使う作品は選考外としています」とShibaさん。
このラップコンテストのコンセプトはあくまで、生きづらい日常の中で抑圧されている"魂の叫び"です。
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弾ける笑顔、ピースフルな雰囲気
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コンセプトのためか、天井ではミラーボールがきらめき、ステージではDJがターンテーブルを回すドープなクラブさながらの舞台セットながら、ファイナリスト、オーディエンスともににこやかで、会場にはピースフルな空気が満ちていました。
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家族連れのほか、10代から出場者の親類なのかシニア世代の姿も見かけました。
聞けばファイナリストのバックグラウンドもバラエティに富んでいて、北は北海道、南は大阪や京都から駆けつけていました。経歴もさまざまで、たとえばへらずぐちのお2人は普段環境活動をしているお母さんによるユニットとのこと。
「環境活動ラッパーです」とちゃめっけたっぷりに自己紹介をしてくれました。
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逗子から始まるラップムーブメント
もうひとつ驚きだったのは、ファイナリストたちのラップスキルでした。
m-floやZEEBRA等への客演のほか、米グラミー賞にフィーチャーされたことでも知られ、このコンテストで審査委員長を務めているCOMA-CHIさんも言います。
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「この話を貰った時はこれからラップをやっていきたいという人が集まるのかと思ったんですが、ふたを開けてみたら『お、プロか?』というスキルの高い人が応募してくれていて驚きました」
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過去に葉山町に住んでいたこともあり、イベント会場となった逗子文化プラザ内の図書館もよく利用していたというCOMA-CHIさん。親しみがあるというこの場所で初開催されたラップコンテストに、何を期待していたのでしょうか。
「期待というか、逗子でこういう動きが起こっていく中で、ヒップホップに関わってきた人間として力になれたらという思いがありました。これから大きなムーブメントになっていきそうな予感がしている」
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会場の壁に展示されていたのは応募者全員のリリックでした。
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ファイナリスト10人にのみ注目するのではなく、応募者全員の思いをすくいあげ光を当てようとしているように思いました。イベントのYouTubeチャネルで今も応募作品の多くを聴くことができます。
出典:湘南人
拝啓いじめられた俺
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コンテスト一番手で登場したREDYBIRDさんは、壮絶ないじめの体験を心理的に乗り越えていく過程をラップしました。タイトルは『拝啓いじめられた俺』。
冒頭、「俺はいじめられていた」という告白で客席は激しく沸き、トラックが始まるやいくつもの手があがり、逆光の中で黒い影になったオーディエンスの身体が揺れました。
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空き時間に「インパクトがあった」と感想を伝えたところ、「今回はいじめをテーマに作品を作りましたが、ヒップホップ自体、劣等感から出発していることが多いと思っています」とREDYBIRDさん。「自分は大阪からきていますが、会場が温かいのが良かった。特定の人を観に来ているお客さんも、出場者全員をフラットに応援してくれているように感じました」
介護職の苦悩をラップしたのはREDYBIRDさんと交流があるというFJひねくれもんさん。
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劣等感やコンプレックスから立ちあがっていく。その過程をラップにする、あるいはラップをすることがきっかけとなり浮上が始まる。
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負い目の"あがり症"についてラップした神BUCKさんが顕著な例でしたが、今この瞬間、ステージで大勢の観客を前に堂々とパフォーマンスを披露していることがすでに1つの達成の形になっている。
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1つ1つのステージで1人1人のドキュメントが展開されているようで、一方では今まさにスポットライトの中でドキュメントが作られているようで、熱い感慨を覚えました。
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なぜ逗子の地でこのようなイベントが開催されることになったのでしょうか?
その人のリアル
主催者のマイクラおかんさんに話を聞きました。
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普段は忙しい主婦を対象とした夕飯の配達事業の運営に加え、引きこもりの居場所づくりを目的とした社会活動を行うマイクラおかんさん。子供の不登校を機に母親としての自分を見つめ直したと言います。
親としての葛藤からマイクラ(マインクラフト)を通し解放された体験をリリックにして出場した日本経済新聞主催のラップコンテスト「NIKKEI RAP LIVE VOICE」で、審査員特別賞「呂布カルマ賞」を受賞。同コンテストは「社会やビジネスシーンに思うこと、訴えたいことをラップにする」という一風変わったコンセプトで開催されていました。
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「ラップはその人のリアルがないと書けないし歌えない」とマイクラおかんさん。「面白いのは、ネガティブなものをさらけ出せば出すほど、共感してくれる人が増える。自分自身に向けて書いたつもりが、アウトプットすることで共感を呼び、昇華される、浄化される」
マイクラおかんさんは続けます。
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「日経ラップコンテストが好きだったんです。2年続いたんですが、3年めがなかった。若い女性社員が企画したイベントだったそうですが、私にとってはチャレンジの場だった。子供にもチャレンジをしていこうよと言い聞かせていたし、残念だった」
「だから自分が勝手に彼女の意思を引き継いでやろうと思った。怒られるかもだけど」
このイベントに関わってくれた人たちと一緒になって新しいシーンを作っていきたい、とマイクラおかんさんは言います。「今回、下は7歳、上は80歳までが応募してくれた。社会が動いていると感じました。でもお金の問題はつきまといますよね。そこをなんとかしていかないと。私、ただのおかんなので(笑)」
審査結果とサプライズLIVE
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審査後はファイナリストがステージに勢揃いし、各賞の受賞者が発表されました。桐ケ谷市長も駆けつけ、マイクラおかんさんとの軽妙なトークで会場を沸かせました。審査員3名によるサプライズLIVEもあり、最後まで熱気を保ったままイベントは終了しました。
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コンテストでグランプリを手にしたのは、北海道で活動する15歳のラッパーyayuiさんでした。
審査委員長のCOMA-CHIさんから「ラップに彼自身が救われてきている。そのリアルを感じた。あと、ラップがめちゃめちゃうまかった」と評され、Lick-Gさんからは「いい土と水を持っている状態。ただ光がないと伸びていかない。これを足掛かりにしてどんどんステップアップしていってほしい」と言葉をかけられていました。
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yayuiさんがこの日パフォーマンスした曲のタイトルは『15』。イベント前にマイクラおかんさんにより行われたYouTubeインタビューで曲に込めたメッセージを語っていました。
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「過去のバックボーン、要するに昔あった辛いこと悲しいことを全面に出す。自分の生い立ちを気にしなくなったじゃないですか今は。生い立ちなんかどうでもいいっていう。でも貧乏なやつだから普通のやつだから言えることってあると思う。貧乏なやつだからこそ言えること、普通のやつだからこそ言えることってあると思う」
「曲の中でも言ってるんですけど、昨年の10月に幼馴染が自殺して。その時になんで亡くなったんだろうとずっと考えていて。貧乏なわけでもなかったのに。ただ自分が生きづらいから逝ってしまったのかなと思った」
「社会に順応できないやつがおかしいと言われてるのが嫌。社会に順応してないやつがいても、そいつから見たら社会の方がおかしいんだぞってことを伝えたかった」
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【ファイナリスト賞】
神BUCK、iidabii、えいち
【Groove Music Academy賞】
へらずぐち
【BEAT SPACE賞】
Muzzy
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【マイクラおかん賞】
FJひねくれもん
【審査員特別賞 柴田"shiba"雄一郎賞】
OddNumb
【審査員特別賞 Lick-G賞】
REDYBIRD
【審査員特別賞 COMA-CHI賞】
ORLAST B
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【グランプリ】
yayui
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ココロラップコンテスト2025
開催日時
2025年3月23日 13:00〜16:00 ※終了しています
12:30 開場13:00〜16:00 コンテスト17:00-20:00 アフターパーティ
開催場所
逗子文化プラザさざなみホール
住所:神奈川県逗子市逗子4丁目2-10
駐車場:あり
参加費
無料
主催者
マイクラおかん