“早寝早起き”で得られるのは、三文どころじゃない!親子の朝が変わる習慣
はじめに:朝がつらい…は、もう卒業しよう
こんにちは!乳幼児睡眠コンサルタント與古田すみれです。 新学年になり早くも2カ月以上過ぎた頃、「朝になるとバタバタして怒ってばかり」「子どもが起きなくて毎日が戦争」。 そんな悩みを抱えているご家庭も少なくないのでは? 幼児から小学生まで、年齢に関係なく、朝の時間は親子のストレスが集中しやすいタイミングです。 特に就園・就学期になると、決まった時間に登園・登校する必要があるため、子どもがスムーズに起きられるかどうかは、家庭全体の1日の始まりを大きく左右します。 そんな毎日を変えるカギが、じつは“早寝早起き”にあります。この記事では、乳幼児から学童期までの子どもの睡眠リズムを整えることが、どれほど家庭にポジティブな変化をもたらすかに焦点を当て、睡眠コンサルタント監修の知見や学術的な根拠も交えながら詳しく解説します。
なぜ「早寝早起き」が必要?その理由を知ろう
子どもにとっての“理想的な睡眠時間”とは 厚生労働省や日本小児保健協会、また米国国立睡眠財団(NSF)のガイドラインでは、 1〜2歳:11〜14時間 3〜5歳:10〜13時間 小学生:9〜11時間 程度の睡眠が推奨されています。 これらには夜間の睡眠だけでなく昼寝も含まれますが、ポイントは「早く寝ることで必要な時間を確保する」こと。 21時以降に寝る習慣がつくと、翌朝7時に起こしても充分な睡眠が足りず、寝起きが悪くなったり、日中の集中力や感情の安定に影響するケースもあります。 成長ホルモンは夜のゴールデンタイムに分泌される 特に乳幼児期は、身体の成長に関わる成長ホルモンが活発に分泌される時間帯(通称:ゴールデンタイム)があります。 これは 夜10時〜深夜2時 の間に集中しています。この時間帯は、ノンレム睡眠が多く現れる入眠直後に該当しており、最も成長ホルモンが分泌されやすい時間とされています。 つまり、夜10時に寝ていては遅く、理想は20〜21時までに入眠することが、発達の面でも望ましいのです。 ・出典:National Sleep Foundation/厚生労働省「健康づくりのための睡https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/ ・出典:日本小児内分泌学会『成長ホルモンと子どもの睡眠』 https://www.jsped.or.jp/
早寝早起きで変わる!親子の朝時間のメリット
【子ども】情緒が安定しやすくなる 早起きできるようになると、朝の支度に時間の余裕が生まれます。特に幼児期は「気持ちを切り替える力」が未発達なため、急かされることで癇癪や不機嫌になりがちです。 ゆったりとした時間の中で着替えや食事ができることで、子どもの心の安定にもつながります。 睡眠不足が続くと、情緒不安定や集中力の低下、攻撃性の増加など、心の発達にも悪影響が出る可能性があることが、小児精神神経学会などの研究でも示されています。 ・出典:日本小児精神神経学会『こどもの睡眠と情緒』 https://www.jspn.jp/modules/activity/index.php?content_id=3 【親】“怒らない朝”で自己肯定感が上がる バタバタする朝は、つい「早くしなさい!」「なんでまだ準備できてないの!?」と声を荒げがち。それが毎日続くと「また怒ってしまった…」という罪悪感に。 でも、早寝早起きのリズムがつくと、親の行動も余裕が持てるようになり、朝の笑顔が自然に増えます。 【家庭全体】「朝ごはん」がちゃんと整う 朝ごはんをしっかり食べることは、集中力や学習能力にも直結します。早起きして食事時間を確保するだけでも、その日のパフォーマンスが変わってきます。 文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」でも、「早寝早起き朝ごはん」の習慣が学力の向上と相関関係にあることが明らかになっています。 ・出典:文部科学省「平成29年度全国学力・学習状況調査 報告書」
今夜から始める!早寝早起き習慣づくりのステップ
1. 寝る時間より“起きる時間”を固定する リズムを作るうえで最初にやるべきは「起きる時間の固定」です。睡眠は“体内時計”と密接に関わっており、 朝同じ時間に光を浴びて活動することで、夜の眠気も自然と訪れるようになります。 体内時計のリセットには、朝の太陽光が特に効果的とされており、 朝の光を浴びることで睡眠ホルモン・メラトニンの分泌が抑制され、活動的な1日が始まる準備が整います(出典:国立精神・神経医療研究センター「体内時計の調整」)。 2. 寝る前1時間は「光」と「刺激」を避ける ブルーライト(スマホ・テレビ)や興奮する遊びはNG。代わりに、絵本の読み聞かせや抱っこなど、心拍数が落ち着く“ゆったりタイム”を習慣化しましょう。 ハーバード大学医学部の研究によると、ブルーライトはメラトニンの分泌を強く抑制し、睡眠の質を下げることが分かっています(出典:Harvard Health Publishing)。 3. 家族みんなで「夜モード」になる 子どもだけ寝かせても、家が明るかったりテレビの音が聞こえると眠れません。リビングの照明を落とす、テレビやスマホの音量を下げる、家族全員がリラックスできる環境に整えるなど、家庭全体で“おやすみモード”にするのが理想です。我が家では眠る前の査定2時間前から、リビングの照明を半分程度に落として過ごしています。特に、寝室と生活空間が近い家庭では、音や光の刺激を極力減らす工夫が効果的です。 4. 昼寝の時間と長さを見直す 3歳以降で昼寝が長すぎると、夜の入眠に悪影響を与えることがあります。多くの保育園・幼稚園では、昼寝は午後の早い時間帯に設定されており、夕方以降に園で寝ることはほとんどありません。 しかし、家庭に帰ってからの車中での居眠りや、夕食前の「うたた寝」が知らず知らずのうちに夜の寝つきを妨げているケースがあります。午後3時以降はできるだけ活動的に過ごし、眠気を誘うような状況を避けることがポイントです。
よくある質問(Q&A)
Q. 幼稚園の子どもです。早寝させたいのに、全然眠くなさそうです…? A. 体力が有り余っている可能性も考えられます。特に日中の活動量が不足していると、夜になってもエネルギーが余っていて寝つきにくくなります。家庭内では、午前中に外遊びや散歩、公園での自由遊びなど、光を浴びながらしっかりと体を動かす時間を意識的に設けてみてください。 また、午後も屋内であっても簡単な体操やダンス、風船遊びなどで身体を使った時間を作ることで、夕方以降の眠気を促しやすくなります。特にテレビやタブレットなど受動的な遊びに偏っていると、疲れにくくなり眠気が遠のく傾向があるため、「日中にしっかり疲れてもらう」という視点で過ごし方を見直してみるのもおすすめです。 Q. 保育園や幼稚園の関係で朝は起こしてるのに、夜がなかなか寝つけません。 A. お昼寝時間が長い可能性があります。特に3〜5歳児では、保育園での昼寝がしっかり取れている場合、夜の眠気が遅れることもあります。一方で、夕方にお昼寝をしている園は少ないため、家庭に帰ってからの「うたた寝」や、車移動中の居眠りなどが影響している可能性も。思い当たる場合は、帰宅後の過ごし方を少し見直してみるとよいでしょう。 Q. 朝起きるのが親のほうがつらくて… A. 最初は10分ずつの早起きでOK。大人も朝の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、自然と目覚めやすくなります。カーテンを開けて太陽の光を部屋に入れる、ベランダに出て軽く深呼吸をする、朝の散歩を取り入れるなど、無理なく続けられる形を見つけてみましょう。 特に朝の光には、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、セロトニン(心を安定させる神経伝達物質)を活性化させる働きがあります。この作用により、目覚めがスムーズになり、その日の気分や集中力にも良い影響を与えるとされています(出典:国立精神・神経医療研究センター)。
おわりに:三文どころじゃない“暮らしのゆとり”を
早寝早起きは、単なる生活習慣ではありません。子どもの健やかな成長を支え、親自身の心の余裕を生む、まさに「暮らしの土台」です。 現代の家庭は忙しく、夜遅くまで起きていることが当たり前になりがちです。しかし、少しだけ生活リズムを整えることで、朝の支度にゆとりが生まれ、家庭全体が穏やかに流れるようになります。 最初は思うようにいかない日もあるかもしれません。それでも、1日10分の小さな早起きや、寝る前の過ごし方の工夫だけでも、親子の生活は確実に変わり始めます。 明日の朝、いつもより少しだけ早く起きて、子どもとゆっくり朝食をとる時間が持てたら。笑顔で「いってらっしゃい」と送り出せたら。それは、三文どころじゃない、何ものにも代えがたい“ゆとり”のはじまりです。 今日から、まずはできるところから。あなたの家庭にぴったりの「眠りと目覚めの習慣づくり」、始めてみませんか?