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新1年生娘、授業中45分間座っていられるか不安!わが家の4つの立ち歩き対策と入学後の支援の求め方【専門家アドバイスつき】

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新1年生娘、授業中45分間座っていられるか不安!わが家の4つの立ち歩き対策と入学後の支援の求め方【専門家アドバイスつき】

監修:森 しほ

ゆうメンタル・スキンクリニック理事

新入学!一番の懸念は……

前回の記事では、ASD(自閉スペクトラム症)の診断済で療育手帳の判定が中等度であるわが家の長女・まゆみの就学先決定についてレポートさせていただきました。

発達支援施設や主治医と相談しながら総合的に判断したこととはいえ、教育委員会からの「特別支援学校が相応」とする判定を覆しての特別支援学級への入学なので、正直なところ困難はあるだろうと思っています。

まゆみの場合、授業を受けるにあたっての一番のネックは立ち歩いてしまうこと。
コンディションが良いと30分ほど座っていられるようになってきましたが、小さな頃から自己刺激行動が多く見られるまゆみ……集中が切れると立ち上がってクルクル回ったりピョンピョン跳ねたり、どうしようもなく感覚刺激が欲しくなる瞬間があるようです。

支援中や自宅での学習時は、促されて机に戻ることができますが、環境が変わった時にどうなるかは未知数です。
学校はさまざまな物事の学びの場であるとはいえ、教育機関である以上やはり根幹は座学なのだろうと思います。座れないと本人も授業に身が入らないでしょうし、立ち歩くことでほかの子の学習を邪魔してしまう恐れも……。きっと同じ心配を抱えている保護者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

わが家もまだまだ対策を考え中ですが、まゆみの着席時間を延ばそうと自宅で行っている取り組みの中で、今のところ成果が見られているものをご紹介したいと思います。

1.座って学習する習慣をつける

まずは基礎的なことから、座って学習することを毎朝のルーティンに組み入れました。

まゆみは年中の夏からタブレット学習を日課にしていますが、親の私は「気楽に取り組んでくれれば」と思い、学習する場所や姿勢について本人任せにしていました。当然、机に向かってタブレットを使うよりも床やソファでくつろぎながら使っている姿を多く見るように……。

私自身は「学習はどこでしてもいい」と思っているタイプで、そのこと自体は悪いとは思っていませんが、ある時にハタと気がつきました。

そこで、改めて「今日からお勉強は座ってしよう」と伝え、学習時に座ることを習慣化しました。最初は5分も座れなかったまゆみですが、座ることに慣れてくると少しずつ記録を延ばして、療育先からも「今日は30分以上座れました!」と報告を受けることが増えています。

2.学習環境を整える

実は1に先んじてこちらから着手したのですが、自宅の学習スペースや文具を整えました。
わが家は家事の合間を縫ってまゆみの勉強をチェックすることが多く、学習はリビングで行います。ただでさえキッズスペースが近くて物が多いリビングなので、集中しやすい環境にすることを目指しました。
具体的に気をつけているのは以下の点です。

①机の上や文具類はスッキリさせる
余計なものが視界に入って気が散らないよう、学習スペースには学習に必要なものだけ置くようにしています。鉛筆や消しゴムも機能的でシンプルなものを選び、視覚刺激を極力減らすことを心掛けています。

②合うイスやサポートグッズを探し、座ることへの抵抗を減らす
わが家の姉妹はどちらも多動傾向と気分のムラがあり、長机に2脚並べたイスは「どっちが誰の」とは決めず、その時の状態で席を変えられるよう座り心地の違うものを用意しました。片方のイスに座る時間が長くなってくると、違うイスに座り直すこともあります。
足置き台やサポートクッションなどもネットで探してみるといろいろな種類があるので、わが子にとってどうすれば座りやすいかを先に探っておくと、小学校の机とイスに座るようになってからも「こうするといいかも」が閃きやすいのではないかと思っています(実際は出たとこ勝負になりそうですが……)。

③鉛筆を正しく持つためのサポートグッズを使う
字は書けるものの、どうにも怪しい持ち方をしていたまゆみ。
よく見かける『窪みに指を添わせるタイプの補助グリップ』では上手に持てなかったため、発達支援施設の先生に相談してみると『人差し指を固定するタイプの補助グリップ』を教えてもらいました。早速取り寄せて使ってみると、まゆみが鉛筆を正しく持てたので「グッズ1つでこんなに変わるんだ!?」とビックリしました。
こうした補助グッズもさまざまなものが売られているので、本人に合ったものを探して学習へのハードルを下げてあげられればと思っています。

3.体幹を鍛える

無事に座れたとしても、座り続けるには体幹の強さが重要になるそうです。

支援者の方々からは「体幹は強いほう」と言われているまゆみですが、鍛えておくに越したことはないのでトランポリンやバランスボール、手づくり平均台などの遊びながら体幹を鍛えられるものを日常に取り入れています。

できれば「よじ登る」動きのできるものもプラスしたいのですが、スペースと予算に限りがあるので公園のジャングルジムで我慢中……。本気のくすぐり遊びや肩車も体幹を鍛えられるそうなので、パパにも協力してもらいながら積極的に取り入れています。

4.座る前にあらかじめ感覚刺激を与えておく

個人差が出る内容かもしれませんが、まゆみにはすごく有効でした。

前庭覚鈍麻の傾向があり、揺れ・傾き・回転・猛スピードを体感できるものが大好きなまゆみ。よく見られるクルクル・ピョンピョンする動きはここからの欲求だと思われます

そこで、学習前にハンモックや回転イスに乗せてクルクル回しておくことにしました。そうすると感覚への欲求が少し和らぐのか、立ち歩きや常同行動の軽減が見られるのです。

本人も喜ぶので最近はクルクル遊びを朝の日課にしていますが、療育や保育園でのお迎えの時に「今日は落ち着きがなくて……」と言われる日は、大抵急いでいて回転させられなかった日だと感じています(もちろんそれが全てではないでしょうが)。

応用として、ジッとしていてほしい場へおもむく際は公園のブランコで念入りにまゆみをブン回すのがわが家の恒例になりつつあります。

最近は小学校の入学説明会の前にブランコで激しめに遊んだところ、保護者と新入生が居並ぶ説明会で一度も騒がず、席も立たずに45分を過ごしてくれました。音の出ない時間潰しグッズとしてプッシュポップを持ち込んだ効果もあるでしょうが、1時限に相当する時間をずっと座っていられたのは就学に向けての希望になりました。

就学後も、登校前の感覚刺激入れは続けていこうと思っています。

今後、学校と相談したいこと

担任の先生が決まった後に小学校にて支援のための個別面談を設けていただく予定になっており、以下のことを相談するつもりでいます。

①着席サポートグッズの持ち込み
もし通常のままの机とイスで不都合が出てくるようなら、まゆみにとって座りやすい環境にするためにサポートグッズを持ち込んで試させてもらうことは可能かの確認です。

見学時にはそれらしきグッズを使っている子もいたので、イスへの装着はOKか?床置きはOKか?など、学校側の許容範囲を確認して擦り合わせをしておきたいと思います。

②待ち時間にどうするか
まゆみは基本的に待つことが苦手です。ワークなどの取り組むべきものが終わると立ち歩きたくなるようで、「待つ」という時間を少しでも減らす工夫を先生方と考えたいと思っています。

もし持ち込みが可能であれば、自由に進めてもよい自前のドリルや衝動を鎮めるためのセンサリーツールなどを考えていますが、プッシュポップやオイルタイマーなど一見おもちゃに見えるものは難しいかもしれないので、これもセーフラインを探りたいと思います。

③まゆみに見つからない形でこっそり授業を見学させてもらう方法
就学先選びの面談時に「いつでも見学に来ていただいて結構ですよ」と言っていただけたのですが、いつ・どのようにしたら授業の邪魔にならないかといったことを聞いておくつもりです。実際の授業風景を見ておくと何かあった時の対策も立てやすいでしょうし、先生との連携も取りやすいのではないかと思っています。

余談ですが、就学先の候補だったもう1つの小学校では「見学は参観日かPTAの集まりに来た日に限ります」と言われたため、見学の可否は学校によって対応がかなり違うのかもしれません。

結局のところ、始まってみないと分からない

あれこれ取り組んでみてはいますが、最後のところはその時になってみないと分からないと思っています。

言ってしまえば、『就学前準備』は来たる環境の変化を前にして行う心の準備であって、上手くいけばラッキーですし、もし思うようにいかなくても過度に落ち込む必要はないのかなと……。

小学校に上がると何もかもがガラッと変わります。大きな環境変化は大人でもしんどいのですから、特性のある子にとって適応に時間がかかるのはある意味では当然かもしれません。

重要なのは、本人の頑張りに寄り添いつつ状況把握をしっかりして、先生方と相談しながらより良い道を見つけていくこと。学校・療育先・主治医とホウレンソウを心掛け、起きてくるであろう困りごとへの対策や、特別支援学校へ転籍する必要が出てきたらそのタイミングなども相談していきたいと思っています。

私は何事も『悲観的に準備して楽観的に過ごす』ことを旨としているので、まゆみの就学準備もこんな感じになりました。

就学を目前に控えた今、後は心配しすぎずニコニコ過ご……せると良かったのですが、子どものこととなるとすぐ心配が顔を出すのでご機嫌でいるのにも胆力がいるんだなと感じる今日この頃です。

4月からのまゆみがどんな様子で過ごしているかは、今後またレポートさせていただければと思います。今回も記事を読んでくださってありがとうございました。

執筆/にれ

(監修:森先生より)
にれさん、お子さんの就学準備を乗り越えた体験談をありがとうございます。 新しい環境に適応するためにお子さんに寄り添って一つひとつ対策を考えていて、大変素晴らしいですね。

さて、発達の偏りのあるお子さんの中には、授業中に、「立ち歩き」や「クルクル回る・ピョンピョン跳ねる」といった行動を取ってしまうことが少なくありません。 感覚刺激を求める傾向が強く、特に体の動きやバランスを感じる感覚を刺激する行動で、自己調整をしようとしているのです。 「学習前にハンモックや回転イスでクルクル回す」など、感覚刺激を適切に与えるアプローチによって落ち着きが見られることがあります。感覚欲求を満たすことで脳の過剰な興奮を抑え、集中力を保つ助けにしていると考えられます。

また、学習環境を整える工夫も大切です。「机をシンプルにする」、「座りやすいイスやサポートグッズを使う」、「鉛筆グリップを使う」などですね。 お子さんによって合う・合わないがありますので、試行錯誤しながら探すことが大切です。 ただし、サポートグッズを学校へ持ち込みをしてもいいかどうかは、学校とよく相談して決めていく必要があります。

発達の偏りのあるお子さんは、実は体幹が弱く、姿勢保持や長時間座ることが難しいケースが少なくありません。 トランポリンやバランスボールのような遊びを通じて楽しみながら体幹トレーニングをしていくことも効果的です。 新しい環境に慣れることは、大人でも大変なことです。お子さんが学校に慣れるまで時間がかかることも少なくありませんが、にれさんが「悲観的に準備して楽観的に過ごす」とおっしゃるように、充分な対策と柔軟な対応をとっていけるといいですね。

入学説明会にしっかりと参加できたとのこと、本当によかったです。まゆみさんの頑張りと、にれさんのアイデアの成果がしっかり出ていますね。4月からの新しいスタート、不安もあると思いますが、一つひとつ乗り越えていけると信じています。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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