ミュージカル『レ・ミゼラブル』オールキャストによる製作発表会見開催! 「夢やぶれて」などを披露
2024年12月20日(金)からミュージカル『レ・ミゼラブル』が開幕する。(プレビュー公演は2024年12月16日(月)から)
1987年の日本初演以来、多くの観客に愛され続けてきたミュージカル『レ・ミゼラブル』。今回の上演は、帝国劇場のクロージング公演として帝国劇場を皮切りに大阪、福岡、長野、北海道、群馬と日本全国6大都市ツアーを実施する。10月16日(水)には、帝国劇場で全キャスト計75名が集結した製作発表記者会見が開催された。
この日の製作発表では、ジャン・バルジャン役の飯田洋輔による「独白」のほかに、ファンテーヌ役の昆 夏美、生田絵梨花、木下晴香による「夢やぶれて」、アンジョルラス役の小林唯とアンサンブルによる「民衆の歌」、エポニーヌ役の清水美依紗とルミーナによる「オン・マイ・オウン」、そして全キャストによる「ワン・デイ・モア」の計5曲が披露された。
楽曲披露後、飯田は「緊張しました。袖でスタンバイしていたら、(吉原)光夫さんに『(劇場は)宇宙みたいだけど、気にするな』と言っていただいて『気にしないでいきます』と言って出ていきましたが、やっぱり歌っている途中から手が痺れ出して(笑)。本当に緊張していたんだと思いました」と苦笑いで心境を話した。
ファンテーヌ役の3人はこの日限りの3人でハモリのある「夢やぶれて」を圧巻の歌声で聴かせた。昆は「飯田さんの『独白』が素晴らしいお歌だったので、この流れを三人で引き継いでいこうと話していたのですが、緊張しました。3人で歌ったのでとても貴重な経験をさせていただきました」とコメント。生田も「今回限りの三重唱。一緒に緊張を味わって、終わってハグをして、一体感もすごく感じました。引き続き、三人でお稽古に励みたい」と語り、木下も「三人で一致団結できて、緊張も分け合って、無事に届けることができて嬉しく思います。終わってすぐに三人でハグしました」と団結力を養ったと明かした。
また、アンサンブルのキャスとともにステージに上がった小林は「初めて帝国劇場での歌唱が、0番でドセンターで強烈なスポットライトが当たっていて、圧倒されました。色々と反省点もたくさんあるんですが、初日までにもっともっとブラッシュアップしていきたいと思います。現帝国劇場をぶち壊す勢いで歌っていけたらと思います」と力を込めた。
そして、エポニーヌの二人で歌い上げた「オン・マイ・オウン」について清水は「何も覚えていないというくらい緊張しました」と話す。続けて「交互に歌うことは今までなかったですし、これからもないと思うのですごく新しい。ルミーナちゃんが表現するエポニーヌを感じ取って受け取って、自分も歌う。お互いに感じ取りながら歌えたのかなと思いますが、やっぱり覚えていません」と笑顔を見せた。それを聞いたルミーナも「一緒です。私は製作発表自体が初めてだったので、『どうしよう』と言っていましたが、やっぱり緊張しました」と清水に同意していた。
「ワン・デイ・モア」では、佐藤隆紀、小野田龍之介、ルミーナ、山田健登、水江萌々子、染谷洸太、樹里咲穂、木内健人がそれぞれの役のソロパートを歌った。佐藤は「久しぶりに歌わせてもらって、その時に歌っていた景色を思い出しました。やっぱりここで歌うこの曲は一味違う」と感慨深い様子。
小野田は「歌稽古を重ねて自分のマインドもジャベール仕様になっていますが、染み付いたものがなかなか取れず、アンジョルラスのパートで前に出ようとしちゃうんです。歌稽古中も何度か迷惑をかけていたので、それを注意しながら歌っていました」と告白して笑いを誘った。
また、ルミーナは「ライトだけを見つめながら歌っていました。『みんなでLet’s Go。戦いに行こう』という気持ちだけを持って、緊張しないように考えながら歌いました」と振り返る。
山田は「本当に緊張しましたが、8月からエコール(歌の稽古)を続けていたので、それがなかったら倒れていたと思います。まだ公演まで2ヶ月あるので、やるべきことをやって成長した姿で皆さんの前に立てたらいいなと思います」、水江は「初めての帝国劇場ですごく緊張しましたが、コゼット役の先輩方の温かい視線を感じながら、全キャストの皆さんの歌声を背中で感じながら歌うことができ、とてもいい経験をさせていただきました」、染谷は「皆さんが客席にいらっしゃるのを観てグッときてしまって、歌い出す直前までグッときていて。思い切り歌ったら楽しんで歌えました」とそれぞれコメントを寄せた。
そして、樹里は「テナルディエ夫妻は全員がいると色が濃い(笑)。でも、本番ではみんなで歌うことがないので、ノリノリで楽しかったです」、木内は「3年前に出演した時はコロナ禍だったので製作発表がなかったんです。なので、歌唱披露もなかったので、すごく緊張していましたが、佐藤さんのジャン・バルジャンが歌い始めた瞬間に3年前の記憶が蘇ってきて、ついに始まるんだなとワクワクしました」と声を弾ませた。
≫全プリンシパルキャストコメント
以下、全プリンシパルキャストからのコメント。
ジャン・バルジャン
■吉原光夫
僕も2011年にこの帝国劇場で、(この日、飯田が歌ったように)『独白』を歌わされました。その時にトラウマのようにこの劇場が嫌いで嫌いでしようがなくなりました。このステージに立つと分かるのですが、まるで宇宙に飲み込まれていくように、広大で奥行きがないように見えるんです。『レ・ミゼラブル』は好きな作品ですが、やるたびに怖くて、辛くて、苦しくて、またもう一回やるんだと思う自分もいるんです。でも、それくらい『レ・ミゼラブル』と自分の人生は密接なんだと思います。それを14年目でやるというのはすごく大きくて、で、この大嫌いな劇場と一緒に幕を閉じることができるというのも意味のあることなんだなと思って今、劇場を眺めていました。多分、大好きなんです。この劇場には色々な思いや声、影があると思いますが、今回はそれと一緒に手を携えて、仲直りをして、楽しく終えられたらいいなと思っています。
■佐藤隆紀
今回で3回目の出演になりますが、携わるたび、出演するたびに自分を成長させてくれる作品だとありがたく感じています。前回の公演は中止になってしまった公演もありましたが、今回、地方も回りますので、ぜひ前回見逃してしまった方、そして初めて観る方にも熱い公演をお届けしていきたいと思います。今回は、帝国劇場のクロージングということで、スペシャルでメモリアルなステージに立てることを誇りに思います。それ以上に、来て下さったお客さまの人生にとってメモリアルな公演だったと思っていただけるよう、一公演一公演魂を込めてお届けしていきたいと思います。
■飯田洋輔
今回、歌稽古で先輩方の背中や初出演の仲間の声を聞いて、誰一人、手を抜かずに稽古をして、まっすぐに向かって作品に向き合ってという姿を目の当たりにして、自分自身、身の引き締まる思いで、ゼロからジャン・バルジャンとこれから半年以上、向き合って生きたいという思いを新たにいたしました。この役とご縁をいただいて、作品と台本、言葉を信じて、自分らしいジャン・バルジャンを演じていけたらと思っております。最後まで応援よろしくお願いします。
ジャベール
■伊礼彼方
3度目3年ぶりにジャベールを演じさせていただきますが、この2年間、派手なポップスの世界にいまして、久しぶりにこの『レ・ミゼラブル』の世界に戻って稽古に参加させていただいたら、まるで自分の声帯や筋肉が通用しない。全く違う使い方をしてきたんだなというのを目の当たりにしました。ジャベールやバルジャンはドシッとした軸が必要とされるんだなと思うので、3年前の稽古を思い出して、また新しいジャベールを皆さまにお見せできるように頑張ります。
■小野田龍之介
前回までアンジョルラスを務めさせていただいて、やればやるほどこの作品の大きすぎる存在に圧倒されています。そんな俳優にとって偉大な作品にジャベールというこれまで取り組んだのとは全く違う角度からこの物語に身を委ねることができて、非常に興奮しているのと同時に身が引き締まる思いです。一個ずつ丁寧に作っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
■石井一彰
16年ぶりにこの作品にもう一度、立つことができて光栄に思っています。素晴らしいキャストの皆さんのために、支えてくれるスタッフの皆さんのために、そしてお客さまのために、誠実にジャベールを演じていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。
ファンテーヌ
■昆 夏美
これまでエポニーヌ役でこの作品に出演させていただいたので、ファンテーヌ役と自己紹介するのがまだ不思議な気持ちと感慨深い気持ちがあります。一つの作品に違う役で出演するというのも初めてなので、どんなふうなんだろうとワクワク感と、それが大好きな『レ・ミゼラブル』でできることが本当に嬉しいです。三人でファンテーヌを一緒に作っていけたらと思います。
■生田絵梨花
コゼット、エポニーヌに続いて3役目の新しい挑戦をさせていただきます。初めて帝劇に立ったのが、コゼットの時でした。今回、帝劇クロージング公演になりますが、ファンテーヌとしてしっかり踏みしめていきたいと思っています。
■木下晴香
私は『レ・ミゼラブル』初参加で、いつか携われるように思っていたので、今回、こうしてご縁があってとても嬉しく思います。合格のご連絡をいただいたときに、自分はこんなにも『レ・ミゼラブル』の世界に生きてみたかったんだと改めて強く感じました。ファンテーヌの壮絶な人生に覚悟を持って飛び込んでいきたいと思います。そしてこの作品の時代を、現帝劇と地方公演でしっかり生きていけるように精進します。
エポニーヌ
■屋比久知奈
今回、3回目の『レ・ミゼラブル』への参加ですが、1回目は本当に必死な状態で、2回目はそれを経て自分に何ができるか色々と考えながら臨んだ日々でした。今回は、ある意味、初心に戻って、まっさらな状態で、エポニーヌという役にまた改めて向き合えたらいいなと思いながら臨ませていただきたいと思います。新しいエポニーヌ2人にたくさん刺激をもらいながら、精一杯、作品の一部として生きたいと思います。
■清水美依紗
今回、初参加なのでドキドキしていますが、歴史の長いこの作品に関わることができてすごく嬉しいです。精一杯演じさせていただきます。
■ルミーナ
帝国劇場のラストに大好きな作品で、エポニーヌとして、素敵な先輩方とご一緒できてとても光栄でございます。精一杯頑張りたいと思います。
マリウス
■三浦宏規
今回、3回目の出演になります。最初の出演の時は当時、10代で、お兄さんたちに必死についていったのですが、気づけば一番お兄さんになってしまいました。先輩方に色々と教えていただいたように僕も何か教えられたらいいなと思うのですが、お二人からもたくさんのことを学ばさせていただきたいです。3人で力を合わせてマリウスという役を作って、現帝劇最後の『レ・ミゼラブル』という作品をしっかりと務めたいと思っています。
■山田健登
この作品に出会えたことに感謝して、謙虚に誠実に向き合っていきたいと思いますので、最後まで応援のほど、よろしくお願いします。
■中桐聖弥
こうして『レ・ミゼラブル』という素晴らしい舞台に立てることを幸せに思っております。先輩方や仲間たちと一緒に稽古に励んで、刺激を受けて、このカンパニーに入れたことをありがたいと思っています。まだまだ不安なこともありますが、どんどん挑戦して、中桐聖弥らしいマリウスを演じられたらと思っています。
コゼット
■加藤梨里香
今回、2度目のコゼットへの挑戦となります。約3年ぶりにまたお稽古に臨んで、改めて一番緊張する作品だと実感しています。またイチからコゼットと向き合って、コゼットのお二人と一緒に手を取り合い、支え合い、今回のコゼットを精一杯務めていきたいと思います。
■敷村珠夕
前回に引き続き、コゼットとして『レ・ミゼラブル』の世界で生きられることが本当に嬉しいです。この歴史ある素晴らしい作品の一部となれますよう、しっかりとお稽古で向き合ってまいります。
■水江萌々子
今回、ミュージカル初出演となるのですごく緊張していますが、稽古を重ねる中でコゼットは愛に溢れた女性だと思いました。私もここに至るまでにたくさんの方からの愛をいただいたので、その愛を糧に作品の中でコゼットとして生きていければと思っています。
テナルディエ
■駒田 一
2003年から21年、テナルディエをやらせていただいてます。帝国劇場は、色々なことを経験しながら、成長をさせていただいた劇場です。今日、楽曲を聞いてみんな歌声を聞いていたら涙が出てきて、やっぱり素敵な作品だと思いました。みんなで力を合わせて、最後まで怪我や事故のないように上演していきたいと思います。そして、何よりも皆さまの応援があっての作品ですので、最後まで応援をしていただいて、一緒に盛り上げていただければと思います。
■斎藤 司
気づけば3回目ということで、自分の環境や状況によってこの作品の受け止め方、感じ方が変わってくるなと思います。そして、私の下にもこうして二人の後輩が育ってきています。六角くんと染谷くんを指導していかなければいけないと思いまして、今回はパワーアップして、横隔膜を4枚ほど増やしました(笑)。ですので、非常にパワフルな声量で立ち向かいたいと思いますので、よろしくお願いします。
■六角精児
僕は、今回2回目の出演になるのですが、前回は、色々な事情でなかなかステージを踏むことができなかったんです。なので、よく考えてみたら、何をやっていたのか、ほとんど覚えてないんです。今回は、個人的にもお客さんにも記憶に残るような舞台にしたいという気持ちです。そして、斎藤さんについていきたいと思っています。
■染谷洸太
2017年、19年とアンサンブルとして出演させていただいて以来、またこの作品に帰ってくることができてとても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。このテナルディエという役は、20代の頃からいつか演じてみたいと思い続けてきた役です。今回、初挑戦になりますが、役とテナルディエ夫婦と向き合い続けて来た先輩方とたくさん学ばせていただきながら、自分らしく、楽しみながら、役を全うしていきたいと思います。そして、斎藤さんについていきたいと思います。
マダム・テナルディエ
■森 公美子
またいるのかと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)。私は、1997年より同じ役を27年間やらせていただいていております。私は前回が引退だと思って、これで終わるんだと思って、うるうるしたものがあったのですが、また受かってしまいました。本当に申し訳ございません。でも、肉体的にもこれが最後かなと思っておりますので、精一杯、マダム・テナルディエを生きていきたいと思います」。
■樹里咲穂
私は前回に引き続き、2回目なので、前回よりも欲深さを増大させて、観ているお客さまに楽しんでいただけるように精一杯頑張りたいと思います。
■谷口ゆうな
2011年からこの作品に出演させていただいて、10年以上、この作品に関わらせていただいているのはすごく嬉しいことだと思います。私が初めてマダム・テナルディエをやったのは28歳でした。自分も年齢を重ねていって、作品と一緒に歳を重ねているというのが幸せだなと思います。なので、今年も大事に役を務めようと思いますし、私たちの宿屋のシーンで新しいことをやると噂も聞きました。ぜひ、今回初めて観られる方も、これまでたくさん観ていただいた方も、新しいシーンも観ていただけるように、これからお稽古を務めていくので、楽しみにしていてください。
アンジョルラス
■木内健人
2回目の『レ・ミゼラブル』参加ですが、前回はコロナ禍真っ只中で、稽古も本来のスタイルではない稽古での進行でしたし、公演自体も中止がかなりあって、楽しみにしていた方に悲しい思いをさせてしまったなと悔しい気持ちでいっぱいでした。今年はみんな健康で、全公演全うして、劇場に足を運んでくださるお客さまに楽しんでいただけるよう頑張ってまいりますので、応援していただければ嬉しいです。
■小林 唯
現帝国劇場最後の『レ・ミゼラブル』ということですが、僕にとっては初めての『レ・ミゼラブル』で初めての帝国劇場になります。このような記念すべき公演にアンジョルラスとして参加できることを心から誇りに思います。精一杯やります。
■岩橋 大
前回に引き続いて『レ・ミゼラブル』という作品に参加させていただけること、そして今の帝国劇場最後の公演に参加させていただけることとても嬉しく光栄に思っています。今回は、アンジョルラスとアンサンブルの2枠やらせていただくのですが、自分の中でも未知数なところがかなりあります。自分にできることを最大限にやって楽しんでいきたいと思っています。
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取材・文・撮影=嶋田真己