「亡くなった方でも権利は残して」 声優・緒方恵美が声の無断生成AIにコメント
10月15日に始動した、声優有志による「NOMORE無断生成AI」活動について、多くの賛同の声が寄せられる一方で、「亡くなった人の声は聴きたい」という意見も寄せられているようです。
これについて、「新世紀エヴァンゲリオン」碇シンジ役や「幽☆遊☆白書」蔵馬役で知られる声優の緒方恵美さんは同日、自身のXで「気持ちはわかる」としたうえで、「でも亡くなられた方でも『権利』は残してさしあげてほしい」と、考えを述べました。
「NOMORE無断生成AI」は、声優の声をAIを用いて無許可で複製・販売などを行う業者・個人に対し、異議を唱える運動です。中尾隆聖さんや甲斐田裕子さん、浪川大輔さんら声優有志26名が登場する動画が10月15日に公開され、今後本編動画が公開される予定となっています。
緒方さんは今回の動画に登場してはいないものの、やはり思うところがあったのでしょう。逝去した声優にも「権利」は存在しており、所属事務所や遺族等を通して、正式に許可を得るべきであると主張し「声でも絵でも文章でも、好き勝手に、は、違う」と、自身の考えを伝えています。
■ 問題は有権利者の意思を汲み取らず、勝手にAI音声を生成すること
たしかに、逝去した声優の声を新たに聴きたい、という気持ちはわかります。声優が演じたキャラクターはもちろん、声優の声そのものに魅了されたという方もきっと多いでしょうから、AIで生成された音声でも声を聴きたい、という発想に至るのは、至極当然であると感じます。
もちろん、この考え自体が悪なのではなく、問題なのは有権利者の意思を汲み取らず、勝手にAI音声を生成することです。過去に演じた作品をAIに学習させるのであれば、作品の制作会社に許可を得るのは当然ですし、遺族にも了承を得る必要があります。法律やルールが整備されていなくとも、モラル・マナーとして当たり前のことではないでしょうか。
緒方さんの今回の投稿も、そんな「普通のこと」「当然のこと」を述べています。逆を言えば、わざわざこれを言わないといけないほど、生成AIの問題は現状無法地帯と化しているのでしょう。
■ 投稿には様々な意見が どうなる声の生成AI問題
「NOMORE無断生成AI」動画の中で、「私たちの声は商売道具で、人生そのもの」と、中尾隆聖さんも語っていました。生成AIの技術は日々進化しており、使い方によっては商売にもなり得るのでしょうが、存命かそうでないかにかかわらず、まずは使う側が人として当たり前の感覚を持った上で、あるべき方向性で活用していきたいものです。
緒方さんの投稿には7万件のいいねが付き、「声は似せても感情がのらなければ、それは別物」「亡くなった方の新しい声は確かに聞きたいけど、それによって新しい人の仕事が奪われるなら、それは誰も望まないことだとも思う」「亡くなられた方の声を有料でいいから聞きたい」など、様々な意見が寄せられています。
<参考・引用>
緒方恵美さん(@Megumi_Ogata)
NOMORE無断生成AI(X:@NOMORE__MUDAN / YouTube:NOMORE無断生成AI)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024101704.html