山口市菜香亭が開館20周年 記念式典や記念事業を開催
山口市菜香亭(山口市天花1)の「開館20周年記念式典」が、10月6日に同施設で開かれた。伊藤和貴山口市長、入江幸江市議会議長、指定管理者「歴史の町山口を甦(よみがえ)らせる会」の河野康志理事長ら、関係者25人が出席。その節目を祝った。
同館のルーツは、料亭「祇園菜香亭」。萩藩(長州藩)の膳部職(台所方)を務めていた萩生まれの齊藤幸兵衛が「山口移鎮」に伴い山口市竪小路に移住。その後西南戦争への従軍などを経て1877年(明治10年)、八坂神社境内の一角に料亭「齊幸」を開業した。そして、そこを井上馨が訪れた際に「菜香亭」と命名。伊藤博文や山縣有朋など山口県出身の歴代首相や多くの著名人が足を運ぶ山口の迎賓館的な存在となり、1887年(明治20年)には山口で初めて西洋料理の提供も始めた。その後は戦争や高度経済成長、バブル崩壊などを経て、1996年(平成8年)に惜しまれつつのれんを下ろすことになった。
営業終了後、山口青年会議所の有志らが定期的に掃除を行うなど、保存活動を展開。大殿・竪小路地区を舞台に同年から始まったイベント「アートふる山口」(2018年に終了)のメイン会場に菜香亭を位置付けるなどし、保存・活用を訴え続けた。そして5000人の署名とともに請願書が提出。市議会では満場一致で採択され、菜香亭の移築保存が決定した。
また、菜香亭最後の主人である5代目・齊藤清子さんが扁額(へんがく)や掛け軸、調度品など約1万点にもおよぶ所蔵品を山口市に寄贈し、約300メートル離れた現在地に最盛期の建物が移築・復元。2004年(平成16年)10月2日の「第9回アートふる山口」に合わせて開館した。
現在同館では、開館20周年記念特別展「料亭を彩る屏風(びょうぶ)」が開催中。料亭時代に実際に飾られていた屏風8点を鑑賞できる。期間は10月28日(月)まで。観覧料は高校生以上100円、小中学生50円。問い合わせは同館(TEL083-934-3312)へ。
さらにその後も、NHK大河ドラマ「光る君へ」展(11月1日~10日)、「平安のしらべ~十二単お服上げ実演」(11月9・10日)、「神田京子独演会」(11月23日)、「山口の近代建築と菜香亭」(11月13日~12月27日)などの記念イベントが予定されている。