ゲノム解析によって何がわかるの?【眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話】
ゲノム解析によって何がわかるの?
体質や病気のリスクがわかる
ゲノムが私たちの体のすべての設計図であるならば、ゲノムを調べれば、私たちの体がどんなふうにつくられているか、いまどんな状態であるのかを知ることができます。ゲノム解析とは、私たちの体の設計図を詳しく調べて研究し、体のしくみや機能、親から受け継いだ特徴などを明らかにすることです。
ゲノム解析をすれば、体質的にどのような機能が弱いのか、遺伝的にどのような病気にかかりやすいかなどを知ることができ、原因になる遺伝子を見つけることができます。リスクがわかれば、体質改善や病気の予防をすることができ、治療にもつなげることができます。
ところでDNAの配列は、【スニップの例】でCGの並びがGCとなっているように、1カ所だけ違う配列になることがあるように、1カ所だけ違う配列になることがあります。この違いをスニップ(SNP) 、日本語で一塩基多型といいます。スニップは、1000塩基に1個の割合で起こり、私たちはそれぞれ約400万から500万のスニップをもっているといわれています。
スニップは個人を特徴づけるものです。スニップの解析によって、遺伝的に特定の病気にかかる確率や特定の薬に対する反応、性質や体の特徴などを知ることができます。ルーツにも関係しているといわれています。
ゲノム解析でがん治療も
血液でがんゲノム解析を行い、膵臓がんの原因になる遺伝子異常を見つけ出した例もある。
【血液採取によるゲノム解析】
わずかな違いが個性を決める
スニップとは遺伝子情報のわずかな違い。顔立ちに関するスニップを調べれば、似顔絵が描ける。犯人が現場に残した髪や皮膚片からスニップが見つかれば、犯罪捜査も進みそう。
【スニップの例】
ポイ捨てガムから犯人の顔を復元
「ポイ捨てガムやタバコの吸い殻から DNA を採取して、3D プリンターで顔を復元」。アメリカではこんなアート活動が行われ、現段階では性別、目の色、母親の人種などの要素から考えうる顔を再現しているという。遺伝子の研究がさらに進めば、より正確なものになりそう。また、デンマークでは、新石器時代初期の遺跡から見つかった樹脂のチューインガムから DNA が採取され、5700 万年前にポイ捨てした人の顔が復元されたとか。私たちも日ごろのマナーに要注意 !?
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 生命科学の話』著:高橋祥子