「Z世代」の正体とは?若年層が求める新しい働き方・お金の価値観
スマートフォンやSNSが当たり前の環境で育ち、新しい価値観を持つ「Z世代」。この世代は従来の日本型雇用や働き方に新風を吹き込む存在として、企業からの高い関心を集めつつあります。今回は、Z世代の価値観や特徴について解説していきます。
Z世代の基本的な特徴
Z世代に明確な定義はありませんが、1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代のことを指すことが多くあります。彼らは生まれた時からインターネットが存在する「デジタルネイティブ」として育ち、スマートフォンやSNSに対する高いリテラシーを持っています。また、コロナ禍での就職活動や入社を経験した世代でもあり、オンラインでのコミュニケーションやリモートワークに対する親和性が非常に高いのが特徴です。
Z世代の働き方に対する価値観
Z世代の働き方に対する価値観は以下のような特徴があります。
やりがいや成長、貢献を重視する
Z世代は金銭的な報酬以上に、仕事を通じた自己実現や社会貢献を重視するといわれています。リクルートマネジメントソリューションズがZ世代に該当する新入社員に対して実施した「新入社員意識調査2024」によれば、「仕事をするうえで重視すること」として、「成長」(32.2%)と「貢献」(23.1%)がトップ2を占める結果となりました。近年こうした傾向が続いており、Z世代が金銭や競争といった外発的な動機よりも、貢献や成長、やりがいといった内発的動機を重視する傾向にあることが分かります。
プライベートを大切にする傾向にある
Z世代は仕事とプライベートとの両立を重視しており、残業が少なく有給休暇が取りやすい環境を求める傾向にあります。転職情報サイト「キャリアジャーナル」を運営する株式会社Synergy Careeが実施したアンケート調査によれば、働くZ世代が考えるホワイト企業の特徴として「福利厚生が充実している」(76.1%)、「年間休日数が多い」(76.1%)、「有給取得率が高い」(67.4%)がトップ3に並んでおり、仕事とプライベートの両立を大切にしたいと考えている人が多いといえます。
時間や場所に縛られない働き方を求める
またZ世代はフレックスタイム制やリモートワークへの関心が高く、同調査でも「フレックスタイム制が導入されている」(38.4%)、「リモートワークが完備されている」(33.3%)と柔軟な勤務形態に関する関心が強い傾向にあり、ライフスタイルに適した働き方を望んでいることが分かります。
Z世代のお金に関する価値観
Z世代は、バブル崩壊後の長期的な経済低迷やコロナ禍による社会変動を経験してきた世代です。そのため、お金に対する考え方もこれまでの世代とは異なる特徴を持っています。
安定志向と現実主義的な消費行動
Z世代は将来への経済的不安から貯金を重視する傾向があります。一方で好きなアーティストグッズやコンテンツ課金など、自分が価値を感じるものには積極的に投資する「選択的消費」を実践しています。必要なものと不要なものを明確に区別し、計画的な金銭管理を心掛ける傾向が強いといえるでしょう。
多様な収入源への関心
Z世代は一つの収入源に依存せず、複数の収入チャネルを確保しようとする傾向があるのも特徴です。本業の給与に加えて、副業やフリーランス活動、投資、フリマアプリでの販売など、様々な方法で収入を得ることに積極的です。特に注目すべきは、複数の仕事を同時に行う「パラレルキャリア」への高い関心です。従来の「終身雇用」「年功序列」といった価値観にとらわれず、柔軟な働き方を通じて収入を確保しようとする姿勢が見られます。
自己投資を重視する姿勢
Z世代は自身の市場価値を高めることに対して非常に意識的です。オンライン学習プラットフォームやセミナーへの参加、資格取得などスキルアップのための投資を惜しみません。特に金融リテラシーの向上に関心が高く、投資や資産運用の知識習得に熱心です。
Z世代を採用・活用するために企業が考慮すべきポイント
このようなZ世代の特徴を踏まえると、企業には以下のような対応が求められます。
このような施策を組み合わせることで、Z世代の活躍を促す環境を整備できるでしょう。ただし、制度の導入だけでなく企業文化や価値観の転換も同時に進めていく必要があります。
まとめ
Z世代はデジタル技術を活用した効率的な働き方や、仕事を通じた成長機会を重視する世代として注目を集めています。彼らの特徴は単なる若者世代の傾向というよりも、社会環境の変化に適応した新しい価値観の表れといえるでしょう。
Z世代の特徴を理解して柔軟な制度や働き方を整えることは、全ての従業員にとっての働きやすさにも繋がります。Z世代の価値観を踏まえた働き方改革や人材活用が、企業の持続的な成長に繋がる重要な鍵だと言えるかもしれません。