釈迦の誕生祝い「花まつり」 釜石・正福寺幼稚園 華やかに稚児行列 ほころぶ春彩る
釜石市甲子町の正福寺幼稚園(松岡公浩園長、園児25人)は27日、お釈迦(しゃか)様の誕生日(4月8日)を祝う「花まつり」を行った。きらびやかな装束姿の園児が近隣を行進。誕生を祝う歌を響かせながら、かわいらしく歩く姿に沿道から笑顔がこぼれた。
「灌仏会(かんぶつえ)」とも呼ばれる仏教行事の一つ。誕生時に天から降りた竜が甘露水を注いだという伝説から、「甘茶を仏様へ灌ぐ(そそぐ)」のが習わしとなっていることが由来とされる。祝いに合わせ、華やかな稚児衣装を着て練り歩くと、釈迦の功徳を授かって健やかに成長できると伝わり、子どもたちの健康を祈る行事でもある。
同園では、隣接する正福寺(須藤寛人住職)の行事に参加する形で毎年行っている。出発式で、同園を運営する学校法人釜石学園理事長でもある須藤住職が「お釈迦様はみんなが元気に幼稚園に来られるよう見守っています。お釈迦様が生まれた時、枯れ木ばかりの山で一気に花が咲いたことから、お祝いのため花まつりと呼びます。みんなが誕生日に甘いものを食べるように、お釈迦様には甘い水をかけてお祝いしましょう」などとあいさつした。
年中、年長児15人が参加した。赤や緑色の上衣と紫色のはかま、男児は烏帽子(えぼし)、女児は宝冠を身に着け、父母らに付き添われ園を出発。行列には釈迦像を乗せた白象をかたどった山車も加わり、近隣を周回する約1.5メートルの道をゆっくりと歩いた。
音に誘われた住民らが外に出て、笑顔で見守った。祝いに駆け付けたお礼として、園関係者が縁起物の「散華(さんげ)」を配布。保護者たちはわが子の晴れ姿に口元をほころばせ、「かわいいね」などと話しながら写真を撮っていた。
正福寺本堂前には花で飾られた小さなお堂「花御堂(はなみどう)」が用意され、行列を終えた釈迦像を安置。同寺梅花講のメンバーが仏の教えをたたえる和讃(わさん)を唱える中、園児がひしゃくで甘茶をかけて祝福した。
柴田明心(あこ)ちゃん(5)は「(衣装が)きれい。楽しかった」とうなずいた。昨年は参加できなかったといい、今回が最初で最後の稚児行列。父親の晃裕さん(39)は「昔の服装を着る機会は少なく、いい思い出になった。健康に育ち、季節の行事に触れながら友達と楽しく過ごしてもらえたら」と目を細めた。
同園では、仏教の教えを保育に取り入れ、「子どもたちが持つ潜在的な能力を伸ばし、元気や優しさ、明るさ、協調性、思考力を育む」との理念を掲げる。松岡園長は「行事を通じ、人に対する思いやり、感謝する気持ちを感じてもらえれば。そうした心を忘れないでいれば道が開けるということが伝わるといい」と見守った。