技術と誇りが葉山の支え 葉山町商工会会長 栁新一郎さん
100歳を迎えた葉山町の産業を支える葉山町商工会。葉山の産業の歴史、商工会の役割など、和菓子の永楽屋(堀内)の代表取締役でもある栁新一郎会長に話を聞いた。
明治時代から御用邸のまちとして町内に別荘が建ち、昭和初期には400軒ほどあったという。栁会長は「葉山の産業の原点は、別荘を建てた建築業者のレベルの高さ、都会から来た人たちを満足させた飲食関係の質にある」と話す。また、「今の葉山も伝統や技術がある。きちんとした仕事をやれば、大型店などには負けないという自負がある」と強調した。
葉山町商工会は1967年に設立し、会員数は787。組織率は87%で、全国平均58・2%(2022年)という中で群を抜く。商工会は小規模事業者の経営支援、指導をする組織。同会は様々な形で地元業者の支援を行ってきた。
1970年代にはじまり2016年に中止するまで41回開催した「ふるさと広場」、そこから枝分かれした「メイド・イン葉山展」、その発展型の「ビッグハヤマ・マーケット」と時代のニーズに合わせてスケールアップしてきた。マーケットをもっと頻繁に開きたいと90年に始めた「日曜朝市」、さらに通年営業に発展させて2016年にオープンしたのが「葉山ステーション」だ。
栁会長は「三浦半島を中心とした農産業、葉山の漁業でいえばシラス、葉山牛も扱っているといったように、みんなで頑張ってやっていこうという営業の形の集大成が葉山ステーション」だと胸を張る。
一方で、「葉山ステーションでの期間限定の出店や朝市でそれなりに売れても、それはあくまでイベント。大事なのは普段、店に来てもらうこと。お店に力がなければどうしても雑な仕事になってしまう」と厳しい目もむける。
そうした時こそが商工会の仕事で、経営指導を無料で行い、つながりを作っていく。しかし、会から入会のメリットなどは絶対に言わない。「何を相談すべきかなど、当の本人が分かってないとだめ。結構甘い考えを持っている人もいる。飲食関係では保健所の問題や食品衛生責任者のこと、お金の借り方とか、そういう点はしっかり指導する」。おかげで金融関係の事故はほとんどないという。「うちは事務局の職員たちががしっかりしているからね」と誇らしげに語った。